【新NISA】どんな商品に投資できる?国の制度だからこその「メリット」とは
Finasee / 2024年11月22日 18時0分
Finasee(フィナシー)
新NISAでは株式や投資信託に投資できます。ただし、つみたて投資枠で投資できる商品は限定的です。国の基準を満たした商品以外には投資できません。
なお、国の基準が定められていることは投資家にとって、メリットも小さくありません。例えば、運用にかかるコストが一定以下になるような基準もあります。また成長投資枠なら、このような基準を満たさない銘柄にも投資可能です。
今回は新NISAで投資できる商品について押さえましょう。つみたて投資枠を中心に触れ、最後に成長投資枠との違いを紹介します。
つみたて投資枠は国の基準を満たした投資信託に限定新NISAのつみたて投資枠で投資できるのは、国の基準を満たした投資信託です。基準に満たない投資信託には投資できません。また個別の株式に直接投資することも認められていません。
国の基準は以下のとおりです。大まかに挙げると、「運用が長く続く」こと、「分配頻度が少ない(運用資産が流出しにくい)」こと、「あえてリスクを高めた運用を行わない」こと、「低コストで運用できる」ことが期待できるような要件が定められています。
【つみたて投資枠の対象ファンドの主な要件(ETF除く)】
・信託契約期間(運用の予定期間)が無期限または20年以上
・毎月分配型でない
・デリバティブ取引による運用を行わない(ヘッジ除く)
・ノーロード(販売手数料が無料)
・信託報酬が一定以下
出典:金融庁 NISAを利用する皆さまへ
次からは、上記の基準を「運用方針」と「コスト」に分けて詳しく解説します。
満期が近い、毎月分配型、デリバティブ型はNGまずは運用方針に関する基準を押さえましょう。運用方針の要件は主に信託契約期間、分配方針、デリバティブ取引で定められています。信託契約期間と分配方針は資産の積み上げに役立つよう、デリバティブ取引は過度なリスクテイクとならないような仕組みとなっています。
信託契約期間は、運用を終えるまでの期間です。運用終了が近い銘柄は、せっかく資金を投じても満期ですぐに返ってきてしまいます。資産形成を支援するNISAの性質に沿わないため、信託契約期間は無期限か20年以上が求められます。
同様の考え方は、毎月分配型を除外していることにも反映されていると考えられます。
毎月分配型とは、分配金の毎月の支払いを目指す投資信託のことです。分配金は運用資産から現金として投資家に払い出されるお金です。つまり、預け入れた資金が現金として投資家に返ってくるお金といえます。同じく資産形成には逆行することとなるため、毎月分配型は除外されていると考えられます。
デリバティブ取引とは、端的にいえば現物の資産以外の売買を指します。先物やオプションなどが代表的です。投資家から集めた資金以上の取引ができるため、実質的な運用額を膨らませ、相対的にリスク量を増やすことができます。このような運用を行う銘柄は、つみたて投資枠の対象外です。
ただし、ヘッジ目的でデリバティブ取引を行う銘柄は対象商品に含まれます。ヘッジ目的のデリバティブ取引は、原則としてリスク量は増えません。例えば為替ヘッジは、海外への投資に伴う為替リスクをデリバティブ取引で相殺します。
販売手数料はゼロ、信託報酬は一定以下に次につみたて投資枠における基準のうち、コスト面を押さえましょう。コストに関しては販売手数料と信託報酬で上限が定められています。コストが一定以下の銘柄に限ることで、投資家が利益を得やすくなるような仕組みとなっています。
販売手数料はノーロードであることが求められます。ノーロードとは、どの金融機関でも販売手数料がかからないことを指します。販売手数料は、投資信託を買うときに販売会社に支払う手数料です。
販売手数料は販売会社(銀行や証券会社など)が個別に決定します。したがって、同じ銘柄でも金融機関によって販売手数料は異なります。しかしノーロードの場合、どの金融機関でも販売手数料がかかりません。
信託報酬は、投資信託の運用の対価として支払う手数料です。お金を代わりに管理・運用してもらうこと対して報酬を支払います。信託報酬は運用会社、販売会社、受託会社(信託銀行など)の3者に支払います。
つみたて投資枠の対象商品は信託報酬に上限が設けられています。インデックス型は最大0.75%、アクティブ型は最大1.5%です。
【つみたて投資枠の対象ファンドの信託報酬の上限(ETF除く)】
出典:金融庁 NISAを利用する皆さまへもっとも、実際の信託報酬はより低い傾向にあります。インデックス型のうち信託報酬の平均は国内型で0.243%、内外・海外型で0.32%です。いずれも上限の半分以下の水準です。
【つみたて投資枠対象商品の信託報酬率の平均(インデックス型、2024年10月)】
・国内型:0.24%
・内外型、海外型:0.32%
出所:金融庁 つみたて投資枠対象商品の概要について(2024年10月)
成長投資枠は選択肢が多い 初心者はつみたて投資枠がおすすめ最後につみたて投資枠と成長投資枠の違いを紹介します。
成長投資枠では個別の株式と投資信託に投資できます。投資信託は、つみたて投資枠の対象商品も投資できます。また国の基準を満たさない投資信託も対象です。商品の選択肢は、成長投資枠の方が幅広い仕組みとなっています。
ただし株式は監理銘柄と整理銘柄には投資できません。監理銘柄は上場廃止のおそれがある株式、整理銘柄は上場廃止が決定した株式を指します。また投資信託は、信託契約期間20年未満や毎月分配型、ヘッジ目的を除くデリバティブ型の銘柄は、成長投資枠でも対象外です。
【新NISAで投資できる商品の概要】
出所:金融庁 NISAを知るつみたて投資枠の対象商品に設けられた基準は、投資の自由度を狭める側面もあります。とはいえ、初めて銘柄を選ぶ層にとっては、比較的優良な銘柄に出会いやすい仕組みであるともいえます。
銘柄の選定に自信がない初心者は、まずはつみたて投資枠からスタートするようおすすめします。成長投資枠は、投資に慣れてきたころに検討してみてください。
若山 卓也/金融ライター/証券外務員1種
証券会社で個人向け営業を経験し、その後ファイナンシャルプランナーとして独立。金融商品仲介業(IFA)および保険募集人に登録し、金融商品の販売も行う。2017年から金融系ライターとして活動。AFP、証券外務員一種、プライベートバンキング・コーディネーター。
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