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【ひきこもり歴20年】働かない40代息子に怒り心頭…年金生活の高齢両親が直面する「老後破綻の危機」

Finasee / 2024年12月4日 17時0分

【ひきこもり歴20年】働かない40代息子に怒り心頭…年金生活の高齢両親が直面する「老後破綻の危機」

Finasee(フィナシー)

ひきこもりの長男と父親が言い争いのけんかを繰り返すようになってしまい、父子の仲は日に日に悪化。心配した母親は長男を別居させることも検討しましたが、金銭面での見通しが立たず、別居について父親の理解も得られませんでした。

家族で話し合った結果、長男はある決断をしました。その決断とは一体どのようなものだったのでしょうか。

「やればできる」と思っていた一人息子が20代からひきこもりに

「20年以上ひきこもっている長男について相談したい」

母親からそのような依頼を受けた筆者は、家族会議の場に同席することになりました。

相談者の家族構成は次の通りです。

長男 杉浦隆さん(仮名、40歳) 無職、20代の頃からひきこもり
父親(70歳) 年金生活者
母親(68歳) 年金生活者
※隆さんに兄弟姉妹はいない

杉浦さんの自宅を訪れた筆者が母親に案内されてリビングに入ると、そこには父親と隆さんがいました。お互いの自己紹介を終えた後、筆者は隆さんの状況から伺うことにしました。

隆さんは幼少期の頃から落ち着きがなく、親が目を離した隙にどこかへ行ってしまうような子だったそうです。学生時代、勉強はほとんどできず、成績表は1や2ばかり。人付き合いも苦手で、友人もほとんどいなかったそうです。

そんな隆さんに対して母親は「もっと頑張りなさい。やればできるはず」と叱咤激励をしてきましたが、何も変化は起きませんでした。

当時、父親は仕事一筋で、家の中のことは母親に任せっきり。隆さんのことについて口出しすることはほとんどなかったそうです。

アルバイトも長くは続かず…働くことに自信を失った隆さん

なんとか高校を卒業できた隆さんは「もう勉強はしたくない」と言い、大学には進学せず就職することにしました。

しかし、書類選考で落とされる、面接を受けても不合格になってしまうということを繰り返し、なかなか就職することはできません。

仕方がないので、隆さんはコンビニや居酒屋などでアルバイトをすることにしました。実際に仕事をしてみると、上司の指示が理解できない、仕事がなかなか覚えられず作業も遅い、上司から叱られてしまうことが多いといったことで、いずれのアルバイトも長続きしませんでした。

働くことにすっかり自信を失った隆さんは次第に外出する頻度も減り、20代の頃からひきこもりのような生活をするようになってしまいました。

「さすがに何かがおかしい」

母親はそう感じ、書籍などでいろいろ調べるようになったそうです。そして「ひょっとしたら、この子には発達障害があるかもしれない」と疑うようになりました。

母親は隆さんを説得し、大人の発達障害も診てくれる病院を受診させました。検査の結果、隆さんには発達障害があることが分かりました。その後、隆さんは医師の勧めで障害基礎年金を請求。無事、障害基礎年金の2級が認められました。年金収入が得られるようになった隆さんはその後も仕事をすることはなく、自室で静かに過ごす日々を送ってきたそうです。

父親のリタイアで父子の関係が悪化

しかし、そのような平穏な生活は父親が70歳になった後に一変してしまいました。

父親は70歳になったのを機に仕事を完全にリタイア。家の中で過ごす時間が増えたためか、急に家の中の様子が気になりだしたようで、ひきこもり状態にある隆さんに苦言を呈するようになったのです。その苦言に対して隆さんも反発。毎日のように言い争いのけんかをするようになりました。

父子の仲がどんどん悪くなっていくのを心配した母親は、隆さんを別居させることも考えるようになりました。別居に関しては隆さんも同意を示しています。

その一方で父親は隆さんの別居に反対。

「別居費用は親が負担することになるのだろう。うちにはそんなお金はない」というのが父親の言い分のようです。

別居費用負担で6000万円の赤字⁉ 判明した年金生活への大打撃

家族の話がかみ合わず物事が先に進まないため、筆者は次のような提案をすることにしました。

「仮に隆さんが別居したらどのくらいのお金がかかるのか? 大まかな金額になってしまいますが、今ここで確認してみませんか? まずは『隆さんの住まいはどうするのか』を決めてみましょう」

母親と隆さんの希望により、現在の自宅近くにワンルームマンションを借りる想定としました。筆者はスマホを取り出し、周辺の家賃相場を調べてみたところ、家賃と管理費の合計で月額8万円~9万円になることが分かりました。

次に基本生活費の金額です。基本生活費には、食費、水道光熱費、通信費(スマホ代やプロバイダー代)、被服費、日用品や雑費、医療費などがあります。隆さんは発達障害の特性上、手先が不器用で手順を踏んだ作業も苦手なので自炊は困難とのこと。そこで食費を多めに見積もることになり、基本生活費は月額10万円としました。以上のことから、隆さんの支出は月額約19万円とします。

隆さんの現在の収入は障害基礎年金の2級および障害年金生活者支援給付金の月額7万3310円(2024年度の金額)。よって月の赤字は約12万円となります。

仮に赤字の月12万円を親が負担した場合、1年間で144万円になります。

隆さんの平均余命の82歳までの42年間で計算すると、赤字の合計は6000万円を超えてしまいます。

この金額に母親も隆さんもびっくりした表情になりました。

「さすがに6000万円は用意できません……」

母親は小さな声で言いました。

隆さんも自分の生活費だけで6000万円もかかることは想定外だったようです。

すると、それまで黙って話を聞いていた父親が口を開きました。

「お話の途中、横から失礼します。私からすると『親のお金をあてにして生活しようとする時点で甘えている』としか思えないのです。別居うんぬんの前に本人が仕事をして自分の生活費を稼げるようになるのが先ではないのでしょうか? 息子はなぜ今になっても仕事をしないのか? そこが理解できないのです」

父親は声を荒らげることなくそう言いましたが、その声には怒りの感情がこもっていました。

隆さんが別居した場合のお金の見通しが立たず、父子関係は悪化したまま。

一体どうすればよいのか。隆さんと母親は一層不安な表情になってしまいました。

●ひきこもり歴20年の息子とそれを許せない父親。家族が行き着いた驚きの結末は、後編「なぜ仕事をしないのか?」40代ひきこもり息子が年金暮らしの両親に打ち明けた「意外すぎる本音」で詳説します。

※プライバシー保護のため、内容を一部脚色しています。

浜田 裕也/社会保険労務士・ファイナンシャルプランナー

親族がひきこもり経験者であったことから、ひきこもり支援にも携わるようになる。ファイナンシャルプランナーとして生活設計を立てるだけでなく、社会保険労務士として利用できる社会保障制度のアドバイスも行っている。ひきこもりのお子さんに限らず、障害をお持ちのお子さん、ニートやフリーターのお子さんをもつ家庭の生活設計の相談も受けている。『働けない子どものお金を考える会』のメンバーでもある。

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