都内の新築分譲マンション平均価格“1億円超え”のカラクリとは?高すぎて買えない……と諦めるのはまだ早い!
Finasee / 2024年10月30日 12時0分
Finasee(フィナシー)
ずばぬけて高い東京! 関西のトップは?
新築分譲マンションの価格高騰が話題を呼んでいる。株式会社マーキュリーが、首都圏と関西、東海の一部エリアを対象に2023年の相場を調査したところ、次の結果となった。
出所:株式会社マーキュリー「2023年マンション価格動向」まずは「平均価格」を見てみよう。目立つのは東京都の1億589万円だ。1億円を超え、他を大きく引き離している。
東京では、「100年に一度」と言われる大規模な再開発が進む。再開発により、飲食店や商業施設が充実するなどの利便性向上により、さらなる人気を集めるエリアが増えることが期待される。東京の新築分譲マンションの価格上昇傾向は今後もしばらくは続きそうだ。
なお首都圏では、神奈川県も6千万円近い高値(5965万円)。埼玉県(4860万円)と千葉県(4837万円)も、5千万円近い価格となっている。
関西では、京都府(6599万円)が突出した格好だ。価格の高騰を引っ張っていると推測される京都市では、景観保全のための高さ制限が定められている。そのため、市街地では高さ31mを超える建物の建設はできない。
つまり、京都市では、もともと新築分譲マンションの供給数が限られているのだ。その上、近年は国内外の富裕層から注目されてもいる、これら要因が、京都の新築分譲マンションの価格押し上げにつながっていると考えられる。
また、京都に一歩譲る形ではあるものの、大阪府(5596万円)や兵庫県(5433万円)も5千万円代半ばと高い水準だ。
「平均坪単価」を見てみると、群を抜いて高いのは、またしても東京(526.3万円)。京都(325.1万円)と神奈川(302.5万円)も300万円超え。それ以外は250万円前後が主流となっている。
平均価格の高さ、実は“億ション”が影響していた!
新築分譲マンションの平均価格が、1億円を超えている東京。ただし、これほど高くなるのは“カラクリ”がある。
注目したいのが“中央値”だ。データを大きさ順に並べたとき、順番が真ん中になる値を指す。この“真ん中”というのがポイントである。
平均値は、全てのデータを足し合わせて求める。そのため、極端な数値の影響を受けやすい。例えば、「2000万」「3000万」という数値が並ぶ中、「1億」といった並外れて高い数値があると、平均値が底上げされてしまう傾向があるのだ。
一方の中央値は、 ちょうど真ん中の値であるため、極端な値の影響は受けにくい。そのため、比較的、データ全体の特徴を把握しやすい値だとされる。
同調査が割り出した中央値価格は次のとおりだ。
出所:株式会社マーキュリー「2023年マンション価格動向」全てにおいて「中央値<平均」となっている。特に差が大きいのが東京。平均だと1億円を超えていたが、中央値だと7620万円。約3千万円もの差がある。
中央値と平均値が大きく開いた理由として考えられるのが、高級タワーマンションの存在だ。
例えば、東京では「ザ・パークハウス三田ガーデン レジデンス&タワー」(港区)や「ワールドタワーレジデンス」(港区)などが、同じく大阪でも、「ブリリアタワー堂島」(大阪市北区)や「梅田ガーデンレジデンス」(大阪市北区)など、高額で大規模な物件、いわゆる「億ション」の建設が相次ぐ。これら「億ション」の供給がどうやら平均価格や坪単価を大きく押し上げている要因になっているようである。
大都市圏以外の最多価格は4000万円台では、どの価格帯の新築分譲マンションが多く供給されているのだろうか。
出所:株式会社マーキュリー「2023年マンション価格動向」調査対象のうち、東京と神奈川を除くと最多が「4000万円代」だ。
例えば、平均価格が6千万円近かった京都も、5千万円代半ばだった大阪や兵庫も、最も供給戸数が多かったのは4000万円代だ。
確かに新築分譲マンションの相場は高騰している。だが、必ずしも市場の実態に即しているわけではないようである。
ここまで見てきたように、平均価格だけを見てしまうと、「到底買える価格じゃない」「年収1千万円あっても厳しい」と新築分譲マンションの購入を断念してしまうかもしれない。また逆に無理をして、予算オーバーの物件に手を出してしまう可能性もあるだろう。新築分譲マンションの購入を検討している方は数字に惑わされず冷静に市場を見て、資金計画を検討してほしい。
《調査概要》 2023年マンション価格動向 調査対象:首都圏(東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県)、関西(大阪府、京都府、兵庫県、奈良県)、東海(愛知県)で2023年1月から2023年12月末に新築分譲した住戸 調査方法:Realnetマンションサマリの新築マンションデータ元に算出
Finasee編集部
「一億総資産形成時代、選択肢の多い老後を皆様に」をミッションに掲げるwebメディア。40~50代の資産形成層を主なターゲットとし、投資信託などの金融商品から、NISAや確定拠出年金といった制度、さらには金融業界の深掘り記事まで、多様化し、深化する資産形成・管理ニーズに合わせた記事を制作・編集している。
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