賃上げ・物価高の興味関心高止まり 社会人のいま気になるニュースはどれ?
Finasee / 2024年10月21日 12時0分
Finasee(フィナシー)
年収上がった7割越え 実質賃金改善ならず
転職サービス「doda」などを提供するパーソルキャリアは9月13日、2024年上半期において社会人が注目するニュースについての調査結果を公表した(アンケート調査、有効回答数384人)。
注目しているニュース分野を問う質問では、74.7%が「経済」と回答。次いで、「IT」(49.0%)、「はたらき方」(46.1%)だった。なかでも経済分野については、賃上げや物価高、税収に関する内容が多く集まった。
回答者の現場はどうだろうか。
調査では、今年年収は上がったかの質問に対して、「上がった」(76.6%)が過半数を占め、2年で30.3%増加した。一方で、現年収で毎月の生活に「余裕がない」(38.8%)と、過去調査から約1年で13.2%増加した。
同調査は、「年収は増加したものの生活に余裕のない人の割合が増加した本調査からも、物価高によって実質賃金がマイナスである」と言及。
実際に生活で余裕がないことの表れとして、貯金額を問う質問では平均貯金額は6万4千円と、2年で1万8千円減少した。
同調査は、「少子高齢化による人材不足に加え、2023年以降物価高の影響が強まるなか、大企業を中心に賃上げ発表が行われてる。さらに、今年の春闘は33年ぶりの高水準となり、”名目的”には賃上げが進んだ」と指摘し、
「しかし厚生労働省の毎月勤労統計調査を見ると、直近2カ月でプラスには転じているものの、実質賃金は26カ月連続のマイナスを記録しており、賃上げが物価高に追いついていない状況は明らか。原材料価格及びコスト上昇で、消費者の消費意欲も減少し、結果、企業の利益も減少することで大きな賃上げに繋がりにくいという悪循環のインフレが起きています」
と続けた。
同調査での自由記述にはこんなコメントが寄せられていた。
・物価高がいつまで続くのか、今後どこまで上がってしまうのか、実生活への影響が気になる(30代後半・女性)
・もっと賃上げしてもらわないと生活が追いつかない。これじゃ結婚も出産も考えられない(20代後半・女性)
・物価高で全く賃上げを実感しない。税金も取られるので賃上げが本当にされるのか知りたい(30代前半・男性)
調査結果では賃上げが物価高に追いついてない苦境に対して、「消費意欲にも関係すると考えられます。人々が”気軽な出費さえできない”状態になると、高額商品の購入だけでなく、日常的な外食やレジャーへの出費など、いわゆる”プチ贅沢”などの消費まで消極的になり、この消費意欲の減少は経済低迷の一端につながるのでは」と解説。
また、「政府も賃上げのための9つの方策を立てていますが、賃上げを実感するも、貯金額の減少や生活に余裕がない現場の状況を見ると、今後実生活の逼迫は避けられないものと考えられます」と警鐘を鳴らした。
老後資金の不安増 投資でカバー多く老土資金への不安も高止まりだ。老後資金を問う質問では、「不安がある」(88.2%)と大半を占めており、今年1月に実施した過去調査から5.9%増加した。
不安な理由では「年金の受給有無」(79.4%)がもっとも多く、次ぐ「物価高騰による生活費の増加」(66.1%)、「健康保険や医療費の増額」(53.7%)が続いた。
では、不安要素をどのようにカバーしているのか。同調査の全体の約74%が投資・資産運用をしていると回答した。
投資の理由として、「老後の備え」(78.4%)、「リスク分散」(44.9%)、「将来の目標・ライフイベント(37.6%)と続いた。
そのほか、副業の意欲も高まっていることが同調査では明らかになっている。
副業をしたい、続けたい理由を尋ねると、「収入を上げるため」(75.3%)が大半を占め、次いで「生活費の補填」(48%)、「小遣い稼ぎ」(39.8%)だった。
同調査では、これらの背景を
「老後不安が増加した背景には、物価高の行く末が不透明であること、少子高齢化による社会保障負担の増加、さらには少子化対策とされる被保険者の保険料値上げが関係していると考えられます」
と解説し、
「投資の目的の2位に挙がったリスク分散の”リスク”とは、年金を受給できない可能性や、物価・保険料が今後も上がり続ける可能性を含んでいるのではないかと推察します」
と述べた。
そして、「現在、投資や資産運用は将来の備えとして行う人が多い傾向にありますが、今後もインフレが続くことを見据えると、この対策の必要性も高まる」と指摘し、
「老後の収入確保の意識がさらに強まっていくものの、年金受給への期待が希薄になっていることを踏まえると、老後、いわゆる”定年後”でも働き続ける人が増加する可能性も考えられます。副業やリスキリングが今よりも主流となり、”複業”として収入源を確保していくかもしれません。反対に、定年後もはたらき続けることを考えた場合、現在〜数年後には副業やリスキリング意識がより強まっていくとも考えられます」と語った。
《調査概要》■ 対象者 現在職を持つすべての社会人 男女/20代~50代 ■募集期間 2024年8月21日〜9月9日 ■総応募数 384人
Finasee編集部
「一億総資産形成時代、選択肢の多い老後を皆様に」をミッションに掲げるwebメディア。40~50代の資産形成層を主なターゲットとし、投資信託などの金融商品から、NISAや確定拠出年金といった制度、さらには金融業界の深掘り記事まで、多様化し、深化する資産形成・管理ニーズに合わせた記事を制作・編集している。
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