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困窮する友人を助けたい、でも滞納も不安…50代女性がお金を貸す前に準備した「意外な対策」

Finasee / 2024年10月12日 11時0分

困窮する友人を助けたい、でも滞納も不安…50代女性がお金を貸す前に準備した「意外な対策」

Finasee(フィナシー)

公正証書の魅力と言えば、強い証拠力にあると考える人も少なくない。だがしかし、使い方によってはまさかの方法で目的を果たせるものでもある。今回は一風変わった方法で公正証書を利用し、貸したお金の回収に成功した米原さんについて紹介しよう

困窮する友人を見捨てられなかった米原さん

「俺はもう事業を撤退する。けど、撤退するにも先立つものがなければどうにもならないんだ……」

雨の降る日の喫茶店で遠藤さん(40代・男性)はこう切り出した。それに対して米原さん(50代・女性)は「120万円までなら貸せるけど、それ以上は難しいよ」と答えた。

こうして米原さんは2022年6月、友人である遠藤さんに120万ものお金を貸した。

お金を貸すに至った原因は当時流行していた感染症だ。遠藤さんは飲食店を営んでいたのだが、世間の流れにあらがえず事業が不振になった。生活に困窮していたところ、古くからの友人である米原さんを頼るに至った。それに対し、「あなたの頼みなら」と米原さんがお金を貸したという具合だ。

その際、米原さんは1つの条件を出した。それは貸し借りの事実を公正証書で作成するということだ。米原さんは遠藤さんがお金をいつか返せなくなるのではないのかと万一の事態も想定していた。それに備えて公正証書を作成しようと考えていた。

「分かった、君がそれで安心できるのならそうしよう」。遠藤さんは公正証書を作成することでお金が借りられるのであればと快諾した。

ただ、米原さんが公正証書を作成したのにはちょっとした裏がある。

公正証書の強力な効果とは?

公正証書は公証人と呼ばれる公務員が権限に基づいて作成する文書だ。それゆえ公正証書には非常な強力な効果を持つ。

その1つに裁判手続きによらずに即時に差し押さえが可能というものがある。いわゆる執行力だ。

一般的に差し押さえと言えば、裁判で勝訴判決が出た後に行われる。そのため差し押さえをしたいと考えてもすぐには実行できないどころか、裁判にかかる費用も生じる。弁護士を雇うとなれば訴訟費用だけで数十万かかり、泣き寝入りとなってしまうこともある。

その点、公正証書であればお金も時間も節約してすぐに差し押さえという目的を達成できる。実際、公正証書はこの執行力を目的として作成されることも珍しくない。

米原さんが公正証書を作成した「真の狙い」

しかし、実のところ米原さんの狙いはこの差し押さえのためではなかった。公正証書作成によって知ることのできる相手の住所が目的だったのだ。

公正証書は先に述べた通りそれだけをもって即時に差し押さえができるほど強力な文書だ。公務員が作成することも重なってその作成には非常に厳格な手続きが取られる。

それゆえ、手続きの際は運転免許証などの身分証が当事者分必要になる。そしてその身分証に記載された住所が公正証書にも記載される。そのため、相手の正式な住所が分かるのだ。相手が勝手に引っ越しをしたり、偽りの身分証を使っているというような場合でない限り相手へ文書などを別途送ったり相手の自宅へ訪問できる。

米原さんの目的はこの相手の正確な住所を知るというところにあったのだ。

●案の定、遠藤さんは1年もしないうちに支払いを滞り出しました。その後、米原さんが全額返済を実現するために起こした行動とは何だったのでしょうか? 後編【借金を返済しない友人に悩まされる50代女性。泣き寝入りを防ぎ“全額返済”をかなえた「1通の書類」】で詳説します。

※プライバシー保護のため、内容を一部脚色しています。
※人物名はすべて仮名です。

柘植 輝/行政書士・FP

行政書士とFPをメインに企業の経営改善など幅広く活動を行う。得意分野は相続や契約といった民亊法務関連。20歳で行政書士に合格し、若干30代の若さながら10年以上のキャリアがあり、若い感性と十分な経験からくるアドバイスは多方面から支持を集めている。

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