8月に株価急落も「オルカン」「S&P500」に依然1000億円台の資金流入。気になる「あの資産」も急伸!? 9月投信概況
Finasee / 2024年10月15日 7時0分
Finasee(フィナシー)
三菱アセット・ブレインズがまとめた2024年9月の公募ファンドの純資産残高は100兆7091億円で前月比1兆7259億円増加した。6月の103兆円以来、3カ月ぶりに純資産残高を100兆円の大台に乗せた。資産別には「外国株式型」の残高が約53兆3630億円と前月の51兆9944億円から2.63%増加したが、次に残高が大きい「国内株式型」は約11兆9740億円と前月比0.65%減少、「複合資産型」は約11兆6970億円で前月比1.25%増加した。資金流出入額では、月間で約9550億円の資金純流入で前月の約1兆960億円の資金純流入からはやや減少した。
資産別にみると「外国株式型」(約7330億円、前月は約7270億円)、「複合資産型」(約760億円、同約910億円)、「国内株式型」(約580億円、同約2280億円)の順で資金流入があったが、「国内株式型」は前月から流入額が大幅に減少した。一方、資金流出は「国内債券型」(約65億円)、「エマージング債券型」(約29億円)の順に流出した資金額が大きかった。
◆8月の株価急落で新NISAの利用停止や減額?個別ファンドの資金流入額でトップは、「外国株式型」の「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」の約1468億円(前月は約1520億円、前々月は約2240億円)、そして、「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」の約1204億円(前月は約1181億円、前々月は約2000億円)、「アライアンスB・米国成長株投信D」の約635億円(前月は約795億円、前々月は約1680億円)、「インベスコ世界厳選株式オープン(ヘッジなし・毎月決算型)」の約502億円(前月は約482億円、前々月は約589億円)の順で前月、前々月と順位は変わらなかった。前月は、米国株式に特化したファンドがより大きな減額率になったが、今月は「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」の流入額はやや回復した。これと比較すると「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」の流入額の減少は続いている。
新NISAの「つみたて投資枠」対象の株式インデックス・ファンドについては、8月上旬にあった株価の大きな下落によって一部の投資家がNISAの利用を停止・減額した可能性が指摘されている。日銀総裁の発言によって、7月末の日銀利上げ後に一段と利上げを行っていくという見方が強まり、その結果として大幅な円高と株式市場の下落になった。特に、国内株式は日経平均株価が短期間に約20%も下落する大幅安となり、新NISAが始まって初めての急激な変化となったため、投資の経験が浅い投資家には大きなショックになったと想像される。
また、国内株式ファンドには、8月上旬の株価大幅安の局面で「日経225ノーロードオープン」などのインデックスファンドや日経225のブル型ファンドなどに資金流入が目立ったが、9月には日経平均株価が4万円近辺に上昇した9月24日の週には資金流出額上位に国内株式インデックスファンド等が入っており、利益確定や戻り売り等が出たものと考えられる。9月の月間で「日経225ノーロードオープン」は約152億円の資金流出、「SBI日本株4.3ブル」は約55億円の資金流出だった。9月の「国内株式型」への資金流入額が前月比で急減した理由の1つだ。
◆価格上昇が際立つ「金(ゴールド)」を入れたバランスファンド「外国株式型」への資金流入に次いで、大きな資金流入となっている「複合資産型」では、「金(ゴールド)」を組み入れたファンドの活躍が目立つ。「複合資産型」のカテゴリーで流入額上位ファンドの第4位に「ピクテ・プレミアム・アセット・アロケーション・ファンド」(流入額は約59億円)、第6位に「ピクテ・ゴールデン・リスクプレミアム・ファンド」(同48億円)が入り、月間収益率ランキングでは、「グローバル5.5倍バランスファンド(1年決算型)」、「同(予想分配金提示型)」が第1位と2位、第3位に「米国分散投資戦略ファンド(5倍コース)」、第5位に「Trecers S&P500ゴールドプラス」が入っている。これらは、いずれも「金(ゴールド)」を投資対象に加えたファンドだ。
特に、「ピクテ・ゴールデン・リスクプレミアム・ファンド」や「Trecers S&P500ゴールドプラス」は、「金(ゴールド)」のへの投資割合がポートフォリオの半分ほどを占め、主要な投資対象に位置付けられている。NY金先物市場で、金価格が9月に史上最高値を更新し2700ドルに迫るほどの歴史的な高値を付けている。株価の上昇とともに、金価格の上昇も目立っており、「複合資産型」の中でも金を積極的に投資対象に加えているファンドへの注目度も高まっている。
◆政府の景気対策に期待? 中国株がパフォーマンス上位に一方、9月のパフォーマンス上位では、「DWSロシア株式ファンド」(月間収益率46.54%)を除けば、値上がり率上位(レバレッジ型を除く)は中国株式ファンドばかりになった。「iFreeNEXT ATMX+」(23.63%)、「アムンディ・グラン・チャイナ・ファンド」(20.21%)、「iFreeActive チャイナX」(18.82%)など、中国株式ファンドの上昇が目立った。
これは、10月1日の建国75周年を前に、9月24日に中国人民銀行が政策金利を0.2%引き下げるなど、総合的な景気対策を発表したことが背景にある。この発表を受けて9月末までに上海総合指数は21.37%上昇し、香港ハンセン指数も15.82%上昇した。「エマージング株式型」の人気はインド株式ファンドに偏っているが、長らく低迷してきた中国株式ファンドにも日が差してきたようだ。今後、中国株式の上昇が続くのか、その行方に注目したい。
執筆/ライター・記者 徳永 浩
Finasee編集部
「一億総資産形成時代、選択肢の多い老後を皆様に」をミッションに掲げるwebメディア。40~50代の資産形成層を主なターゲットとし、投資信託などの金融商品から、NISAや確定拠出年金といった制度、さらには金融業界の深掘り記事まで、多様化し、深化する資産形成・管理ニーズに合わせた記事を制作・編集している。
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