1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 経済
  4. 経済

まさか年金額が増えるなんて…失業による老後不安から一転、60代男性が“通常より多い年金”をもらえたワケ

Finasee / 2024年11月16日 11時0分

まさか年金額が増えるなんて…失業による老後不安から一転、60代男性が“通常より多い年金”をもらえたワケ

Finasee(フィナシー)

<前編のあらすじ>

浩司さん(仮名)は11月で64歳になり、58歳の妻の早苗さん(仮名)と2人で暮らしています。

浩司さんは19歳になる頃から同じ会社に40年以上勤務し続けていましたが、63歳の頃に会社が倒産して失業してしまいます。その後は失業給付を受けながら再就職を目指していましたが、うまくいかず単発のアルバイトでわずかな収入を得ていました。その様子を見た早苗さんはパートを始めて家計を支え始めます。

浩司さんは特別支給の老齢厚生年金(特老厚)が64歳から受給できるようになるものの、過去の「ねんきん定期便」に記載されていた見込額に不安を感じ、老齢基礎年金の繰上げ受給を検討し始めます。ところが年金事務所での相談の結果、特例により通常より多い年金が受け取れることが判明しました。

●前編:【60代男性が会社の倒産で失業、年金額も厳しく家計の危機に…夫婦の老後不安を解決した「驚きの事実」とは】

浩司さんが通常より多く年金を受けられる理由とは?

年金事務所の担当職員が浩司さんに説明したところによると、「浩司さんは19歳の時に就職して63歳まで44年以上会社に勤務していました。厚生年金の加入期間が528月以上ある場合は『長期特例』と言いまして通常より年金は多く受け取れます」とのことでした。

浩司さんが見た「ねんきん定期便」では、まだ528月を満たしていない状態で長期特例は不該当でしたが、64歳時点では既に528月を満たして長期特例の年金が支給されることになります。浩司さんは今まで聞いたことがない話だったので、驚きます。

続けて職員は「具体的には、浩司さんの世代の方は本来、特老厚は報酬比例部分しか受け取れませんが、この特例によって定額部分が受けられ、浩司さんの場合は年下の配偶者さまがいますから加給年金も加算されます」と言い、その年金額については「現在の年金加入記録、今年度の額で、報酬比例部分は150万円ちょっとですが、これに加わる定額部分は81万6000円、加給年金は40万8100円、合計すると272万円程度となります」と説明します。長期特例は特老厚のみにある制度のため、64歳から65歳までの1年間がこの特例の対象となります。

65歳からの年金については、こちらにも早苗さんが65歳になるまで(浩司さんが71歳になる頃)加給年金が加算されます。加給年金は元々「ねんきん定期便」には記載されていない年金ですが、その間は引き続き長期特例と同じく272万円程度支給されることになっています。

浩司さんは「65歳までの1年間の年金が特例で多いだけでなく、65歳以降の年金も『ねんきん定期便』より多いのですね。それは知らなかった!」「これなら何とかなるかも」と安堵します。

働くと年金はどうなる?

しかし、浩司さんはふと「そういえば、働いて収入があると年金ってカットされるんじゃなかったかなぁ」と疑問を抱きます。そして、「安定した職が見つからなくて、時々単発のアルバイトはしてるんですけど、収入は一応あるんですよね」と職員に告げます。

すると職員は「注意点としまして、この65歳までの長期特例は厚生年金の加入者になると適用がされず、定額部分と加給年金は0円になります。そして、厚生年金に加入して一定の給与を受けると報酬比例部分は在職老齢年金制度でカットされます。しかし、厚生年金未加入の働き方であれば影響は受けません」と教えてくれました。また、在職老齢年金制度は65歳以降の年金にもあることを補足説明されました。

長期特例の注意点と在職老齢年金制度について説明を受けた浩司さんは「厚生年金は入ってないし、じゃあカットされず全額受け取れる。もし、厚生年金に入って年金が減っても、それはそれで給与収入も見込めることにはなるな」と納得しました。

年金の心配がなくなり将来不安が解消される

年金事務所から帰った浩司さんは早苗さんに「年金事務所から俺の年金、多いと言われた。だから早苗も無理してパートしなくていいよ」と伝えます。

しかし、早苗さんは「けど、私が働けばその分さらに収入も増えて老後も安心でしょ? だからパートは続けようかなと」「今まで44年も会社で頑張ってくれてたんだもの、老後も長いだろうし私もパートして支えようと思って」と浩司さんに言います。

浩司さんは「そうか。わかった、ありがとう」と会社員時代から失業した今に至るまで長年支えてくれて、老後のことまで考えてくれていた早苗さんに深く感謝するのでした。

今回は長期特例について解説しましたが、年金制度にはさまざまな特例が用意されています。該当した結果、多く年金が受け取れることもありますので、事前に確認してみることがポイントです。

※プライバシー保護のため、内容を一部脚色しています。

五十嵐 義典/ファイナンシャルプランナー

よこはまライフプランニング代表取締役、1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP®認定者、特定社会保険労務士、日本年金学会会員、服部年金企画講師。専門分野は公的年金で、これまで5500件を超える年金相談業務を経験。また、年金事務担当者・社労士・FP向けの教育研修や、ウェブメディア・専門誌での記事執筆を行い、新聞、雑誌への取材協力も多数ある。横浜市を中心に首都圏で活動中。※2024年7月までは井内義典(いのうち よしのり)名義で活動。

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

デイリー: 参加する
ウィークリー: 参加する
マンスリー: 参加する
10秒滞在

記事にリアクションする

次の記事を探す

エラーが発生しました

ページを再読み込みして
ください