会社員の国民年金+厚生年金+iDeCo、老後資金はどう受け取る?
Finasee / 2024年10月15日 19時0分
Finasee(フィナシー)
両親の介護費用、子どもの学費で出費がかさみ…
地方の中小企業で営業職として勤務する会社員の中村さん(仮名)は60歳。1歳年上の妻と2人暮らしです。それぞれの両親を看取り終え、2人の子どもは独立。これからは夫婦2人の人生を謳歌しようと考えているところだそうです。
しかしながら、これまでの介護や子どもの学費等で出費はかさみ、現在の預貯金額は600万円のみ。「妻もパートとして働いて家計を支えてくれましたが、すべて生活費へ消えてしまい、申し訳ない気持ちでいっぱいです」と中村さん。
中村さんの会社では退職金制度も準備されていますが、退職金一時金として500万円ほど。定年退職を迎えた後、夫婦2人の生活を無事に送ることができるのか心配されています。
高校を卒業して新卒で働き始めた会社に継続して勤務しており、「年金は18歳から42年間、国民年金と厚生年金に加入しており、加えてiDeCoにも加入しています」と中村さん。「妻もiDeCoに加入したいと考えていたのですが、資金的に難しく加入できませんでした」と話します。
住まいは、お父様が所有していた戸建を相続したため、家賃負担なく生活できているとのこと。現在の預貯金額と退職金の合計額は預貯金600万円+退職金見込額500万円、つまり1100万円です。
世帯で受け取れる公的年金額を確認するまずは中村さんのご家庭で受け取ることができる年金額はいくらかを知ることから始めましょう。中村さんは高校を卒業した18歳から42年間、同じ会社で働いており、現在の年収は400万円です。この情報を基に公的年金額をシミュレーションした結果、年間で174万円受け取ることができると予想されます。
一方、妻の年金は国民年金のみ、基礎年金額(国民年金額)は81万6000円です※。つまり中村家の公的年金額は中村さんが65歳を迎えた時点で計算すると、255万6000円。月額に換算し直すと約21万3000円となります。
※令和6年度
一月あたりの生活費として使える額が夫婦で約21万3000円というのは決して多いとは言えませんが、生活は可能なレベルであるとも考えられます。
ただ、提示した中村さんの公的年金額はシミュレーションによって導き出された金額にすぎません。より具体的な金額を知りたい場合、手軽に調べられる「ねんきん定期便」で確認することをおすすめします。
iDeCoがいくらになるのか確認しよう次に、受け取ることができるiDeCoの金額がいくらになるのかを確認してみましょう。中村さんは、54歳から6年間、iDeCoに毎月1万5000円を拠出しており、運用利回りはおよそ2.5%とのこと。
トータルで積み立てた元本は約108万円です。運用利回り2.5%でシミュレーションすると、現時点での運用益は約8万円、運用結果は約116万円となります。
このままの利回りで運用を続けられたとして、中村さんが65歳で一時金として受け取る場合は約130万円と見込まれます。年金として受け取る場合には、5年間で毎年約26万円、10年間で約13万円、15年間で約8万円、20年間で約6万円です。
上記は65歳から受け取るケースですが、例えば同じ5年受取であっても、健康であれば働くことができる65歳からではなく、70歳から受け取るという選択を検討しても良いでしょう。その際は70歳まで非課税で保有を継続できます。ただし市場動向によって利回りが変化することは念頭に入れておきましょう。
公的年金の繰下げ受給を検討するのもあり?中村家のセカンドライフを送るための資金は、預貯金+退職金で1100万円。公的年金は年間で255万6000円。iDeCoを一時金として受け取る場合には約130万円です。
ただし、もう少し受け取る年金額を増やしたいと考えているなら、年金の繰下げ受給を検討しても良いでしょう。公的年金には老齢基礎年金と老齢厚生年金がありますが、別々に繰下げることができ、66歳に繰り下げたときには8.4%増額、最大75歳に繰下げたときには84.0%が増額される仕組みになっています。
60代はまだまだ働くことが可能な年代です。繰下げ受給を視野に入れるのは有力な選択肢ではないでしょうか。
飯田 道子/ファイナンシャルプランナー
ファイナンシャル・プランナー(CFP)、海外生活ジャーナリスト。金融機関勤務を経て1996年FP資格を取得。現在は各種相談業務やセミナー講師、執筆活動などを行っている。海外移住にも対応しており、特にカナダや韓国への移住相談や金融・保険情報を得意としている。数秘&カラーの上級トレーナーとしての顔を持ち、セッション等も行っている。
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