負担だけ増えて働き損⁉ 「106万円の扶養の壁」を超えたらどうなるの?
Finasee / 2024年10月15日 13時0分
Finasee(フィナシー)
2024年10月からパートやアルバイトで働く人たちへ社会保険の適用が従業員数51人以上の企業に拡大されます。扶養はとても複雑な制度のため、年収と保障のバランスに悩まれている方も多いでしょう。
この機会に「扶養の壁」の理解を深めるのはいかがでしょうか。ファイナンシャルプランナーの塚越菜々子氏に年収が上がるごとに、どのようなメリットとデメリットがあるのかを解説してもらいます。(全3回の2回目)
●第1回:10月から社会保険適用が拡大! 加入が義務の「106万円の壁」を解説
※本稿は、塚越菜々子著『「扶養の壁」に悩む人が働き損にならないための38のヒント』(東京ニュース通信社)の一部を抜粋・再編集したものです。
「106万円の壁」を越えたらどうなる?「106万円の壁」を越えた場合、妻は勤務先によっては社会保険に加入することになります。
その場合、夫の社会保険の扶養からは外れます。そして、妻の収入に応じて、社会保険料や税金がかかるようになります。
例えば、年収107万円のケースだと年間の負担額は16万円以上に。壁を越えたので、社会保険料の支払いが発生し、手取りは89万円ほどに減り、「働き損」な状況になります。
しかし、社会保険に加入することはマイナスばかりではなく、プラスの面もあります。毎月の社会保険料を勤務先に半分負担してもらいつつ、健康保険と厚生年金の恩恵を受けられるのが一番の利点です。
健康保険は傷病手当金の制度があり、病気やケガで仕事を休んだ場合に手厚い保障を受けられます。厚生年金は将来受け取る年金額が増えて、万が一の際の遺族年金や障害年金も同様です。
国民健康保険・国民年金と比べて保障内容が格段に充実するのです。
目先の損得だけで考えると、壁を越えるのをためらうかもしれません。でも、106万円の壁の場合、いざというときや長い目で見て、保障の上乗せを得られます。保障を増やしたうえで、手取りを減らさないですむボーダーラインを計算してみるのもよいでしょう。
条件にある金額の数字をうのみにしない!「130万円の壁」は、夫の社会保険の扶養でいられるかどうかの壁です。この壁を越えなければ、妻は保険料の負担なく夫の健康保険に加入でき、国民年金の3号被保険者になれます。
下記の図では収入などの3つの条件を紹介しています。
①は夫が低年収のケースで警戒が必要です。例えば、夫の年収が230万円で妻が年収120万円だった場合。夫の年収の半分(115万円)未満の条件に該当しないため、130万円未満でも扶養から外れます。夫が非正規社員だと、気をつけたいケースでしょう。
②の「10 万8334円未満」は、130万円を12カ月で割った月収の目安です(※)。「1カ月」でもオーバーしたらダメなのかなどの判断は健康保険の組合によって異なります。
③は扶養になれる親族の範囲で、3親等以内の親族と定められています。社会保険の適用拡大で、2024年10月から社員51人以上が働く会社も「106万円の壁の対象」と述べました。
しかし、日本企業の約96%が社員50人未満です(令和3年、総務省・経済産業省調査)。現段階では「106万円の壁」より、「130万円の壁」を意識しなければならないことに留意しましょう。
(※)妻が60歳以上、または障害者の場合は年収180万円未満になります。
●第3回は【手当の返還を求められるケースも! 「税金」と「社会保障」の異なる扶養の判断方法に注意】です。(10月16日に配信予定)
「扶養の壁」に悩む人が働き損にならないための38のヒント著者名 塚越 菜々子
発行 東京ニュース通信社、発売 講談社
価格 1,650円(税込)
塚越 菜々子/ファイナンシャルプランナー
株式会社KANATTA代表。ファイナンシャル・プランナー(CFP)、1級ファイナンシャル・プランニング技能士、公的保険アドバイザー。税理士事務所で10年超勤務。延べ500社以上の決算業務や確定申告に携わる。会社の労務・税務にかかわる中で、一般生活者のマネーリテラシーの底上げの必要性を実感し、2016年にFPとして独立。保険や金融商品を取り扱わない独立系FPとして、主に共働き世帯の女性を中心に年間200件の家計相談を行う傍ら、運用経験の全くない女性向けの確定拠出年金・つみたてNISAセミナーや、公的年金セミナーなど多数開催。YouTubeやSNS等でもわかりやすい情報を積極的に発信している。
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