「あなたの親は大丈夫?」孤立化進み、“誰にも相談できない”高齢者が知らぬ間に巻き込まれるトラブルの実態
Finasee / 2024年10月17日 16時0分
Finasee(フィナシー)
進む高齢者の孤立、コロナ禍経て 人と話す「週に1回」
政府が6月に公表した「2024年版高齢社会白書」では、親しくしている友人・仲間がいるかを問う質問で、前回行われた2018年度の調査と比較すると、「たくさんいる」「普通にいる」と回答した割合が大きく低下した。
調査は内閣府が全国の60〜99歳の男女3329人を対象にインターネットで実施した。
前回の調査では、「たくさんいる」が24.7%だったものの、今年の調査では7.8%に下がった。「普通にいる」は前回では47.5%で、今年の調査では39.0%になった。
出所:内閣府「令和6年版 高齢社会白書」人と話をする頻度についても、前回調査と比較すると同じように右肩下がりだ。
前回の調査では「毎日」が90.2%だったが、今年の調査では72.5%に減少。特にひとり暮らしの場合は前回調査だと80.9%の高水準が、38.9%と下落した。
出所:内閣府「令和6年版 高齢社会白書」Finasee編集部で公開した「お金の『ゆとりはない』高齢者多数 就業意欲は高止まりで非正規雇用が数多く」と題した記事では、経済的な暮らしをめぐって65歳以上の高齢者で、心配はないが「家計にゆとりがあると言い切らなかった人たち」が多くいることを報じている。
そのためか投資意欲も高まっている。なかでもiDeCo(個人型確定拠出年金iDeCo、イデコ)はその一つだ。
政府はiDeCoに加入できる年齢の上限を、「65歳未満」から「70歳未満」に引き上げる方針を固めている。はやくて今年中に法改正などの動きがある見込みだ。背景には、働く65〜69歳の高齢者が多いことから、働きながら積み立てることで将来の年金額を増やす狙いだ。
高齢社会白書でも「高齢期に備えた勤労者の自助努力による計画的な財産形成を促進する」と言及されている。
ただ、特に60代では老後資金の運用について、「わからない」と感じる人が多数いるといくつもの証券会社の調査では言及がされている。
Finasee編集部では、
退職後にやりたいこと1位は資産運用! 収入減に備え投資に積極的な「定年世代」のリアルな実態
「年金生活は我慢ばかり」のイメージは誤解? シニアが公的年金のみの暮らしで気付いた「予想外の楽しさ」
など老後の投資にまつわるいくつもの記事が掲載されている。
また、政府は、金融サービス利用者相談室(0570-016811・IP電話からは03-5251-6811)を設け、電話やファックス、郵便での相談を受け付けている。
孤立→詐欺被害多発 有名人名乗る人物要注意孤立する高齢者。高まる投資意欲。そのためか、トラブルに巻き込まれる割合も高い傾向にある。
警視庁の統計によると、特殊詐欺の認知件数は65歳以上の高齢者の場合は1万4878件と、総認知件数(法人被害を除く)の78.4%にあたる。
なかでも、森永卓郎氏や堀江貴文氏、前澤友作氏などといった有名人を語る「SNS型投資詐欺」の被害がいま、世間をにぎわせている。高齢者は特に、詐欺のターゲットになりやすい。
直近では、今年5月、兵庫県内に住む70代の男性が、SNS上で著名な証券アナリストを名乗る人物からうその投資話を持ちかけられ、約6億6000万円をだまし取られたことが明らかになった。
ほかにも4月には、茨城県に住む70代の女性が、著名な経済アナリストをかたる人物から約7億円を騙し取られた。億単位だけではなく、数千万、数百万の被害事例は全国にいとまがない。
2024年の1月から7月にかけて警察庁が認知しているSNS型投資詐欺は4099件で、被害額は約580億4000万円にも上っている。
これらの被害はSNS上にあるインターネット広告がきっかけとなることが多い。政府は6月に詐欺被害防止のための総合対策をまとめ、広告を出す人の本人確認や、事前審査の強化などを事業者に求めている。
警察庁が入る中央合同庁舎第2号館警視庁の関係者は「孤立してるからこそ、誰にも相談できなくて被害を受けてしまう高齢者が増加している。事業者もなかなか詐欺広告の対応に、積極的な姿勢を示さないのも現実。なにか怪しいと思ったら、消費者ホットライン(188番)や金融サービス利用者相談室に気軽に電話をかけてほしい」と警鐘を鳴らした。
板垣 聡旨/ライター
1995年生まれ。忍者の里、三重県伊賀市で育つ。大学在学中より、ライター活動を始める。現在は社会から経済まで、幅広く担当する。
外部リンク
この記事に関連するニュース
-
「年金月21万円」「退職金2,000万円」66歳元外資系エンジニア・現無課金ゲーマー、埼玉タワマンで引きこもり老後をエンジョイも…久しぶりに外出したら「老後破産」したワケ【FPが解説】
THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年11月22日 10時45分
-
森永康平の経済闘論 「闇バイト」が映す格差社会の実態 加害者は大幅に増え続ける少年に目が行くが…なかには物価高で年金生活厳しい高齢者も
zakzak by夕刊フジ / 2024年11月21日 11時0分
-
特殊詐欺対策で注目のATM引き出し額「制限」…“線引き”めぐり警察庁vs金融機関でせめぎ合い
日刊ゲンダイDIGITAL / 2024年11月16日 9時26分
-
〈年金月23万円〉〈退職金2,400万円〉猛烈サラリーマンだった65歳父「そろそろ仕事を辞めてゆっくりと過ごすよ」と語っていたが…39歳長男、半年ぶりの帰省で絶句した「まさかの惨状」
THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年11月16日 5時15分
-
70歳を定年とする企業が増えてきた!? 70歳まで働くライフプランの考え方とは
ファイナンシャルフィールド / 2024年10月30日 22時0分
ランキング
-
1三菱UFJ銀行の貸金庫から十数億円抜き取り、管理職だった行員を懲戒解雇…60人分の資産から
読売新聞 / 2024年11月22日 21時35分
-
2「築浅のマイホームの床が突然抜け落ちた」間違った断熱で壁内と床下をボロボロに腐らせた驚きの正体
プレジデントオンライン / 2024年11月22日 17時15分
-
3【独自】船井電機前社長『不正を働いたことはない』 “破産の申し立て”は報道で知る「本当に驚いた。なんでこんなことに…」
MBSニュース / 2024年11月22日 18時20分
-
4物価高に対応、能登復興支援=39兆円規模、「103万円」見直しも―石破首相「高付加価値を創出」・経済対策決定
時事通信 / 2024年11月22日 19時47分
-
5相鉄かしわ台駅、地元民は知っている「2つの顔」 東口はホームから300m以上ある通路の先に駅舎
東洋経済オンライン / 2024年11月22日 6時30分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください