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専業主婦の国民年金+iDeCo、老後資金はどう受け取る?

Finasee / 2024年10月21日 19時0分

専業主婦の国民年金+iDeCo、老後資金はどう受け取る?<br />

Finasee(フィナシー)

年金を増やすことはできないか?

専業主婦の相原さん(仮名)は60歳。2歳年下の会社員の夫と、29歳の息子とその家族(妻、孫2歳)と一緒に、夫名義の一戸建てに5人で暮らしています。今まで生活に困ることはなかったものの、買い物に行くたびに実感する物価の値上がりや、テレビやネットで目にする年金や投資関連のニュースに、「老後資金は大丈夫なのか」と不安を感じるようになったと言います。

「結婚前は家業の農業を手伝っており、結婚後はずっと専業主婦として暮らしているため、外に出て働いたことは一度もありません。年金は満額もらえるはずだと思うのですが、今からでも増やすことはできないのかと思っています」と相原さん。

相原さんは、独身時代は国民年金(老齢基礎年金)に加入しており、結婚してからは夫の扶養に入りました。相原さん自身の財産は、ご自身の両親から相続した預貯金のみで600万円あるとのこと。相原さんが年金を増やすことはできるのでしょうか。

なお、相原さんは将来の年金額が不安なため、53歳から7年間、毎月1万5000円をiDeCoにもかけています。老齢基礎年金とiDeCoをあわせるといくら受け取ることができるのか、受け取り方も知りたいとのことです。

老齢基礎年金を増やしたいなら、繰下げ受給を検討しよう

老齢基礎年金は65歳から受け取ることができますが、受け取る時期を前倒ししたり、先送りしたりすることが可能です。

老齢基礎年金を65歳より前に受け取る場合は、繰上げ受給といって60歳から受け取ることができます。繰上げ受給の開始年齢は64歳までの計5年間です。

ただし、繰上げ受給を選択した場合は、受給額が減額されることになっています。減額率の割合は昭和37年4月2日以降生まれの場合は、ひと月あたり0.4%です。具体的には60歳ちょうどで繰上げ受給すると24.0%の減額となり、以降、64歳11カ月では0.4%というように繰り上げる時期(1カ月単位)により減額率が決まっています。

一方の繰下げ受給とは、老齢基礎年金を受け取る年齢を65歳よりも後ろに先送りすること。先送りできる期間は66歳から75歳までの計10年間です。受給するタイミングを先送りするほどもらえる年金額は増えていき、増額率は66歳では8.4%、70歳では42.0%、75歳では何と84.0%です。

この増額率を金額に置き換えると、令和6年度の満額支給額(年間)の81万6000円では、66歳に繰り下げると約88万5000円。70歳で約115万9000円。75歳で約150万円になる計算です。

繰下げ受給のデメリットについても知っておこう

老齢基礎年金を増やしたいなら、繰下げ受給を選択することで、受給額を増やすことが可能です。とはいえ、繰下げ受給にはメリットばかりではなく、デメリットもあることを忘れてはなりません。

主なデメリットとしては以下の2つがあります。

①受け取るタイミングを先送りすることで受給期間が短くなり、従来の65歳で受給を開始したときよりも、トータルで受け取れる金額が少なくなる場合があります。

②受け取れる年金額が増えたことで所得が一定の金額を超えてしまった場合には、国民健康保険料や介護保険料の自己負担割合が増えることが考えられます。

主に上記のデメリットが考えられますが、繰下げ受給での需給増の方にメリットを期待して老齢基礎年金を増やしたいという選択肢もあるとはいえます。一方で、iDeCoについても確認しておきましょう。

iDeCoを60歳で一時金として受け取る場合は約135万円

相原さんは、毎月1万5000円を7年間iDeCoにかけてきましたが、運用利回りは約2.0%だったことが分かりました。その結果、iDeCoを60歳の時点で一時金として受け取る場合は約135万円となります。

現在の預貯金とあわせれば、60歳の時点で約735万円になります。なお、60歳の時点でiDeCoを年金として5年間で受け取る場合は年約27万円、10年間では年約14万円、15年間では年約9万円です。

一方の老齢基礎年金についてですが、ご自身のみならず家計全体からの視点で考えてみる方がよいのではないでしょうか。

自分の年金だけでなく、夫の年金も合わせて総合的に判断しよう

老齢基礎年金は個人の年金であるのはもちろんですが、夫婦の生活費となる資金でもあります。そのため、自分のメリットやデメリットだけで考えるのではなく、夫婦が受け取る年金として、どのように受け取ると良いのかを考えることが大切です。

相原さんの場合、夫は2歳年下ですので、夫がいつまで働いて収入を得るのか、夫が受け取る年金と同じタイミングに相原さんの受給も合わせるのか等、複数の選択肢が考えられます。

まずは60歳以降、どのような生活を送りたいのか、夫の会社の定年後の雇用形態や条件などを話し合い、老齢基礎年金を受け取るタイミングを考えてはいかがでしょうか。

ちなみに夫の老齢基礎年金+厚生年金の受け取りタイミングに合わせると、相原さんご自身は2年繰下げ受給をすることになるため、67歳で受け取ることになり、その際の増額率は16.8%。金額は約95万3000円となります(令和6年度の満額支給年間額81万6000円で計算)。2年先送りするだけで、年金は年間で約13万7000円増えます。

老齢基礎年金の繰下げ受給は一例に過ぎませんが、老齢基礎年金を増やすための手段の一つです。iDeCoは現在、最長75歳まで保有し続けることが可能ですので、預貯金や夫の退職金等、踏まえながら家計全体で考えることが不可欠です。

いつのころからか夫とはあまり会話がなく、そのため老後の話も具体的にはしてこれなかったと相原さん。今回の話から基本的なことは理解できたので、あらためて夫に話を切り出してみたいと決意されていました。

飯田 道子/ファイナンシャルプランナー

ファイナンシャル・プランナー(CFP)、海外生活ジャーナリスト。金融機関勤務を経て1996年FP資格を取得。現在は各種相談業務やセミナー講師、執筆活動などを行っている。海外移住にも対応しており、特にカナダや韓国への移住相談や金融・保険情報を得意としている。数秘&カラーの上級トレーナーとしての顔を持ち、セッション等も行っている。

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