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「Nifty 50指数」と「SENSEX指数」で大差はない?etc. 「人気だから買っておく」から卒業する、インド株ファンド“重要知識”

Finasee / 2024年10月17日 11時0分

「Nifty 50指数」と「SENSEX指数」で大差はない?etc. 「人気だから買っておく」から卒業する、インド株ファンド“重要知識”

Finasee(フィナシー)

筆者はこれまでたびたび、長期分散を実践する上では一定割合、新興国株式を組み入れることを推奨してきた。

その中でもインドは、最初の1本としても人気の高い「オールカントリー」インデックスファンドに占める割合が2%程度とまだ低く、かつ、個人による直接投資が難しいことなどから、ポートフォリオの「攻め」のパーツの1つとして個別の投資信託で取り入れることをおすすめしている。

インド株式の魅力や期待度の高さについては、いまさら言及するまでもないだろう。豊富な若年労働力を背景に個人消費が拡大していることに加え、モディ政権下でさまざまな改革が実施されたことで海外からの資本流入が増加し、今後もさらなる経済成長が期待されている。また、米中対立が深まる中、経済成長を続けるインドは、中国に代わる「世界の工場」としての期待も集めている。

「オールカントリー」の限界を補完する役割に期待

にもかかわらず、先述の通り、「オールカントリー」ことMSCIオールカントリー・ワールド指数に占めるインドの割合はわずか2%程度に過ぎず、全体の6割超を占める米国と比べると物足りなさを感じる。

これはなぜかというと、「オールカントリー」を含む株式インデックスの多くは時価総額加重型といって、あくまでも今現在の市場価値の実態を表したものであるからだ。そこに将来の成長性や期待値は加味されていない。時価総額加重平均型のインデックスが「昨日までの成功者の集合体」と揶揄(やゆ)されるゆえんである。

インドの将来性に期待していて、先回りして投資をするなら、「オールカントリー」のような広域の株式インデックスに追加する形で取り入れることをおすすめしたい。

インデックスかアクティブか? インドは「目利き力」が活きやすい環境

日本で購入が可能な追加型公募投資信託のうち、主としてインド株式を投資対象とする商品は計41本。このうち、インデックス型は8本ある。2023年3月設定の「iFreeNEXT インド株インデックス」(大和)が残高を伸ばしていることもあり、以降、運用会社各社で設定が相次いだ。

インデックス型のベンチマークとしては、「iFreeNEXT 」を含む7本がNifty 50(ニフティ・フィフティ)指数を、「SBI・iシェアーズ・インド株式インデックス・ファンド」がS&P BSE SENSEX指数を採用している。両指数はともにインドを代表する企業群で構成されており、指数算出開始時期や銘柄数に若干の違いはあるが、値動きの傾向に大きな違いはない。

コストが安く、透明性が高いというインデックス型の利点は、「オールカントリー」や米国株式など他の投資対象と変わらない。ただし、インド株の場合、もう一歩踏み込んで銘柄を選定した方がよい。理由は大きく2つある。

1つは、アクティブファンドにインデックスを上回る超過収益を獲得できる余地が多く残されているという点だ。米国株式のように、一部の銘柄群が株式市場全体を事実上「支配」しているような状況の場合、その銘柄のウエートをインデックスよりも高く保たないと超過収益が期待できない。インドの株式市場はそうした極端な状況にはなく、運用者の「目利き」が十分機能している。結果として、アクティブファンドの多くがインデックスファンドを上回る成績を収めていることが分かる(表参照)。

●インド株ファンド 純資産残高上位20本

※データはすべて2024年9月末時点。「インド小型厳選株式ファンド」と「シン・インド割安成長株ファンド」の1年リターンは設定来を代用。
※画像をクリックすると、拡大できます。

別の視点から考えると、新興国投資においては特に、投資先企業のガバナンスリスクをしっかりと見極める必要もある。モディ政権下で浄化が進んだものの、インドは長年、公共・民間セクターともに汚職のまん延が指摘されてきた。2023年2月には、新興財閥のアダニグループをめぐる不正会計疑惑が浮上し、株式市場に大きな混乱を招いたことも記憶に新しい。運用者によるフィルタリングは投資先の質を維持するという面でも重要な意味を持つ。

インドならではの課税からコスト高になる場合も…コストと運用成績のバランスに注意

インド株の投資信託を選ぶ際に注意すべきもう1つのポイントは、新興国特有のコストの存在である。一般的に新興国株式は、先進国と比べ、投資信託運用における関連コストが高い傾向にある。信託報酬には含まれない保管費用のほか、キャピタルゲイン課税(非居住者が株式を売却した際に払う税金)の存在も無視できない。実はインド政府は今年7月、インドの株式市場への資金流入をクールダウンさせる目的でキャピタルゲイン税率を引き上げている。

税率が上昇すれば、その分利益は圧迫されるため、今後は表面上の信託報酬だけでなく、運用報告書で公表される経費率(目論見書に掲載されている信託報酬と「その他費用」の合計を純資産残高で除した値)も併せて確認する癖をつけた方が良い。なお、表にある「野村インド株投資」の総経費率が突出して高いのは、キャピタルゲイン課税に起因するものであり、同ファンドの運用報告書にもその旨記載がなされている。当ファンドに限らず、今後は多くのインド株ファンドで一時的にキャピタルゲイン課税引き上げの影響を受ける可能性がある。

もちろん、経費率が高くても、それに見合ったリターンが出ていれば問題はない。本稿の一覧を含め、公表されている投資信託のリターンや基準価額は全て「コスト控除後」の値である。ファンドを選ぶ際は、表面的な信託報酬の値だけにとらわれず、コストに見合った成績を維持できているかも併せて確認するようにしてほしい。

篠田 尚子/楽天証券資産づくり研究所 副所長 兼 ファンドアナリスト

慶應義塾大学卒業後、国内銀行を経て2006年ロイター・ジャパン入社。傘下の投資信託評価機関リッパーにて、投信業界の分析レポート執筆、評価分析などの業務に従事。2013年、楽天証券経済研究所入所。日本には数少ないファンドアナリストとして、評価分析業務の他、資産形成セミナーの講師も務めるなど投資教育にも積極的に取り組む。近著に『【2024年新制度対応版】NISA&iDeCo完全ガイド』『FP&投資信託のプロが教える新NISA完全ガイド』(ともにSBクリエイティブ)。

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