知る人ぞ知る「INPEX」株価は5年で2倍、今後どうなる? 2四半期連続「上方修正」の今期、増配&自社株買いも実施 業績とリスクに迫る
Finasee / 2024年10月28日 6時0分
Finasee(フィナシー)
資金集まる人気銘柄 配当利回り4.3%
株式市場でINPEX(インペックス)が買われています。株価は2024年10月21日までの5年間で2倍に値上がりしました。
株価上昇の要因の1つに、主要な産油地での情勢悪化があるとみられます。供給の懸念からエネルギー価格に上昇圧力が働きやすく、原油や天然ガスを開発するINPEXにも資金が向かいやすくなっていると考えられます。
【INPEXの株価チャート(過去5年間)】
・株価1999円(2024年10月21日終値)
業績も好調です。今期(2024年12月期)は第1四半期と中間決算で通期の業績予想を相次いで上方修正しました。予想配当金も引き上げており、足元の予想配当利回りは4%を超える水準です。
【INPEXの予想配当利回り(2024年12月期)】
・予想配当金:86円
・予想配当利回り:4.30%
出所:INPEXホームページより著者作成
新NISAの成長投資枠は、個別の株式も含め年間240万円まで投資できます。INPEX株式は、現在の株価水準なら1200株の購入が可能です。配当金が予想通り支払われるなら、年間で10万3200円を受け取れます。
新NISAで購入した株式は売却益に税金がかかりません。配当金も、受取方式に「株式数比例配分方式」を指定すれば非課税です。株価が2倍に値上がりし、かつ配当利回りも高水準のINPEXは、新NISAで選好されやすい銘柄の1つと考えられます。
投資の前に、まずはINPEXがどのような企業なのか知っておきましょう。今回はINPEXの概要と業績を解説します。またINPEXへの投資で特に気を付けたい注意点も紹介します。
【関連記事】JT(日本たばこ産業)の株価はどこまで上がる? 配当金は10年で2倍に増加! 将来を左右するのは海外戦略の成長性
INPEXはエネルギー資源の開発企業です。油田やガス田を開発し、原油や天然ガスの生産・販売を手掛けています。以前は国際石油開発帝石(国際帝石)という社名でした。創業80周年にあたる2021年に現在の社名へ変更しています。
石油産業というと、私たちには石油会社の方が身近かもしれません。石油会社(石油元売り)は、一般に原油からガソリンや灯油といった燃料油や、エチレンやプロピレンといった化学製品を生産する企業を指します。これら原油に由来する製品は、電力会社や化学メーカーなど、さまざまな産業向けに販売されています。
一方INPEXは、原油そのものを生産する企業です。すそ野の広い石油産業の中でも、INPEXは上流部門を担う企業といえます。
生産までのプロセスは、おおむね権益の取得→探鉱→採算性の評価→開発→生産です。権益を取得した鉱区で調査や試掘(探鉱)を行い、生産性が認められれば投資を決定します。そして掘削と生産設備の建設(開発)を経て生産に入ります。
大規模なプロジェクトは生産まで長い時間がかかります。INPEXがオペレーター(操業主体)として参加するオーストラリアのガス開発事業「イクシス」は、権益の取得が1998年、投資の決定は2012年でした。生産は、権益取得から20年後の2018年に始まっています。投資額も巨額で、INPEXはおよそ1.9兆円を投じたとみられています。
INPEX は原油や天然ガスの生産で国内の最大手です。生産量は日本の年間エネルギー消費量の約1割に匹敵します。開発は海外が大部分を占めており、生産量の96%、売り上げの64%が海外に由来します(2023年12月期)。
【INPEX のセグメント業績(2023年12月期)】
出所:INPEX 有価証券報告書【関連記事】商船三井の株価5倍、上方修正で予想配当利回り5.7%に 運賃市況の今後の見通しは?
