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遺言書に「すべて長女に相続させる」…他の相続人に遺産を渡さなくても有効なの?

Finasee / 2024年11月28日 19時0分

遺言書に「すべて長女に相続させる」…他の相続人に遺産を渡さなくても有効なの?

Finasee(フィナシー)

いつか訪れるのに、ついつい話し合いを先延ばしにしまいがちな「相続」。相続問題に詳しい弁護士の古山隼也氏は「相続には予想外のトラブルがつきもの」といいます。相続をきっかけに家族がバラバラになる「争族」にならないためにも、今回は相続に関するよくある疑問を、Q&A形式で古山氏に解説してもらいます。(全4回の2回目)

●第1回:相続放棄しても「空き家」は管理しないとダメ? 民法改正による管理義務の変更ポイントをチェック

※本稿は、古山隼也著『弁護士だからわかる!できる! あんしん相続 手続きの「めんどくさい」「わからない」「ストレス」が消える!』(Gakken)の一部を抜粋・再編集したものです。

1人にすべての遺産を渡したい

 Q. 遺言書に「長女にすべてを相続させる。次女には一切財産を相続させない」と書いたらダメですか?

A. 遺言書に書くのは自由です。

遺言の内容が一部の相続人の遺留分(相続人に認められた最低限の財産保障)を侵害していることは遺言の効力に影響を与えません。

そのため「特定の相続人に遺産全部を相続させる」という内容の遺言は有効です。

しかし、遺留分を侵害された相続人が、受贈者(贈与を受けた人)や受遺者(遺言によって財産を受け取った人)に対して、遺留分侵害額請求をする可能性はあります(民法1046条)。

そこで「最低限、遺留分に相当する財産を相続させる」という内容の遺言にするなど、相続人同士の間でトラブルが起こらないよう配慮するのが一般的です。

遺留分は事前に放棄できる

どうしても遺留分侵害が生じる遺言を作成したい事情がある場合は、遺言書の「付言事項」を活用します。

付言事項に法的効力はありませんが、なぜこのような遺言を作成したのか遺言者の考え方を説明し、遺留分侵害額請求をしないように伝えることはできます。

相続分を減らされる人がそれで納得してくれればいいのですが、遺留分侵害額請求をする意思があれば、止めることはできません。

トラブルを避けるためには、事前に遺留分を放棄するようお願いする対価として(遺留分は事前に放棄できます。民法1049条1項)、被相続人(亡くなった人=相続される人)の財産の一部を生前贈与することを提案するといった方法も考えられます。

●第3回は【認知症への備えとして注目度が高まる「家族信託」。弁護士が仕組みを解説】です。(11月29日に配信予定)

弁護士だからわかる!できる! あんしん相続
 

著者名 古山 隼也

発行 Gakken

価格 1,760円(税込)

古山 隼也/弁護士

1980年生まれ。大阪府出身。大阪市立大学(現・大阪公立大学)法学部卒業。大阪市職員として勤務後、京都大学大学院法学研究科卒業。2011年に司法試験合格。大阪市内弁護士法人、京都市内法律事務所勤務を経て、「生活を支える法律事務所はもっと身近な場所にあるべきだ」という思いから、2017年に出身地である大阪府枚方市に古山綜合法律事務所を設立。地域密着型の法律事務所として、個人の身近な法律問題をサポートしている。大阪市職員時代に介護保険を担当していた経験から高齢者問題に明るく、FP(ファイナンシャルプランナー)の資格も有していることから、とくに相続など税務に関わる案件を得意とする。著書に『弁護士の顔が見える 中小企業法律相談ガイド』(共著/第一法規)、『弁護士だからわかる!できる! あんしん相続』(Gakken)。

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