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老後破産も覚悟…資金不足と夫の浪費に悩む50代女性。「心配することはない」と助言した専門家の “真意”

Finasee / 2024年10月24日 17時0分

老後破産も覚悟…資金不足と夫の浪費に悩む50代女性。「心配することはない」と助言した専門家の “真意”

Finasee(フィナシー)

<前編のあらすじ>

五十嵐美和さん(55歳・仮名)は結婚30年になる夫と2人暮らしです。アルバイト事務員として都内の医療機関で働いています。

堅実な五十嵐さんに対し、夫は浪費家で性格は正反対。五十嵐さんは価値観の違いに悩みながらも家計を管理し、3000万円の貯蓄を達成しました。

2019年に老後資金問題が話題になってからは自分たちの老後のことが気になり専門家にも相談してみますが、変額保険を勧められて不信感を抱きます。

そうした中、同僚の誘いで投資セミナーへ参加することになりました。

●前編:【浪費家の夫と迎える「子なし・持ち家なし」の老後が不安…50代女性がお金の悩みを払拭できた「偶然のきっかけ」】

お金の価値観が正反対の夫婦

夫とは結婚して30年になりますが、お互いの性格は、よくこれほど長く一緒に暮らしていられたものだと思うくらい真逆です。

端的に言えば、私はコツコツ節約してしっかり貯蓄をするタイプ。夫は後先構わずに浪費するタイプ。趣味のバイクや車、ゴルフや飲み会と、これまでどれくらい散財してきたかしれません。

それでも定年まで2年となった現時点で3000万円の貯蓄ができたのは、私たちには子供がおらず教育費がかからなかったのと、転勤族で社宅や借り上げ住宅暮らしが長く住宅費の負担も抑えられていたからだと思います。

とはいえ、5年前には「公的年金だけでは老後資金が2000万円足りない」問題がクローズアップされ、心配性の私は、マイホームも確保できていないわが家は2000万円以上の貯蓄があっても全然足りない、特に夫のあの性格だと老後破産まっしぐらではと不安を募らせました。

その頃、家計の専門家に老後資金の相談をしたりもしたのですが、インフレ対策にと変額保険を勧められて逆に不信感を持ってしまいました。

新NISAセミナーで日下さんの「長期運用戦略」に共感

そんな私がIFA(独立系ファイナンシャルアドバイザー)の日下さんと出会ったのは今年の初め、アルバイト先の同僚から新しいNISA(少額投資非課税制度)のセミナーに誘われたことがきっかけでした。同僚はママ友とセミナーに参加する予定だったのですが、ママ友のお子さんが急に熱を出して来られなくなり、1人で行くのも不安だからと私に声をかけてくれたのです。

当時、NISAの制度が大きく変わることは知っていましたが、その恩恵を受けるのは主に20~30代の若い人たちで、私たちの世代は関係ないと思っていました。ですから、同僚から声がかからなければ、セミナーに参加することも、日下さんに会うこともなかったはずです。

しかし、私はたまたま参加したそのセミナーで、日下さんが語った「長期運用戦略」にすっかり共感してしまったのです。

運用額や目的、リスク許容度に合わせたポートフォリオ(資産配分)の設定、そして運用中のリバランス(定期的な見直し)やマーケットが急落した際の対応など、難易度はそれなりに高かったものの非常に論理的で、具体的な運用商品の例として示された投資信託も、5年前の変額保険よりははるかに納得できるものでした。

セミナーを契機に私はNISA口座を開設し、自分のアルバイト収入から毎月2万円の積み立てを始めました。そして、日下さんのSNSもフォローするようになったのです。

当初、日下さんのようなIFAの方のお客さんは何億という資産を持っている富裕層ばかりだと思っていました。しかし、SNSでこれから資産形成をしていく若い方も少なくないことが分かり、私も1度、相談をさせていただけたらとチャンスをうかがっていました。

