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「この先1人じゃ老後が不安…」バツイチ独身アラフォー女性が、マチアプ婚活で直面した「仰天の事実」

Finasee / 2024年11月1日 17時0分

「この先1人じゃ老後が不安…」バツイチ独身アラフォー女性が、マチアプ婚活で直面した「仰天の事実」

Finasee(フィナシー)

「競馬やボートはね、スポーツなんですよ。だからギャンブルとは違うんです」

唐揚げやサラダなど、居酒屋チェーンの定番メニューが並ぶ先で上等そうなジャケットを着こんだ男が豪語する。梨沙子は、そりゃ騎手とか、競艇選手とか、やっている人間からすればそうだろうと思う。だが、客席やラジオで結果に一喜一憂するのはまぎれもなくギャンブルでしかない。

「はぁ、そうなんですか」

「そうですよ。あ、お代わり飲みますか?」

梨沙子はため息交じりの相づちを打つ。失敗するわけにはいかないという気持ちが、目の前の男に警鐘を鳴らす。これ以上はあまり長居したくないなと思ったこともあり、お冷やを頼むことにした。

アラフォー×バツイチ独身女性の婚活

バツイチ独身の梨沙子はマッチングアプリを使っている。

41歳の梨沙子が元夫と離婚したのは30代のときだ。長年積み重ねてきた信頼が裏切られたことが原因だった。夫婦生活は円満だと思っていたが、夫が黙って多額の借金をしていたことや、夫婦の貯金に手を付けていたことを知った瞬間、神に誓ったはずの愛は嫌悪感に変わった。

信頼していた分、裏切られたショックは大きく、離婚してからしばらくは仕事に没頭し、友人と遊んだり、趣味に時間を費やしたりしていた。しかしここ数年、ふとした瞬間に孤独を感じることが増えてきた。特に夜眠る前など、唐突に将来への不安が胸に迫ってくる。老後、1人きりでどうやって生きていくのだろう。

誰か信頼できるパートナーがいたら、少しは安心できるかもしれない。そう思うようになって、ふと手軽に相手を見つけられるマッチングアプリを試してみる気になった。

プロフィルには自分の趣味や、仕事について真剣に書き、条件が合った何人かの男性とやりとりを始めた。だが、実際に連絡を取り、会ってみると、予想していた以上に現実は厳しいものだった。

たとえば3人目に会った、見た目が良くて話も弾む年下の30代の男性。彼は「洋服が趣味だ」と語っていた。梨沙子だっておしゃれは好きだ。好きなブランドは違ったが、彼が教えてくれる豊富な知識は、梨沙子も素直に楽しむことができた。

しかし彼の洋服好きは、単なる趣味の範囲を超えた異常なまでの浪費であることが判明した。ファッションブランドの新作を次々と買いあさり、1度袖を通しただけで2度と着ない洋服も多い上に、貯金は1桁だった。

梨沙子が感じた不安は、元夫の借金が発覚したときに感じた嫌悪感と似ていた。過去の失敗が頭をよぎり、これでは再びお金の問題で苦労することになるかもしれないという疑念が生まれた。彼からはその後もメッセージが届き、デートにも誘われたが、梨沙子はやんわりと断りながらフェードアウトした。

その後も何人かの男性と会ったが、いずれも長続きしなかった。趣味や性格など、合わない理由はいろいろあったように思う。だが中でも梨沙子がこだわったのはお金の価値観だった。

もうかつてと同じような失敗はしたくない。そんな気持ちで、梨沙子は婚活に臨んでいた。

婚活でギャンブルの魅力を語る男

またダメだったかと、梨沙子は内心でため息を吐いた。

「良かったら今度、一緒に競馬行きましょうよ。レースのことなんてわかんなくても、走ってる馬を見てるだけでも迫力ありますよ」

「ええ、まあ……」

梨沙子が向かい合っている男は、商社勤めの42歳。プロフィル写真はスーツ姿で、いかにも真面目そうな印象だった。メッセージの内容や頻度もちょうどよく、しばらく和やかな会話のラリーが続いた。趣味も投資ということで堅実そうな印象があったし、梨沙子と同様バツイチということもあって、1度会ってみることにした。

だが、このありさまだ。いくら稼ぎがあろうとも、ギャンブルに手を出すようではダメだ。

「ご趣味は投資なんじゃ……?」

「ああ、株とかもやりますけどね。1番は競馬です。元手を出して、大金を稼ぐんだから、競馬だって立派な投資のひとつですよ」

男はこともなげに言って、ビールを飲み干した。

「もしかして競馬はお嫌いですか?」

「いえ、なんというか、その、嫌いとかそういうことではないんですが……」

「ちなみに安心してくださいね。ちゃんと情報を集めて馬券を買えば、絶対に負けませんよ」

絶対に負けない。次は勝てる。そういうのはギャンブル好きの常とう句ではないだろうか。

今日会うまで盛り上がっていた梨沙子の気持ちは、あっという間に冷め――いや、凍り付いていった。

今度こそは

婚活の継続に消極的になっていた梨沙子だったが、もはや習慣になっていたマッチングアプリのブラウジングは続けていた。

諦めよう。そもそも結婚に向いていないのかもしれない。

そう思った矢先、梨沙子の気持ちを引き留めようとするように、新たな男性とマッチングした。彼の名前は、天野新一。現在43歳で未婚、大手銀行の管理職だという。趣味として記載されていたのは美術館巡り。そのプロフィルに梨沙子は少し興味を引かれた。美術作品には以前から関心があったし、何より銀行員という肩書から、金銭感覚のしっかりした人なのではないかという期待を抱いたのだ。

新一とのメッセージのやり取りはスムーズで、共通の話題も多かった。彼の言葉遣いは丁寧で、気遣いにあふれ、どことなく上品さを感じさせた。これまでの男性たちとは少し違うかもしれない。

梨沙子は、そんな淡い希望が自分の中で膨らんでいくのを感じずにはいられなかった。赤いペンを探し、卓上のカレンダーを手に取る。柄にもなく、会うと約束した日に赤くきれいな丸を書いた。

●梨沙子は今度こそ理想のパートナーに巡りあうことができるのだろうか。デートの当日、「意外な真実」が明らかになる……。 後編「彼の一言で一気に冷めた」うまく行っていたはずの婚活が一転…美術館デートで露呈した「残念すぎる価値観」】にて、詳細をお届けします。

※複数の事例から着想を得たフィクションです。実在の人物や団体などとは関係ありません。

梅田 衛基/ライター/編集者

株式会社STSデジタル所属の編集者・ライター。マネー、グルメ、ファッション、ライフスタイルなど、ジャンルを問わない取材記事の執筆、小説編集などに従事している。

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