ソフトバンクが株式分割、株価10分の1で少額から投資しやすく! 「配当利回り」4.4%も魅力、投資してもいい? 業績をチェック
Finasee / 2024年10月15日 6時0分
Finasee(フィナシー)
福岡ソフトバンクホークスのリーグ優勝でも注目
2024年9月23日、福岡ソフトバンクホークスがリーグ優勝を果たしました。優勝は4年ぶりで、前身の南海・ダイエー時代を含めるとリーグ優勝は20回目です。リーグ優勝したことで、同じグループに属するソフトバンクにも注目が集まりそうです。
ソフトバンクの株価は5年間でおよそ30%上昇しています。これは市場平均と比べると見劣りする水準です。日経平均株価は同期間に約84%上昇しました。
しかし配当利回りは高水準です。今期(2025年3月期)の予想配当利回りは4%を超えており、東証プライム上場企業の株式平均利回り(2.19%)を大きく上回っています(2024年9月、加重平均利回り)。
【ソフトバンクの株価チャート(過去5年間)】
・株価:193円(2024年10月7日終値)
【ソフトバンクの予想配当利回り(2025年3月期)】
・予想配当金:8.6円(分割考慮後)
・予想配当利回り:4.45%
出所:ソフトバンクホームページより著者作成
ソフトバンクは2024年10月に1:10の株式分割を実施しています。投資単位はおよそ20万円から2万円に低下しました。100株が2万円で買えるとなると、新NISAの成長投資枠が上手く使い切れない場合の調整などにも役立ちそうです。上記の数値で計算すると、100株2万円の投資で860円の配当金が得られることになります。配当利回りの高さと最低投資額の低さから、投資を検討する人は多そうです。
株式に投資するなら、その企業についての知識は持っておきたいところです。ソフトバンクの事業と業績を押さえましょう。またソフトバンクが加速するAI関連事業への投資についても解説します。
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通信キャリア大手、メディア・EC事業が第二の柱に ファイナンスは黒字化へ
ソフトバンクは通信キャリア大手の一角を占めています。主な通信ブランドは「ソフトバンク」「ワイモバイル」「ラインモ」です。移動通信のシェアは、楽天モバイルがシェアを徐々に伸ばしているものの、大手3者でほぼ独占している状況です。
出所:総務省 通信事業の動向について(2024年4月24日)より著者作成ソフトバンクは5つの事業を展開しています。主力事業はコンシューマとエンタープライズです。これらは主に通信サービスを提供するセグメントです。コンシューマは個人向け、エンタープライズは法人向けと整理されています。コンシューマには電力の小売り事業も含まれます。
その他は非通信事業です。ディストリビューションとメディア・EC、ファイナンスの3つに分かれています。
ディストリビューションはIT関連の製品やサービスを販売する事業です。主に法人にはクラウドやAIといったサービスを、個人にはソフトウェアやモバイルアクセサリー(スマートフォンケースやイヤホンなど)を提供しています。
メディア・ECは主にLINEヤフー傘下の企業が担っています。メディア・EC事業は、さらにメディア領域、コマース領域、戦略領域に分かれます。
メディア領域は「ヤフージャパン」や「LINE」の広告収入などです。コマース領域は「ヤフーショッピング」や「ゾゾタウン」といったオンラインショッピングと、「ヤフーオークション」などのリユースサービスが含まれます。戦略領域はフィンテックサービスなどを提供しています。
ファイナンスは金融に関連する事業です。「PayPay」ブランドで主に決済や資産運用などのサービスを提供しています。ただし、PayPay銀行はメディア・EC事業に属しています。ファイナンス事業は赤字が続いていましたが、今期(2025年3月期)に黒字化を見込んでいます。
【ソフトバンクのセグメント業績(2024年3月期)】
出所:ソフトバンク 決算短信
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今期は主要全セグメントで増益の見込み 第1四半期はすべり出し好調、利益は進捗3割超
