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その「安定した利回り」は本当か? “うたい文句”にひそむ“ワナ”を見抜く、たった一つの知っておくべき方法

Finasee / 2024年12月4日 12時0分

その「安定した利回り」は本当か? “うたい文句”にひそむ“ワナ”を見抜く、たった一つの知っておくべき方法

Finasee(フィナシー)

だまされないために必要な”知識”

また投資詐欺のニュースがあった。いつも、ほぼ「ポンジスキーム」であろう詐欺により何百億ものお金が集まったことへの驚きと、お金が戻ってこない被害者の声に心を痛める。

おそらく今後も永遠になくならないものなのだろう。でもなぜ被害者はだまされてしまうのだろうか。そしてなぜ自分はだまされない自信があるのかと考えてみた。すると投資詐欺の一つの傾向と、だまされないために必要な知識が見えてきた。それは「利回り」である。

この記事では利回りに関する正しい理解をしていただくことで、一人でも投資詐欺に引っかかる方が減ることを願っている。

投資詐欺は何も無知な個人だけがだまされてきたわけではなく、これまで投資を本業とする年金基金などが多額の資金を消失した事件もある。しかしほとんどの投資詐欺の共通点は「安定した利回り」をうたうことだ。

その安定した利回りというのが詐欺の場合はほぼポンジスキーム、つまり集めた投資資金をそのまま定期的に分配金として返していくだけのスキームであるわけだが、詐欺師はもちろんそのような説明をするわけがない。集めた資金を運用することによって、利回りを”生む”という説明をするのである。

そこで、利回りはどのように生むことができるのかというベーシックな理解があれば、詐欺師の説明の怪しい点に気が付き、だまされる可能性が減ると思うのである。

安定した利回りが創出される2つの方法とは

実は、安定した利回りが創出される方法は、ざっくりと次の2つしかない。

①利回りを生む資産に投資する方法

代表的なのは不動産投資である。不動産のオーナーには入居者から賃料が支払われる。この賃料が利回りということになる。

②利回りを得る契約を結ぶ=すなわちお金を貸す方法

お金を一定期間貸す代わりに、貸している間は金利を払ってもらう。これが利回りになる(※もう一つの方法としてデリバティブを使う…例えば株価が一定の範囲内に収まっていれば一定の利回りを受け取れるが、範囲外になると大きく損をするような取引を使う方法もあり、昨今問題になった仕組債によく使われる手法であるが、ここでは別種のものとしたい)。

ところで以上2つの方法の注意点は、元本の保証はないことである。100万円の不動産に投資しても、最後に100万円で戻ってくる保証はない。また100万円を誰かに貸しても、契約どおり100万円が返されるとは限らない。

とは言え、良い不動産や借り手を選び、そのリスクに応じた利回りを受け取るのなら、投資として成功する(つまり儲かる)可能性は十分にある。大切なのは、良い不動産や借り手を十分に審査して選べるかどうかであって、その道のプロが世の中には多く存在する。

上記のような方法で利回りを得るプロであると偽るが実は詐欺師という場合もあるものの、案外少ないように思う。理由はおそらく、上記2つの方法をうたう場合、実際にどの不動産に投資しているか、どういった借り手に貸し付けているかを投資家が確認しやすいからと思われる(ポンジスキームであればそれを示せない)。

機関投資家が投資する一流ファンドか否か確認する

それでもその手の詐欺師はいるが、それを避ける簡単な方法としては、一流のファンドにしか投資しなければ良いのだ。例えば、投資家が個人だけではなく、機関投資家が投資しているかどうかを確認すれば良い(筆者が創業したKeyaki Capitalでは、機関投資家にしか門戸が開かれていなかった一流ファンドを個人に届けることを目指している)。

さて安定利回りをうたう詐欺師は、実は上記2つの方法ではなく、別の方法で利回りを生むとうたうことが多いようだ。簡単に言うと、「うまいこと運用で儲けます」と言うのである。

たしかに、運用の技術によってマーケットの状況に関わらず安定的に儲けることを目指すプロ(総じてヘッジファンドと呼ぶ)も存在し、代表的な手法は売りと買いを組み合わせて鞘(さや)を取るというものだが、簡単なことではない。

儲けるか損するかはあくまで運用者の判断次第になるので、一流と言われるヘッジファンドでさえ、安定した利回りを生むことができるとは限らない。従って一流のヘッジファンドは資金を集める時、決して「安定した利回り」を約束したりはしない。

そして運用手法と投資対象が一般的に理解しがたく見えにくいため、ブラックボックス化してしまう。実際に集めたお金を投資しているかどうかさえ見えにくくなってしまい、そこに詐欺師が付け入る隙がある。

もちろん一流のヘッジファンドは世界には数多くある。しかし「安定した利回り」を、運用者依存の投資手法でうたっている場合、さらに運用対象がデリバティブや暗号資産(仮想通貨)など分かりにくい場合、個人のお金しか集めていない場合などは、疑ってかかることをお勧めする。

木村 大樹/Keyaki Capital代表取締役CEO

野村證券でオルタナティブ商品の営業に従事した後、ニューヨークで証券化ビジネスに携わり、サブプライム危機に直面しながら問題解決に努める。帰国後はバークレイズ証券を経て、2012年にシティグループ証券の年金ソリューション部長、2015年からはマッコーリー・インベストメント・マネジメント日本代表。2020年に個人に公開されていない世界中のプライベートアセットへの投資機会を、充実感と高揚感に満ちた投資体験として提供するKeyaki Capitalを創業。一橋大学経済学部卒。

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