見知らぬ女性に3000万円送金した父に子ら絶句…元商社勤務の70代男性が起こした人生最大の“不祥事”
Finasee / 2024年10月17日 17時0分
Finasee(フィナシー)
窪田理宇さん(仮名)は博多で、主としてスタートアップ企業を対象としたコンサル業務に従事しています。中学校に入学するまで欧州や南米で過ごした窪田さんは、英語やスペイン語も堪能な国際派のビジネスウーマンです。
その窪田さんが最近遭遇したのが、1人暮らしの父親が被害者となったある詐欺事件です。なんと、被害額は3000万円近くにも上っていたそうです。「父は元商社マンで活動的なタイプ、友達も多い。70歳を超えても実年齢よりは10歳近く若く見えるし、頭もしっかりしている」。近年高齢者を対象とした詐欺事件が急増していても、まさか自分の父親が被害にあう可能性などつゆほども考えていなかったというのです。
ビジネスエリートだった窪田さんの父親を陥れた巧妙な詐欺の手口を、窪田さんに教えてもらいました。
〈窪田理宇さんプロフィール〉
福岡県在住
42歳
女性
コンサル会社勤務
未入籍のパートナーと2人暮らし
金融資産1200万円
父が商社勤務だった関係で私の家族は外国暮らしが長く、日本に落ち着いたのは私がエスカレーター式の私立中学に入学した後です。その後の海外駐在は父が単身赴任していました。
父は仕事の合間を縫ってはまだ幼かった兄や私をいろいろな場所に連れていってくれました。南米勤務時代に訪れたマチュピチュの遺跡や、ロンドン駐在中に北欧で見たオーロラなどは今でも鮮明に記憶に残っています。
父は「24時間働けますか?」という栄養ドリンクのCMのフレーズそのもののような昭和のサラリーマンだったので、日々の業務は本当に忙しかったと思いますが、週末は必ず家で過ごすなど家族の時間をとても大切にしていました。
自分の親ながら父と母は私にとって理想の夫婦であり、いつまでも仲良く年齢を重ねていってくれたらいいなと思っていたのです。
しかし、そんな願いはかないませんでした。10年前、健康そのものだった母が50代の若さでくも膜下出血を起こし急逝してしまったからです。
父親の1人暮らしは順調に思えたが…当時、定年退職したばかりだった父はさぞやショックを受けたことと思います。
「海外は仕事でたくさん行ったから、これからはお母さんと国内の名所を巡って骨休めをしたい」と話していた矢先でした。
兄と私は既に家を出ていたので、父は都内の3LDKの自宅マンションで1人暮らしをすることになりました。仕事人間の父が1人でやっていけるのか心配でしたが、月に1~2回様子を見に帰ると、家の中は母が生きていた頃のように整理整頓されていましたし、食事や洗濯など日常の家事にも困っている様子は見られませんでした。
駐在時代に料理を覚えたらしくレパートリーも結構あるようで、時には私のためにラザニアやタコスなどの手料理を振る舞ってくれました。また、掃除や片付けはあまり得意でないので、週に何日か家政婦さんを頼んでいると話してくれました。
さすがに母が亡くなって半年ほどは家にこもりがちでしたが、もともと社交好きで活動的な性格だったこともあり、大学の公開講座に通ったり、合唱団に入りたいとボイストレーニングを始めたり、大学時代の同級生とゴルフを楽しんだりし始めたのを見て、「これなら大丈夫」と安心していました。
その後、私が仕事の関係で福岡に転居したこともあって少し疎遠になり、家に帰るのは盆暮れ程度になりました。コロナ禍には全然帰れなかった時期もありましたが、昨年久しぶりに帰省した際は全く変わらない様子でした。
ですから、2カ月ほど前に兄からいきなり電話がかかってきた時は驚きました。兄は都内の病院で勤務医をしていて日々忙しいらしく、電話をくれることなどめったにありません。スマホの画面に兄の電話番号が表示された時、すぐに父のことだと察しました。
兄からの電話で分かった父親の衝撃的な事実開口一番、「お父さん、何かあった?」と尋ねると、電話の向こうで一瞬兄が押し黙る様子が分かりました。まさか母のように……と最悪のケースを思い浮かべた瞬間、兄が怒りを抑えた低い声で言いました。
「オヤジ、詐欺にあったんだよ。国際ロマンス詐欺。地元の警察から連絡があった。ホント、いい年して恥ずかしいよな」
吐き捨てるように言う兄の口調には、父への嫌悪感がにじんでいました。
「国際ロマンス詐欺って映画の『クヒオ大佐』みたいな?」
私はその時、正直、国際ロマンス詐欺についてあまりよく知りませんでした。それで思わず、お気に入りの俳優が主演していた詐欺師の映画の名前を口にしたのです。
「一度も会ったことのない女に3000万円も貢いだんだってさ。俺忙しいから、詳しいことは色ボケ爺に聞いてくれよ」
いきなり電話が切れました。
いつもは冷静沈着で誰に対しても紳士的な態度を崩さない兄が、これほどの暴言を吐くのを見たことがありません。根は繊細な兄だけに、父の“不祥事”に相当傷ついたのだと思います。
慌てて父のスマホにかけましたが、留守番電話に転送されるだけで一向に出る様子がありません。これは様子を見に行くしかないと翌日の仕事をキャンセルし、ネットで羽田行きの飛行機を予約しました。
そして帰省した私は、父の口からあり得ない詐欺事件の全容を聞かされたのです。
●なぜ、窪田さんの父親は大金をだまし取られてしまったのでしょうか。巧妙なその詐欺事件の始まりは1通のSNSメッセージでした。後編【夫婦で悠々自適な老後を過ごすはずが…70代男性から老後資金3000万円を奪い去った人物の正体】で詳説します。
※個人が特定されないよう事例を一部変更、再構成しています。
森田 聡子/金融ライター/編集者
日経ホーム出版社、日経BP社にて『日経おとなのOFF』編集長、『日経マネー』副編集長、『日経ビジネス』副編集長などを歴任。2019年に独立後は雑誌やウェブサイトなどで、幅広い年代層のマネー初心者に、投資・税金・保険などの話をやさしく、分かりやすく伝えることをモットーに活動している。
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