次にソフトバンクの業績を解説します。
ソフトバンクの業績は安定的に推移してきました。売り上げは順調に増加しており、2024年3月期は過去最高を更新しています。また純利益も増加傾向にあります。2024年3月期の減益は、その前の期に計上したPayPay子会社化に伴う一時的な利益のはく落が主因です。
出所:ソフトバンク 有価証券報告書より著者作成今期(2025年3月期)は増収増益を見込んでいます。利益は全セグメントで増加する計画です。特にメディア・ECの営業利益は前期比で16%と高い増益率を予想します。生成AIへの成長投資などから増加する費用をこなし、全体で増益を目指します。
【ソフトバンクの業績予想(2025年3月期)】
売上高:6兆2000億円(+1.9%)
営業利益:9000億円(+2.7%)
純利益:5000億円(+2.2%)
※同第1四半期における同社の予想
※()は前年同期比
第1半期は順調なすべり出しとなりました。通期予想に対する進捗率は売上高でおおむね想定どおり、営業利益と純利益は3割を超えています。
【ソフトバンクの2025年3月期 第1四半期の実績】
売上高:1兆5357億円(+7.4%、24.7%)
営業利益:3039億円(+23.4%、33.7%)
純利益:1625億円(+10.8%、32.5%)
※()内は順に前年同四半期比、通期予想に対する進捗率
出所:ソフトバンク 決算短信
セグメント別ではメディア・ECがけん引しました。通期計画の4割超を第1四半期で稼いでいます。主力事業のコンシューマも、進捗率は3割に達しています。またファイナンスは、第1四半期で通期予想を大きく上回る利益を得ています。
【セグメント営業利益の進捗率(2025年3月期 第1四半期)】
出所:ソフトバンク 決算説明会資料AIを成長の柱に、市場規模は2030年で1兆8000億円 エヌビディア計算基盤に1500億円を投資
ソフトバンクは2024年6月、株主総会でAI関連事業への投資を強化する方針を明かしました。当面は生成AI計算基盤データセンターを拡張し、収益の柱に育てる考えです。
生成AIについて、その市場規模は2023年の1000億円から2030年には1兆8000億円まで拡大すると予想されています。これを収益機会と捉え、ソフトバンクはまず生成AIの開発に必要となるAI計算基盤の貸し出しに着手します。
ソフトバンクは2023年9月に本格的なAI計算基盤を構築し、同年10月に稼働を開始しました。計算基盤にはエヌビディア製のGPUが使われています。投資額は、国からの補助金53億円を除いて約130億円に上りました。
ソフトバンクは投資額を引き上げ、計算基盤をさらに拡張します。2024年5月には、2025年度までに約1500億円を投資する計画を明かしました。経済産業省の認定も受けており、最大421億円の助成を受けるとしています。
業種を超えた協業にも取り組みます。ソフトバンクとシャープは2024年6月、データセンターの構築に向けた基本合意を締結しました。シャープの堺工場(大阪府)の土地と建物を活用し、大規模なAIデータセンターを構築する計画です。設備を転用することで、早期の稼働を目指します。着工は2024年秋ごろ、本格稼働は2025年中の予定です。
このように、ソフトバンクのAI事業への取り組みは加速しています。今後は生成AIサービスの提供や、生成AIを活用したコンサルティングおよびソリューションの提供などに取り組む計画です。
ただし、当面は費用が先行します。生成AI等への成長投資で、営業利益は2025年度まで約300億円の下押しがあるとソフトバンクは分析します。大きな成長が期待されるAIですが、収益の貢献はまだ先のようです。
文/若山卓也(わかやまFPサービス)
若山 卓也/金融ライター/証券外務員1種
証券会社で個人向け営業を経験し、その後ファイナンシャルプランナーとして独立。金融商品仲介業(IFA)および保険募集人に登録し、金融商品の販売も行う。2017年から金融系ライターとして活動。AFP、証券外務員一種、プライベートバンキング・コーディネーター。
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