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恩人だった先輩の裏切りに絶句…40代男性が貸した100万円を取り戻した大胆な“力技”

Finasee / 2024年10月31日 17時0分

恩人だった先輩の裏切りに絶句…40代男性が貸した100万円を取り戻した大胆な“力技”

Finasee(フィナシー)

<前編のあらすじ>

現在43歳の中森さん(仮名)にとって、大嶋さん(仮名)は頭の上がらない恩人。学生時代、堕落した生活で単位を落としがちだった中森さんの面倒を見て、卒業まで導いてくれた。加えて就職先の世話までしてくれて、中森さんは20年以上たった現在もそこで仕事を続けている。

ある時、大嶋さんから子の入学費用として100万円を貸してくれないかという打診があった。車の事故によるリハビリで仕事を休んでいるため、子の進学費用が用意できないという。妻の仕事を増やして半年以内に返す見込みがあると話すので、学生時代の恩もあった中森さんは半年以内の返済条件として100万円を貸すことに決めた。

●前編:【子の進学費用が用意できない…休職で苦境に立たされた恩人に、40代男性が考えた“恩返し”の方法】

作成した契約書

筆者の事務所へ大嶋さんが相談に来たのはそのタイミングだ。先輩に100万円のお金を貸すことになった経緯とともに、額が額であるために契約書を作ってほしいという契約書作成の依頼だった。

私からは相談を一通り聞いたうえで、「通常の契約書ではなく公正証書にしましょう」と提案した。

理由は法的な観点からの拘束力の強さの違いだ。結局のところ契約書を作ったとしても、差し押さえまでしてお金を回収するのには裁判手続きが必要だ。時間もお金もかかり、100万円程度のお金のためにそこまでするべきかどうかは微妙なところだ。

仮に差し押さえが成功したとしても、相手にお金がなければ回収は結局できず泣き寝入りだ。時間とお金だけ消費して徒労に終わる。

その点公正証書の形で契約書を作成できれば手続きを省略して即差し押さえができる。時間も費用もかからずお金が回収できることになる。

しかし、中森さんからの回答は意外なものだった。

あえて通常の契約書を選んだ中森さん

「僕は通常の契約書を選びます」。中森さんは私の提案を一蹴してそう言い切った。

「通常の契約書であっても証拠にはなりますよね? それに公正証書は作成のハードルが高いので……」と、言いづらそうに述べた。

確かにそうだ。通常の契約書であっても契約の成立の証しの証拠としては使用できる。加えて公正証書は公証役場という場所にて作成するため時間も手間もかかる。そして公証人に依頼する形になるためその分の費用もかかる。さらには相手方とそろって公証役場に行くことが原則であるなどハードルは意外と高い。

もろもろの理由から諸事情を鑑み、中森さんは効力の差も承知のうえで通常の契約書を選んだようだ。

私は中森さんを説得した。100万円という金額に比べればもろもろの手間などは惜しむべきではないことなどを熱弁した。

しかし中森さんの意志は固く、結局私は通常の契約書を作成した。

返済を拒否する大嶋さんに怒りが爆発

案の定というべきか、半年経過しても大嶋さんはお金を返さなかった。理由は「まだまだお金が厳しいから」というものだ。

中森さんはある程度こうした事態も想定していたようだが、さすがに1円も返ってこなかったことや返す気すらない態度に絶句。私へ内容証明郵便の作成を依頼し、大嶋さんへ送付した。

それでも大嶋さんは1円たりとも返済をしなかった。

この態度に怒りが爆発した中森さんは最後の手段に出た。中森さんが通常の契約書でもいいといった本当の理由…それは「親族に契約書を見せて協力をお願いする」というものだった。

中森さんが通常の契約書を選んだ本当の理由

中森さんがわざわざ公正証書ではなく通常の契約書を選んだ理由はそれを証拠に親族に連絡して協力を仰ぐという力技を予定していた点にあったようだ。

付き合いが長い分親やいとこなど親族とのつながりもそれなりにあったようで、最悪の場合貸したお金はそこから回収すればよいと考えていたようだ。

そのため、半年経過し約束通りお金が返ってこなかった時点で中森さんは即座に大嶋さんの親と連絡を取り、契約書を見せそれをもとに親から返済をしてもらったようだ。

狡猾かつ大胆な方法だといえるかもしれないが、通常の契約書であっても協力的な相手の親や親族とつながっていれば高い確率でお金を回収できるのだ。

契約書はそれなりに強力だが注意も必要

中森さんのやり方は誰でもできる方法ではないしお勧めできるものでもない。しかし、契約書の存在はやはり一般的に強力なものであることが再認識できた事例でもある。

SNSが発達したり個人主義の強くなっている昨今では契約書なんてあっても意味がないと思われる方も増えているかもしれないが、やはり使い方次第では十分強力な武器となり、公正証書でなくてもよいという場合もあるのかもしれない。

しかし、中森さんの事例はたまたまうまくいったのであり、親族含めよく見知った相手だからこそできたものだ。誰でも真似すればいいというものでもない。

もし、「契約書など作っても意味がない」と思われた方は今一度考えてみてほしい。契約書は当人同士だけではなく、対外的にも効果を発揮することがある重要なものであるということを。

※プライバシー保護のため、内容を一部脚色しています。

柘植 輝/行政書士・FP

行政書士とFPをメインに企業の経営改善など幅広く活動を行う。得意分野は相続や契約といった民亊法務関連。20歳で行政書士に合格し、若干30代の若さながら10年以上のキャリアがあり、若い感性と十分な経験からくるアドバイスは多方面から支持を集めている。

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