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日本人は6人に1人しかパスポートを持っていない現実…英語の学び直しで得られる「一番大きな財産」とは?

Finasee / 2024年12月15日 17時0分

日本人は6人に1人しかパスポートを持っていない現実…英語の学び直しで得られる「一番大きな財産」とは?

Finasee(フィナシー)

新しい技術が続々と登場するなか、リスキング(技能の再習得、reskilling)が注目されています。

日本のリスキリング第一人者である後藤宗明氏は、40代で3回のクビ、転職活動では100社以上に落とされる経験をしました。自らの経験をもとに、後藤氏はこれからも必要とされる働き方を手にいれるためには、リスキングが大きなカギを握るといいます。

そこでリスキングにおすすめな4つの成長分野を紹介してもらいます。(全4回の1回目)

※本稿は、後藤宗明著『中高年リスキリング』(朝日新聞出版)の一部を抜粋・再編集したものです。

グローバル分野

訪日外国人数は2024年3月には、ついに月間300万人を超え、単月では過去最高の数値を更新しました。観光立国としてインバウンド需要を戦略的に捉えていく必要があります。

このグローバル分野は、日本の眠れる成長市場なのではないかと思います。海外進出というと、一部の日本の大企業だけに限った話と捉えられてしまう可能性もありますが、インバウンド需要のさらに先を見据えて、今販売している商品、サービスを海外展開していく、ということが考えられます。そうすれば、日本市場における価格維持を気にせず、海外での販売価格を設定できるのです。いうなれば、「今あるものを高く売る」ことができます。

訪日外国人が増えている一方で、2019年12月には23.8%だった日本人のパスポート保有率は、2022年12月には17.1%まで大きく下落しています。これは全国平均の数値で、東京は約30%ですが、地域によっては10%以下のところもあります。

同じ島国でもイギリスのパスポート保有率は2019年時点で76%、アメリカは44%と、大きな差があります。

つまり、この数字から読み取れるのは、コロナ禍の影響もあるかもしれませんが、海外進出を前提とした仕事をしている人がどんどん少なくなっているという現実です。もちろん、パスポートを持っていないにもかかわらず、英語などの外国語が堪能で、輸出業務などでバリバリ活躍している方もいらっしゃるかと思いますが、少なくとも100人中83人の方は海外に行くことを前提に仕事をしていないということです。

訪日外国人は増え続け、日本に対する注目が高まっているのに、日本人は海外に行くことができる人が100人中17人しかいない、これは本当にもったいないことです。

この「もったいない」状況は、働く私たちにとってはチャンスでもあります。外国語を駆使して、訪日インバウンド関連の仕事をする、日本の素晴らしい製品やサービスを海外展開する、といったニーズは、これからも大きくなるはずです。

そこで、こうしたグローバル分野で活躍したいけれども、最初のきっかけを起こせないという方におすすめしたいのが、3カ月間の語学留学です。なぜ3カ月間かというと、国ごとに異なりますが、英語圏ではビザなしで渡航できる期間が最大90日という国が多いからです。また、なぜ語学学校か、というと、海外の大学や大学院へ留学する際に準備や金銭の確保が大変なのとは違って、決断すれば誰でも手軽に行くことができるからです。

「全く違う価値観に触れ、自分の価値観をぶっ壊し客観視する」

新卒入社時のTOEICの点数が380点だった私は、英語コンプレックスと海外で働きたいという思いからまず語学留学をしてみようと考えました。会社に許してもらうことができなかったので、退職して3カ月間、ニューヨークの語学学校へ行きましたが、この3カ月がなかったら、今の私はありません。現在では、英語で仕事ができるようになり、世界の最新情報にアクセスできるようになり、世界のさまざまなコミュニティに所属できるようになり、世界中に友人や仕事仲間ができました。一番大きな財産は、

