インド株、米国ハイテク株に続いて注目は「金融株」。金利復活で「ダイワ金融新時代ファンド」に注目!
Finasee / 2024年11月18日 7時0分
Finasee(フィナシー)
大和証券の投信売れ筋ランキング(週間)の2024年10月(最終週)のトップ2は前月と同様に「ダイワ・ダイナミック・インド株ファンド」、「アライアンス・バーンスタイン・米国成長株投信Bコース(為替ヘッジなし)」だったが、第3位以下が大きく変動した。前月(最終週)は第3位と第4位だった「ダイワ・ブルベア・ファンド6 ブル3倍日本株ポートフォリオ6」と「ダイワ・ノーロード 日経225ファンド」がトップ10から滑り落ち、代わりにトップ10圏外から第7位と第8位、第10位に「netWIN GS テクノロジー株式ファンド Bコース(為替ヘッジなし)」と「ダイワ金融新時代ファンド」、「インベスコ 世界厳選株式オープン<為替ヘッジなし>(年1回決算型)【愛称:世界のベスト】」が食い込んだ。
◆「日本株」レバレッジ型が失速前月は売れ筋の第3位だった「ダイワ・ブルベア・ファンド6 ブル3倍日本株ポートフォリオ6」がトップ10から姿を消した。同ファンドは2024年7月から3カ月連続で売れ筋トップ10に入り、7月には第2位になっていた。「ブル3倍日本株ポートフォリオ」という名前の通り、株式市場の動きに対して3倍(10%値上がりした場合は30%の値上がり)の値動きをするように設定されているため、「日本株が上昇する」という見方が強まるほどに人気を集める傾向がある。その人気が落ちたのは、日本株に対する上昇期待がはがれたのだろうか?
実際の基準価額の動きは、9月末の1万4863円が、10月末には1万6009円へと値上がりしている。ただ、10月25日には1万4786円と9月末水準を割り込んでいた。株価の値動きの数倍の比率で基準価額が動く「ブルベア型」のファンドは基準価額の動きの幅が大きいため、タイミングを計って投資する人が多い。比較的短期で売買される傾向がある。そのため、人気の隆盛や衰退も明確に出やすいところがある。
今年7月時点では、日経平均株価は4万円を超え、7月11日には今年の最高値、かつ、史上最高値である4万2224円(終値)を付けた。「ブル3倍日本株ポートフォリオ」の人気が高まったのは、株価が史上最高値に達して一段と高値を更新していくという期待が高まったからに他ならない。日経平均株価は5万円に向かって上昇が加速すると考えた人が少なくなかったということだ。米国株では7月12日に40000ドルだった「NYダウ」は10月18日には4万3275ドルと上昇し、11月11日には4万4293ドルに達している。7月時点で「ブル3倍日本株ポートフォリオ」を購入した投資家が期待したのも、「NYダウ」のような動きだったろう。
しかし、実際には日経平均株価は7月22日に4万円の大台を割り込み、その後、4万円台を回復することはなかった。10月末時点は3万9081円だ。7月に大きく盛り上がった日本株の株高への期待は、3カ月にわたって期待が裏切り続けられたため、さすがに息切れし、期待もはがれたものと考えられる。前月は第4位の人気だった「ダイワ・ノーロード 日経225ファンド」も同時にトップ10から姿を消したことで、日本株への期待が後退した印象を強めた。10月最終週のランキングのトップ10で日本株ファンドは、第4位にある「ストック インデックス ファンド225」と第8位にランクインした「ダイワ金融新時代ファンド」だけになってしまった。11月以降に日本株ファンドへの人気の復調があるのか注目したい。
◆デフレ脱却で「金融」の逆襲が始まる?10月のランキングの特徴は、日本株上昇への期待の後退とともに、「netWIN GS テクノロジー株式ファンド Bコース(為替ヘッジなし)」や「半導体関連 世界株式戦略ファンド(愛称:半導体革命)」のランクアップにみられる米国ハイテク株人気の復調だ。これまでの上げ相場の主役であった米国大型ハイテク株への期待が戻ることによって、「フィデリティ・世界割安成長株投信(愛称:テンバガー・ハンター) Bコース(為替ヘッジなし)」や「インベスコ 世界厳選株式オープン<為替ヘッジなし>(年1回決算型)【愛称:世界のベスト】」などのここ数年の主力ファンドも復調している。
一方、日本株についても「日経225」のようなインデックスについては評価が後退しているものの、投資先を「金融」に絞り込んだ「ダイワ金融新時代ファンド」は、急速に評価を高めている。同ファンドは、「三菱UFJフィナンシャル・グループ」「三井住友フィナンシャルグループ」「みずほフィナンシャルグループ」といったメガバンクの他、「東京海上ホールディングス」「第一生命ホールディングス」「野村ホールディングス」など生損保・証券まで、日本の「金融」に特化して投資している。その結果、過去のパフォーマンスは、2024年10月末時点で過去5年間でTOPIX(配当込み)が+82.3%のところ、同ファンドは+138.7%、過去3年でもTOPIXの+45.2%に対して+103.7%、過去1年でもTOPIXが+22.4%のところ+30.1%と、ここ数年のパフォーマンスが非常に優れている。
国内の銀行は、デフレ(物価下落)による国内景気の低迷、ゼロ金利政策が長期化する中で収益機会を奪われ、非常に厳しい経営環境を強いられてきた。実際に、同ファンドが設定された2006年5月30日から2024年10月末までの設定来のパフォーマンスは、TOPIXが+146.3%と約2.5倍になる中で、同ファンドは+37.1%にとどまる。TOPIXの水準に追いつくには、ここから基準価格が2倍になってもおかしくない。2024年3月の政策決定会合で日銀はマイナス金利政策の解除を決定し、7月に「0~0.1%程度」としていた政策金利を「0.25%程度」に引き上げることを決めた。この「0.25%程度」という政策金利は、リーマン・ショック後の2008年10月末から12月中旬まで続いた「0.3%前後」以来の水準だ。日本は約16年ぶりに「金利のある世界」に戻り、これから金融の正常化に向けた動きが本格化していくことと期待されている。
「デフレ脱却」や「金融の正常化」は国内景気の底堅さを背景に進んでいる。景気が良く、かつ、金利がある環境は、これまで「ゼロ金利」「マイナス金利」に苦しめられてきた銀行業界にとっては収益拡大のチャンスとなるだろう。同ファンドは、10月末時点のポートフォリオで55.2%を銀行業に割り当て、銀行の収益改善に投資している。過去5年でTOPIXを上回る成績になったとはいえ、より長期のパフォーマンスではTOPIXを下回っているため、依然としてTOPIXをキャッチアップする上昇が期待されるところだ。
執筆/ライター・記者 徳永 浩
Finasee編集部
「一億総資産形成時代、選択肢の多い老後を皆様に」をミッションに掲げるwebメディア。40~50代の資産形成層を主なターゲットとし、投資信託などの金融商品から、NISAや確定拠出年金といった制度、さらには金融業界の深掘り記事まで、多様化し、深化する資産形成・管理ニーズに合わせた記事を制作・編集している。
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