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「今日知れてよかった」扶養内で働く60代パート主婦が社会保険加入を決意…背中を押した年金面のメリット

Finasee / 2024年12月18日 11時0分

「今日知れてよかった」扶養内で働く60代パート主婦が社会保険加入を決意…背中を押した年金面のメリット

Finasee(フィナシー)

<前編のあらすじ>

美穂さん(仮名、以下同)は61歳の女性です。11年前に25年以上の結婚生活を経て当時の夫であった健一さんと離婚しました。離婚後は年金分割を受け、実家で暮らしながらパート勤務を続けていましたが、数年後に6歳年下の会社員・高志さんと再婚し、彼の扶養に入りつつパートで働いています。

美穂さんは扶養期間が長く、自ら厚生年金に加入した月はわずか10カ月。年金の支給開始を65歳と思っていましたが、友人が「年金は63歳から受けられる」と話していたのを疑問に思って年金事務所に確認します。

そこで職員から、美穂さんは65歳から年金受給が始まると説明を受けた後、「あと2カ月厚生年金に加入するだけで100万円多く受け取れる」との案内されて驚きました。

●前編:【年金が100万円増えるかも⁉ 熟年離婚した60代パート主婦が再婚を機に知った「驚きの事実」】

65歳前に年金が受けられる条件

美穂さんは11年前に、当時の夫・健一さんと離婚して年金分割(合意分割・3号分割)を受けました。美穂さん自身は厚生年金の加入期間が10カ月ですが、25年間の結婚期間中の健一さんから分割を受けた期間で、美穂さんが厚生年金に加入していなかった期間は「離婚時みなし被保険者期間」(合意分割の場合)、「被扶養配偶者みなし被保険者期間」(3号分割の場合)となります。

65歳からの美穂さんの老齢厚生年金は、健一さんから年金分割を受けたみなし被保険者期間分と過去の美穂さん自身の10カ月の厚生年金被保険者期間で計算されます。

一方、美穂さんの世代は厚生年金に1年加入していれば特別支給の老齢厚生年金(特老厚)が63歳から65歳になるまでの2年間受給できることになっています。しかし、この特老厚の受給のために1年以上必要な厚生年金被保険者期間の計算上、みなし被保険者期間は含まれません。

つまり、自分自身の厚生年金被保険者期間だけで1年以上なければ特老厚は受給できないことになります。美穂さん自身の厚生年金被保険者期間は10カ月しかありませんので、1年以上の要件を満たしておらず、このままでは2年間特老厚は受けられません。そのため、今のままだと65歳からの年金の受給開始となります。

あと2カ月の厚生年金加入で年金が多く受け取れる

美穂さんの友人が「63歳から年金が受け取れる」と言ったのは、その友人自らが1年以上厚生年金に加入していたからと思われます。

特老厚は報酬比例部分の年金ですので、その計算にあたって年金分割がある場合は年金分割も反映された額で受け取れます。もし、美穂さんが自分で合計1年以上掛ければ、その自らの厚生年金加入記録(12カ月以上)と健一さんとの年金分割での記録を含めて計算された特老厚が受けられるようになります。

分割を受けた分の額は年間50万円もありますので、63歳から65歳になるまでの2年間100万円分の特老厚も受けられることとなります。

美穂さんは「たった2カ月厚生年金に入るだけでこんなに受け取る額が違うのかぁ」「ずっと年金は65歳からだと思ってた……」と驚き、「今日知れてよかった」と安堵(あんど)します。また、将来やいざという時の保障が厚くなる社会保険(厚生年金保険・健康保険)加入のメリットについても知ることができました。

美穂さんのパート先では現在、社会保険加入の働き方に転換できることから、1週間の勤務時間を変えてもらい、社会保険加入することになりました。ずっと扶養に入っていた美穂さんの突然の社会保険加入希望でパート先の人からも驚かれましたが、このまま63歳の前には1年以上の厚生年金加入期間を満たせるようになりそうです。

元配偶者の年金記録より分割を受けられるようになると将来の年金が増えることにもなりますが、その仕組みは複雑なところもあります。年金を受けられる年齢が近づいてきたら、いつからどのように年金が支給されるか今一度確認し、その上で今後の働き方についても決めるのが良いでしょう。

※プライバシー保護のため、内容を一部脚色しています。

五十嵐 義典/ファイナンシャルプランナー

よこはまライフプランニング代表取締役、1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP®認定者、特定社会保険労務士、日本年金学会会員、服部年金企画講師。専門分野は公的年金で、これまで5500件を超える年金相談業務を経験。また、年金事務担当者・社労士・FP向けの教育研修や、ウェブメディア・専門誌での記事執筆を行い、新聞、雑誌への取材協力も多数ある。横浜市を中心に首都圏で活動中。※2024年7月までは井内義典(いのうち よしのり)名義で活動。

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