山の手エリア、中古マンション価格高騰のワケを探る、カギは需給ギャップか?
Finasee / 2024年11月22日 19時0分
Finasee(フィナシー)
2023年以降の「成約価格」は右肩上がりの上昇
マンション売買の際、最終的に売り手と買い手が合意した価格を意味するのが、成約価格だ。普段私たちが広告で目にする、マンションの売り出しを始めるときの売出価格とは別物である。売出価格は「いくらで売りたいか」という売り手の希望を加味して決められている。
今回参考にするのは、不動産関連サービスを手掛けるマンションリサーチ株式会社と一心エステート株式会社が実施した調査だ。同調査ではまず、山の手エリア(千代田区、中央区、港区、渋谷区、新宿区の都心五区と文京区)の2023年1月以降の成約価格の推移をグラフ化している。この成約価格の推移から見ていこう。
コロナ禍が第5類に移行したのは2023年5月だが、その前後から成約価格は徐々に上昇し、特に2024年7月の伸び幅が大きいことがわかる。
出所:福嶋総研 https://lit.link/fukushimasouken「販売期間」と「値下げ回数」が物語る需要の高さ中古マンションの成約価格が右肩上がりの上昇となった背景は何だろうか。調査では、同じ期間の販売期間と値下げ回数に注目した。グラフからは販売期間が短期化しており、また値下げ回数も減少傾向にあることがわかる。これは販売価格を値下げしなくても、すぐ売れてしまう、つまり中古マンションの需要が高いことを示唆している。
出所:福嶋総研 https://lit.link/fukushimasouken山の手エリア特有の相場の強さ販売期間と値下げ回数の低下は調査対象となっている山の手エリア特有の現象なのだろうか。調査では山の手エリア(図では山手線内側と記載)と東京都23区全体との比較も実施した。グラフを見ると販売期間(上段の図)と値下げ回数(下段の図)については両地区とも低下傾向にある。より細かくみると山の手エリアはより低下傾向が顕著であることを示すグラフになっている。同エリアの中古マンション相場の強さを改めて裏付ける結果となった。
出所:福嶋総研 https://lit.link/fukushimasouken人口流入が続くも「新築棟数」は減少し需給にギャップ中古マンション相場高騰の背景には山の手エリア特有の事情がありそうだ。調査では新築マンション竣工棟数(新築棟数)に注目して、1990年以降の推移をグラフ化している。
新築棟数は1998年から比較的高い水準になり、2004年に最多を記録した。それ以降は2013年前後で一時的に増加することはあっても、基本的には減少傾向である。既に山の手エリアには多くのマンションが建てられているため、新たな開発用地の取得が困難だからだ。新築マンションの供給が限られる中で、コロナ禍収束などによる人口の流入が続いたため、需要と供給のギャップから中古マンションの成約価格が高騰している可能性がある。
出所:福嶋総研 https://lit.link/fukushimasouken23区内でも特に高騰率の高いエリアは最後に具体的なエリアごとの高騰率を見てみよう。トップは千代田区の「番町・麹町・半蔵門エリア」で36.9%。渋谷区の「桜丘・南平台エリア」が32.3%、港区の「麻布エリア」が32.1%で続く。
高騰率を23区の地図にマッピングすると、皇居周辺と皇居南側は真っ赤(高騰率が高い)である。特に港区・中央区はほとんどのエリアが20%以上の高騰率だ。また文京区では、中心エリアである「白山・小石川エリア」の高騰率は1.6%と低調だが、外側の「千駄木・根津エリア」、「千石・本駒込エリア」はそれぞれ13.7%、20.6%と比較的高い水準。同じ区であってもエリアごとに高騰率のばらつきがあるようだ。
※下部画像の赤プロット:20%以上高騰 黄プロット:20%未満10%以上高騰 緑プロット:10%未満5%以上高騰 青プロット:5%未満高騰
出所:福嶋総研 https://lit.link/fukushimasouken
Finasee編集部
「一億総資産形成時代、選択肢の多い老後を皆様に」をミッションに掲げるwebメディア。40~50代の資産形成層を主なターゲットとし、投資信託などの金融商品から、NISAや確定拠出年金といった制度、さらには金融業界の深掘り記事まで、多様化し、深化する資産形成・管理ニーズに合わせた記事を制作・編集している。
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