「日本での働き方が標準なわけではない」

という客観的な比較ができ、選択肢を持てたことです。中高年の短期語学留学の最大の目的は、

「全く違う価値観に触れ、自分の価値観をぶっ壊し客観視する」

ことです。

これを留学業界では「リセット留学」と呼びます。自分の今までの人生を一度リセットするために語学留学をするのです。行けばわかりますが、今まで築いてきたことがほとんど通じない、放っておくと誰も相手にしてくれない、そういった環境でプライドを捨てて自らつかみ取る習慣がつきます。また、失敗を許容しない完璧主義すぎる日本の価値観の中で生活することが苦しい方には、目から鱗が落ちる経験ができると思います。

短期間海外留学をすると、新たな自分の価値に気づくことができます。言うまでもなく、再認識できるのは、日本人は全世界的に見ても、相対的にとても優秀だということです。OECDが実施している「国際成人力調査(PIAAC、ピアック)」では、「読解力」「数的思考力」において日本は世界1位となっています。年齢別のデータで見ても、日本の中高年のスコアは他のOECD諸国と比較しても圧倒的に高いという結果を示しています。

狭い日本の職場の中だけの価値観で、自分自身を評価してしまうのはとてももったいないことです。自分の活躍できる舞台がたくさんあることを海外に出ると気づかせてもらうことができます。

一番の課題は、ほとんどの方が「家族や仕事から離れて、90日間の語学留学なんて無理」と決めつけていることではないでしょうか。多くの場合、真剣に方法を考えずに、「家族に反対されるに決まっている」「上司は許してくれない」と思い込んでしまっているのではないかと思います。周囲の気持ちに忖度して決めつけるのではなく、実際に、家族、会社と交渉してみる価値はあります。例えば、正式に3カ月間休職したいと申請し、どうなるか試してみてはいかがでしょうか。

2023年12月の日本経済新聞で、長期の有給休暇(サバティカル休暇)を活用した留学や資格取得に取り組む企業や従業員の事例について特集されていました。働き方改革の浸透とともに、少しずつ働き方の自由度にも変化が現れています。

3カ月間の語学留学を経れば、自分にできることが増えているとすぐに気づけるはずです。例えば、職場復帰した際に、英語を活用して海外のベンチマークとなる企業のリサーチをするといったことです。交渉の窓口など、より英語力が問われる業務までできるかは、個人差が出るところではありますが、少なくとも簡単な会話レベルはできるようになっていると思います。残念ながら、職場で活かせる機会がすぐ得られない場合、就業時間外の帰宅後や週末に副業やボランティアで英語を活用することも可能です。

訪日インバウンド対応などは、本当にギリギリの状態で最低限レベルのサービス提供に留まっているところがほとんどないのではないかと思います。全国各地に出張へ行くと、外国語対応がきちんとできているところは本当に少ないですから、そのような業種に注目すれば、語学留学によって定年後の選択肢を増やすことができそうです。

周囲が内向きになっているからこその逆張りです。グローバルスキルの希少性は高くなり、身につければ活躍できる舞台が全世界に広がるのです。定年後の新たなキャリアを視野にいれて、3カ月間の語学留学に取り組んでみてはいかがでしょうか。

●第2回は【オンライン会議「設定は周りの人にお任せ」は危険…デジタルツールを使えない中高年に待つ“悲惨な事態”】です。(12月16日に配信予定)

中高年リスキリング
 


著者名 後藤 宗明

発行 朝日新聞出版

価格 990円(税込)
 

後藤 宗明/一般社団法人ジャパン・リスキリング・イニシアチブ代表理事

早稲田大学政治経済学部卒業、富士銀行(現みずほ銀行)入行。2021年、日本初のリスキリングに特化した非営利団体、ジャパン・リスキリング・イニシアチブを設立。2022年、AIを利用してスキル可視化を行うリスキリングプラットフォームSkyHive Technologiesの日本代表に就任。「日本をリスキリング」するため、石川県加賀市「デジタルカレッジKAGA」理事、広島県「リスキリング推進検討協議会/分科会」委員、経済産業省「スキル標準化調査委員会」委員、リクルートワークス研究所 客員研究員、「いばらきリスキリング戦略アドバイザー」を歴任する。

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