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「親しい友人だから大丈夫」信頼関係が裏目に出て金銭トラブルに…20代男性の窮地を救った「予想外の証拠」

Finasee / 2024年11月20日 17時0分

「親しい友人だから大丈夫」信頼関係が裏目に出て金銭トラブルに…20代男性の窮地を救った「予想外の証拠」

Finasee(フィナシー)

<前編のあらすじ>

廣田さん(仮名・男性)は新卒から有名企業に勤める28歳のエリート会社員で、同世代と比べて懐には余裕があった。

ある日、学生時代の友人である近藤さんから「300万円貸してほしい」との相談を受け、廣田さんは事業内容に勝算があると判断して250万円を貸すことに決めた。

しかし、1年後の期日を過ぎても近藤さんから返済はない。電話で話を聞いてみると、「事業がうまくいっていない」と返済の予定すらないようだった。廣田さんは不誠実な対応に怒りを覚え、友人や近藤さんの両親に連絡を取るも解決には至らなかった。

●前編:【エリート会社員が巻き込まれた金銭トラブル…人間関係の崩壊を招いた「1通のメッセージ」】

「親しい友人同士だから」甘い考えが招いた悲劇

これだけ世にお金を貸すなら契約書をしっかり作るべきという意見があふれている中、廣田さんが近藤さんにお金を貸し付ける際に契約書を作らなかったのはなぜか。これもよくあることだが、「親しい友人同士だからそこまでしなくても大丈夫だろう」という甘い考えが原因だ。

「俺たちは友達だし、もめることはない。たかが250万円だ」。お金の受け渡しの際、近藤さんが言ったというこの言葉も、貸す側の廣田さんからすれば「万が一がある」と考える。

しかし、友人から信頼を前面に押し出した言葉を先回りして言われてしまうと、多くの人はそれに流され、不安に思いながらも「契約書を作らなくてもいいか」と考えてしまう。まさに廣田さんと近藤さんもこれで、お金の貸し借りで失敗するたいていのパターンとなる。

信頼関係ありきでお金を貸してしまいその後返済がなされない。人からこの話を聞いたり、メディアで見聞きしたりしても、その時は自分には関係ないと思ってしまうが、本当によくある話なのだ。

それから半年後、廣田さんから私に相談が来た。「どうにか今から返済を受けられないか」というものだった。これまでの経緯を私は廣田さんから聞き、「理論上可能です」と回答し、理由を説明していく。

SNSのやりとりが契約書代わりになるケースも

「まずメモ書きでも録音でもいいです。契約の内容を取り決めた履歴のようなものはありますか?」と廣田さんに問う。それに対して彼は「SNSのメッセージ機能がありまして、そのやりとりであれば……」と答える。

一般的に契約は口頭でも成立するため契約書なぞなくとも契約は有効だ。お金の受け渡しもあり、金の貸し借りという契約は完全に成立している。

だが、口頭のやりとりとお金の受け渡しだけでは証拠がない。「言った」「言ってない」と当事者間の水掛け論で終わらない言い争いが生まれるだけだ。裁判しようにもそれだけではこちらが勝つ見込みはなく、現実的ではない。

そこで活用したいのがメモ書きやSNSでのやりとりの履歴だ。契約書のように形式的な記載方法でなくとも、実印での押印がなくとも、契約の成立は証明できることはある。

もちろん絶対ではないが、裁判の場であってもそれらを証拠として契約書のように利用できることも珍しくはない。

具体的には、当事者である双方が合意した旨や、受け渡すお金の額、あくまでもお金の貸し借りであることなどが明記されていればよい。

早速彼のスマホを借りてSNSでのやりとりを確認すると、お金の額や貸し借りした事実などが確認できた。また、そのSNSでのやりとりが契約書の代わりとなる証拠として利用できることを廣田さんに伝えた。

そして、急ぎ内容証明郵便を作成して送付、近藤さんへ返済を求めることとなった。

その後の廣田さんは…

その後、近藤さんは内容証明郵便の内容を受けてSNSでの記載内容を事実として認め、借りたお金である250万円全額を一括返済した。契約の証明として契約書がなくとも、SNSやメールでのやりとりでも十分に代用できた結果となった。

廣田さんは言う。「SNSでも代用できるなんて知らなかったです。もうお金の貸し借りは懲り懲りですが、万が一同じようなことがあれば今後もしっかり証拠を残したいと思います」。

お金の貸し借りは長年培った信頼関係も一瞬で崩壊させてしまう。

お金の貸し借りをするなら契約書は絶対、という意見もあるが友人や親族が相手だとそうもいかないことが多い。契約書が作れない場合であったなら、せめて廣田さんのようにSNSであっても当事者間でやりとりした履歴を残しておくべきだろう。

※プライバシー保護のため、内容を一部脚色しています。

柘植 輝/行政書士・FP

行政書士とFPをメインに企業の経営改善など幅広く活動を行う。得意分野は相続や契約といった民亊法務関連。20歳で行政書士に合格し、若干30代の若さながら10年以上のキャリアがあり、若い感性と十分な経験からくるアドバイスは多方面から支持を集めている。

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