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結局、「S&P500」ってなんで人気なんですか?

Finasee / 2024年10月24日 18時0分

結局、「S&P500」ってなんで人気なんですか?

Finasee(フィナシー)

米国の株価指数である「S&P500」は多くの人に注目されています。実際、インデックス型ファンドの純資産総額ランキングの1位と3位はS&P500を参照する銘柄で、上位10銘柄の参照指数のうち、純資産総額の約4割を占めています。

【インデックス型ファンドの純資産総額 上位10銘柄の参照指数】

出所:投資信託協会 投信総合検索ライブラリー

S&P500の人気は、優良株で構成されやすい仕組みがあること、高い実績リターンを残していることが背景にありそうです。また、インデックス型ファンドの参照指数として人気なのは、低コスト銘柄が多いことが理由の1つと考えられます。それぞれ簡単に解説します。

S&P500ってどんな指数?人気の秘密は「構成銘柄の条件」?

S&P500が人気の理由は、構成銘柄の条件にあるかもしれません。単なる時価総額の降順ではなく、優良株で構成されやすい仕組みが採用されています。

S&P500の主な構成銘柄の条件は以下の通りです。大まかにいうと、S&P500は「米国の大企業」かつ「黒字企業」の株式で、さらに「取引の多い」銘柄で構成されます。

【S&P500の主な構成銘柄の条件】
・米国を本拠地とする上場企業
・時価総額が最低180億ドル以上
・時価総額に占める浮動株の割合が最低50%以上
・半期の売買高が25万株以上
・直近の四半期が黒字
・直近4四半期の合計が黒字

出所:S&Pダウ・ジョーンズ・インデックス S&P米国株価指数メソドロジー

S&P500の構成銘柄は、少なくとも180億ドル以上の時価総額が求められます。1ドル=150円で考えるなら2.7兆円以上で、国内では食品株のアサヒグループHDが相当します。なお、時価総額2.7兆円以上の企業は日本国内では76社しかありません(2024年10月11日終値)。

さらに、時価総額の50%以上を浮動株が占める必要があります。浮動株とは、安定株主に固定されていない株式を指します。一定の浮動株を確保することで流動性を保つ仕組みです。また半年間に25万株以上の売買が必要という条件もあります。

加えて、構成銘柄は利益を出していることが求められます。直近の四半期が赤字の場合は対象外です。また直近の四半期が黒字でも、直近4四半期の利益の合計が赤字なら除外されます。

S&P500は、これらをクリアした銘柄で構成されることとなります。構成比率の上位にはアメリカを代表するハイテク企業が並んでいます。

【S&P500 構成比上位5銘柄】
・アップル
・マイクロソフト
・エヌビディア
・アマゾン
・メタプラットフォーム(旧・フェイスブック)
※2024年9月末時点

出所:S&Pダウ・ジョーンズ・インデックス S&P500 ファクトシート

10年で3.5倍 高いリターンが投資家を呼び込む

高いリターンを残していることも、S&P500が人気の理由の1つでしょう。

S&P500の直近10年間のトータルリターンは13.38%となりました(2024年9月末時点)。10年間で約3.5倍に上昇したことになります。あくまで過去の実績ですが、高いリターンが投資家の注目を集めている可能性があります。

【S&P500のトータルリターン(年率)】
・1年:36.35%
・3年:11.91%
・5年:15.98%
・10年:13.38%
※2024年9月末時点

出所:S&Pダウ・ジョーンズ・インデックス S&P500 ファクトシート

年別でもリターンの出現はプラスに偏っています。直近では2022年と2018年がマイナスでした。その他の年では比較的大きなリターンを得ています。

出所:S&Pダウ・ジョーンズ・インデックス S&P500 ファクトシートより著者作成S&P500を参照する投資信託には低コスト銘柄が多い

S&P500を参照するインデックス型ファンドが人気の理由は、コストの低い銘柄が多いということも影響しているでしょう。主要銘柄の多くは信託報酬が0.1%未満の水準です。

【S&P500を参照する主なインデックス型ファンド】

出所:各銘柄の交付目論見書

S&P500を参照するインデックス型ファンドのコストが低いのは、運用会社間の競争が働いている可能性があります。

例えば「eMAXIS Slim米国株式(S&P500)」は、もともシリーズ内では比較的高めの信託報酬率で設定されました。しかし、その後は相次いで引き下げを実施し、「オルカン(eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー))」が2023年8月に引き下げるまでは、シリーズ内の主要な海外株式型で最低水準でした。

出所:三菱UFJアセットマネジメント eMAXIS Slimシリーズ プレスリリースより著者作成

運用会社の三菱UFJアセットマネジメントは、信託報酬の引き下げの理由として他社類似ファンドの情報を基に決定したと説明しています。他社でよりコストの低い類似ファンドの設定や信託報酬の引き下げが相次いだことから、eMAXIS Slim米国株式(S&P500)もそれに応じて信託報酬を引き下げたと考えられます。

過信は避ける 分散投資を忘れずに

S&P500は優良株が採用されやすい仕組みがあり、実績リターンも良好です。また、S&P500を参照するインデックス型ファンドはコストが低い銘柄が少なくありません。S&P500が支持されるのは、これらの要因が影響していると考えられます。

とはいえ、S&P500に投資していれば安心、というわけではありません。単一国への投資は、複数の地域への投資と比べるとリスクが高くなる傾向にあります。また日本から米国へ投資する場合、為替リスクも考慮する必要があります。

S&P500は優秀な指数といえそうですが、投資の際は分散投資も心がけたいところです。

若山 卓也/金融ライター/証券外務員1種

証券会社で個人向け営業を経験し、その後ファイナンシャルプランナーとして独立。金融商品仲介業(IFA)および保険募集人に登録し、金融商品の販売も行う。2017年から金融系ライターとして活動。AFP、証券外務員一種、プライベートバンキング・コーディネーター。

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