その機会が訪れたのが7月でした。

IFA日下さんがくれた老後へのアドバイス

日下さんのオフィスで初めて対面を果たした時、開口一番言われたのが「五十嵐さんは大変几帳面な方ですね」という言葉でした。

面談を前に相談内容のメモや資料を大量に送っていたので、そのことを指しているのだと察して思わず赤面しました。

すると、日下さんは「私もかなり几帳面なタイプで、妻からは『小うるさい』とよく言われます。でも、そういう人って、大成功はしなくても大失敗も回避できると思うんですよね」と優しい言葉をかけてくれました。

その日、私たちの老後不安について日下さんが下さった助言は次のようなものでした。

「ご主人の性格を劇的に変えることは難しいかもしれません。でも、五十嵐さんはそうした中でも、これまでしっかりお金を貯めてきたわけですから、それほど心配することはないように思います。男性の健康寿命は女性より短くて72~73歳です。ご主人がバイクやゴルフを楽しめるのも今のうちだけと思えば、笑顔で送り出してあげる気になりませんか?」

そして、こんな提案をしてくれたのです。

「2年後には、ご主人の退職金が2200万円入る予定です。ご主人が60歳でリタイアしても、公的年金を受給するまでの生活費はその中から賄えるでしょう。五十嵐さんがアルバイトを続けるのであれば、5年間の必要額はざっと1200万円ほどです。残りの1000万円は老後の緊急資金用にキープし、現時点での貯蓄3000万円は運用しながら取り崩していくことを考えてはいかがでしょうか? 毎月10万円ずつ換金して生活費に充てていくと、ご主人が65歳から取り崩しを始めて90歳までもつ計算です。仮に年3%で運用できれば、資産寿命は110歳まで延びます」

運用しながら取り崩していくというのは、それまでの私にはない発想でした。とはいえ、今年から始めたNISAの積立残高の推移を見ていれば、「年3%」という数字が決して無謀ではない、むしろ控えめな設定であることが分かります。

具体的な解決策が分かり、漠然とした老後不安が解消される

65歳から夫が受給する予定の年金額は、厚生年金の標準的な世帯(平均的な収入を得ながら40年間厚生年金に加入していた会社員の夫とその夫に扶養されている妻)よりちょっと多めの月額26万円ほどです。これに毎月10万円がプラスされれば、高望みをしない限り、家賃も払っていけそうです。

「五十嵐さんご夫妻はお2人とも民間の介護保険に加入していらっしゃいますから、将来の介護費用はあまり心配しなくていいでしょう。むしろ、これからは健康に留意しながら、お2人で楽しめる趣味を探していくといいと思いますよ。夫婦で過ごす時間が長くなりますからね。実はそれ、わが家の課題でもあるんですけれど(笑)」

“似た者同士”の日下さんの言葉は、私にとっては1つ1つが腹落ちするものでした。「運用しながらの取り崩し」というソリューションを示され、具体的なシミュレーションの数字も出していただいたことで、老後への漠然とした不安はかなりの部分、解消されました。

面談の後も日下さんからは時々、メッセージが届きます。多くは株価が暴落したタイミングで、「20年のチャートで見れば、今日の暴落も目視できないくらいの凹凸にしかなりません。今月は値下がりした分、投資信託の口数が多く買えると喜んで下さい」などと書いてあります。

なんだか、大学受験の時の塾の先生のようです。

夫にも日下さんの話をしたところ、次回の面談の際にはぜひ同行したいと言っていました。夫は日下さんのアドバイス以上に、日下さんがどんな人物なのかに興味を抱いているようです。

日下さんには、今後もわが家の良き「コーチ」であり続けていただきたいと思っています。

※個人が特定されないよう事例を一部変更、再構成しています。

森田 聡子/金融ライター/編集者

日経ホーム出版社、日経BP社にて『日経おとなのOFF』編集長、『日経マネー』副編集長、『日経ビジネス』副編集長などを歴任。2019年に独立後は雑誌やウェブサイトなどで、幅広い年代層のマネー初心者に、投資・税金・保険などの話をやさしく、分かりやすく伝えることをモットーに活動している。

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