今期は2四半期連続で通期業績予想を上方修正&自社株買い 予想配当金も引き上げ次にINPEXの経営成績を解説します。
直近10期を振り返ると、INPEXの業績は振れ幅が大きいことがわかります。純利益だけでなく、売り上げから大きな変動がみられます。
業績の大きな変動は、INPEXがエネルギー価格の影響を受けやすいことが背景にあります。2020年12月期はエネルギー価格の下落から最終赤字に転落しました。以降はエネルギー価格が上昇したこと、また円安が進んだこともあり、近年の業績は拡大傾向にあります。
出所:INPEX 有価証券報告書より著者作成
次に足元の業績を確認しましょう。今期(2024年12月期)は中間決算まで公表しており、好調に推移しています。第1四半期に続き、中間でも通期の業績予想を上方修正しました。期首予想比で売上収益を3200億円、純利益を300億円引き上げています。
上方修正の理由として、INPEX は主要なプロジェクトで安定した生産ができ、また想定よりエネルギー価格や為替レートが上昇したためだと説明します。進捗が想定どおりなら、通期では前期比で2ケタ増益となる見込みです。
なお、中間までの実績では、純利益は前年同期比で減少しています。これは税費用が悪化したためです。売上収益と税引き前利益までの各段階利益は増加しています。しかし法人所得税費用の増加が重く、純利益は減益となりました。
【INPEXの業績(2024年12月期 第2四半期)】
・売上収益:1兆1908億円(+10.4%)
・営業利益:7000億円(+15.3%)
・純利益:2125億円(-14.5%)
※()は前年同四半期比
【INPEXの業績予想(2024年12月期)】
・売上高:2兆2540億円(+4.1%)
・営業利益:1兆2490億円(+12.1%)
・純利益:3600億円(+11.9%)
※()は前期比
※同第2四半期時点における同社の予想
※上方修正の概要(期首予想比):売上収益+3230億円、営業利益+2390億円、純利益+300億円
出所:INPEX 決算短信
進捗が好調な今期は株主還元にも積極的です。
INPEX は中間と期末で年2回の配当を実施しています。今期はそれぞれ38円ずつの配当を計画していたところ、中間は実績で43円、期末予想も43円に引き上げられました。
中間決算では自社株買いも公表されました。自社株買いの公表は、第1四半期に続いて2四半期連続です。上限は800億円(自己株式除く発行済み株式総数の5.17%)とし、第1四半期の公表分(上限500億円、同3.18%)より引き上げています。なお、第1四半期の公表分は、7月までにほぼ全額が実施されています。
市況や為替などから、INPEXの今期の業績は想定より順調に推移しているようです。しかし主要な原油価格は、今年3月のピークからは下落傾向にあります。次の決算には注意したいところです。第3四半期決算は11月上旬に公表の予定です。
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投資のリスクは? エネルギー価格との相関に注意 法人税が重くなりやすい構造も
最後にINPEXへの投資における注意点を押さえておきましょう。INPEXには、業界・業種ならではの特有のリスクもあります。
まず気を付けたいのは市況です。INPEXの販売する原油や天然ガスの価格は、国際市況に連動する傾向にあります。エネルギー価格が下落すれば、売り上げや利益の減少が想定されます。INPEXは、原油価格が1バレルあたり1ドル変動すると、業績は年間60億円増減すると試算します(2024年12月期)。
この思惑から、INPEXの株価も原油価格に連動する傾向があります。原油価格の動向には注意したいところです。
同じく為替にも注意が必要です。事業の大半を海外で展開するINPEXは、収支の大部分が米ドルです。円高が進めば、円ベースでの業績は悪化することとなります。INPEXは、1ドルあたり1円の変動で年間業績は24億円増減すると試算します(2024年12月期)。
またINPEXは税負担率の高いことでも知られます。事業活動の大部分を海外で行うINPEXは、法人税のほとんどを海外に納めています。税率の高い地域があることや、国内で生じた費用が控除対象外になる場合もあり、税負担が重くなりやすい構図となっています。
重い税負担が構造的なものなら、税費用を反映する純利益がINPEXの実力をよく表していると考えられます。INPEXの業績は、純利益ベースで見るようにしましょう。
文/若山卓也(わかやまFPサービス)
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若山 卓也/金融ライター/証券外務員1種
証券会社で個人向け営業を経験し、その後ファイナンシャルプランナーとして独立。金融商品仲介業(IFA)および保険募集人に登録し、金融商品の販売も行う。2017年から金融系ライターとして活動。AFP、証券外務員一種、プライベートバンキング・コーディネーター。
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