「S&P500」と組み合わせも最適、「楽天・高配当株式・米国ファンド」が売れている理由
Finasee / 2024年11月14日 7時0分
Finasee(フィナシー)
楽天証券の投信売れ筋ランキングの2024年10月のトップ2は前月と同様に「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」、「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」だった。今年に入ってから、この2銘柄がトップ2を独占し、2月までは「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」がトップだったものの、3月以降は「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」がトップを独走している。第3位には前月10位だった「楽天・高配当株式・米国ファンド(四半期決算型)」がジャンプアップした。また、第9位にトップ10圏外から「iFreeNEXT FANG+インデックス」がランクインし、この2銘柄の上昇によって他の銘柄はランクを落とす結果になった。
◆「高配当株式」が人気化する背景売れ筋の第3位に上昇した「楽天・高配当株式・米国ファンド(四半期決算型)」は、「ダウ・ジョーンズUSディビデンド100インデックス」に連動するETF「シュワブ米国配当株式ETF(ティッカー:SCHD)」に投資するファンドで、2024年9月18日に新規設定された。「ダウ・ジョーンズUSディビデンド100インデックス」は、10年以上連続して配当を出している時価総額が5億ドル以上の配当利回りが高い100銘柄で構成されているインデックス。100銘柄の選定にあたっては、時価総額だけでなくROE(自己資本利益率)や過去5年間の配当成長率などのファンダメンタルズが優良な銘柄を選定している。「SCHD」に投資することによって、高い配当金の受け取りと株価の値上がり益の両方が期待できる。
「SCHD」の組み入れ上位銘柄は、ファンドの月報によると2024年9月末時点で、上位10銘柄は「ホームデポ」「ヴェライゾン・コミュニケーションズ」「ブラックロック」「シスコ・システムズ」「シェブロン」「ブリストル・マイヤーズスクイブ」「ファイザー」「ロッキードマーチン」「テキサスインスツルメンツ」「アッヴィ」となっている。金融やエネルギー、ヘルスケア、資本財・サービスなどに広く分散され、これまで米国株式市場をけん引してきたITやコミュニケーション・サービスの大手企業とは異なる企業群になっている。ハイテク大手の「マグニフィセント・セブン」が上位に並ぶ「S&P500」を保有している投資家が、業種分散を図る投資先としても魅力的だ。
同ファンドは、「SCHD」が米国では人気のあるETFであり、日本からは直接購入ができないETFだったものをファンドにすることによって円建てで手軽に購入できるようになったことなどが高く評価され、設定直後から人気化。販売開始からわずか26日間で純資産増額が300憶円を突破し、11月5日には500億円も超えた。
◆再度注目を集める「FANG+インデックス」10月のランキングで第9位に食い込んだ「iFreeNEXT FANG+インデックス」は、これまでの米国株式市場の上昇をけん引してきたハイテク大型株10銘柄に集中投資するファンドだ。組み入れ銘柄は、「エヌビディア」「クラウドストライク」「ブロードコム」「メタ・プラットフォームズ」「アップル」「アルファベット」「ネットフリックス」「アマゾン・ドット・コム」「マイクロソフト」「サービスナウ」となっている。9月末時点で過去1年間に「エヌビディア」の株価は179.3%上昇し、「ブロードコム」は110.9%高、「メタ・プラットフォームズ」は91.3%高など、最も上昇率が低かった「アルファベット」が27.1%高というくらいに、株価が大幅高になっている。
同ファンドの基準価額は7月11日に6万7148円の最高値をつけた後、8月6日には基準価額が4万9755円まで急落した。そこから復調し、10月31日は6万2744円になった。7月下旬から8月6日までの下落のきっかけは「アルファベット」や「テスラ」の決算が期待に届かなかったことによる株価急落があったためだ。また、日銀が追加利上げを実施したことによって急速な円高ドル安が進んだことも同ファンドの基準価額にはマイナスインパクトが大きかった。
8月までは楽天証券の売れ筋トップ10に入っていた同ファンドは9月にはトップ10から滑り落ちてしまった。そして、9月24日に発表された「FANG+」指数の構成銘柄の入れ替えによって「テスラ」と「スノーフレーク」が除外され、新たに「クラウドストライク・ホールディングス」と「サービスナウ」が採用された。「テスラ」は売上高成長率が6月時点の59位から89位に後退するなど総合順位が6月の9位から11位に後退した。「スノーフレーク」も時価総額が6月の29位から38位に後退し、PSRも14位から32位に後退するなどで総合順位が14位に後退した。「FANG+」が重視する4つの指標(時価総額、1日平均売買高、PSR、売上高成長率)で総合順位が11位以下になると入れ替えの対象になる。10月以降の基準価額の回復には、この銘柄入れ替え効果も貢献している(除外されたテスラとスノーフレークの株価は横ばい、追加されたクラウドストライクとサービスナウの株価は上昇)。
なお、10月のランキングから「楽天・インデックスファンド」シリーズの中から、運用管理費用(信託報酬)が最安(楽天証券の取り扱いファンドの中で)、かつ、投信残高ポイントプログラムの対象ファンドを「楽天・プラス」シリーズとして切り分けた。「楽天・プラス」シリーズは、低コストでポイントも貯まるファンドシリーズになっている。
執筆/ライター・記者 徳永 浩
Finasee編集部
「一億総資産形成時代、選択肢の多い老後を皆様に」をミッションに掲げるwebメディア。40~50代の資産形成層を主なターゲットとし、投資信託などの金融商品から、NISAや確定拠出年金といった制度、さらには金融業界の深掘り記事まで、多様化し、深化する資産形成・管理ニーズに合わせた記事を制作・編集している。
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