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2020年一般NISA枠の非課税期間がもうすぐ終了―“売却して終了”でも、“課税口座へ移管”でもない「トクする第3の方法」

Finasee / 2024年12月11日 11時0分

2020年一般NISA枠の非課税期間がもうすぐ終了―“売却して終了”でも、“課税口座へ移管”でもない「トクする第3の方法」

Finasee(フィナシー)

新NISAの陰に隠れがちだが…一般NISAの2020年枠は2024年で非課税期間満了

2024年、個人の資産運用で大きな出来事は、やはりNISA制度の見直しだったのではないでしょうか。

実際、制度の見直しが行われてから、NISAの口座数は順調に伸びました。制度の見直しが行われる直前、2023年12月時点のNISA口座数は、一般NISA、つみたてNISAの両方を合わせて2124万7420件だったのが、見直しが行われた後の2024年6月時点では、2427万6789件まで増えています。半年で約303万件増ですが、そのさらに前の半年間での一般NISA+つみたてNISAの口座数は約183万件増なので、1.6倍にペースが上がったことになります。

とはいえ、日本の18歳以上の人口は1億700万人ほど(総務省 「人口推計2023年」)ですから、伸びしろはあると言ってもよいでしょう。

ところで、話題は世に「新NISA」と称されている、制度見直し後のNISAをどう活用するか、という話ばかりですが、一方で、旧NISAは次々に非課税期間が満了していることに触れる情報が余りないように思えます。旧NISAのうち一般NISAの非課税期間は5年なので、2020年の枠を利用して投資した分の非課税期間が、2024年中に満了となります。

ちなみに、旧制度における一般NISAは、2022年購入分の非課税期間が2026年中に満了を迎え、これをもって一般NISAによる運用分は完全になくなります。

2020年一般NISA枠にある資産―選択肢は売却、課税口座へ移管、新NISAで運用を続けるの3択

問題は、一般NISAの非課税期間が満了した後、その運用資金をどうするかでしょう。

NISAの制度見直しが行われる以前、その選択肢は2つあると言われてきました。

1.非課税期間満了と同時に売却・解約して、運用益と共に運用資金を受け取る
あるいは
2.売却・解約はせず、課税口座に移して運用を継続するか

です。

1であれば事は単純で、運用元本に非課税の運用益を受け取って終わりです。

一方、2の場合、ひとつ注意点があります。それは非課税期間が満了した時点で損失が一般NISA口座に損失が生じていて、そのまま課税口座に移管する場合です。

たとえば投資金額が120万円だったのが、非課税期間満了時に100万円まで目減りしたとします。この状態で課税口座に移管させると、課税口座での取得価格は100万円に下がります。そして、これが140万円になった時点で売却・解約すると、40万円の利益に対して20.315%が課税され、手取りは31万8740円になります。課税口座に移管させたのですから当然といえば当然ですが、当初、非課税メリットに期待して120万円を投資したわけですから、それを投資の起点に考えると、120万円に対する利益は、たったの11万8740円になってしまいます。これはいささか釈然としないかもしれません。

ただ、一般NISAから課税口座に移管させることを選ぶ人は、おそらくいないと思われます。一般NISAの非課税期間満了後、課税口座に移管させるのは、あくまでも期間限定だった旧制度のNISAだから、そうするしかなかっただけの話です。

今ではNISA制度が恒久化され、かつ非課税期間も無期限になりましたから、現行のNISAで非課税運用を継続できる、第3の選択肢があります※。

※詳細は後述しますが、この方法をとる場合、旧制度の一般NISAで運用していた分は非課税期間が終了する段階でいったん売却・解約して、そのうえで、新たに現行NISAで同じ株式や投資信託を買い付ける必要があります。

大人気「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」を一般NISA2020年枠で保有していた場合で考えてみる

簡単なシミュレーションをしてみましょう。

一般NISAの2020年枠を用いて一括で120万円を投資した場合を想定してみます。投資対象は、人気の高い投資信託ということで、三菱UFJアセットマネジメントが設定・運用している「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」にします。このファンドを2020年1月6日に120万円分を買い付け、2024年12月6日に解約した場合、どのくらいの利益が出ているのでしょうか。

2020年1月6日の基準価額は1万1873円でした。この基準価額は1万口あたりになるため、これを1口に換算すると1.1873円になります。

購入額が120万円だとすると、これを1.1873円で割れば、買付口数が計算できます。答えは101万697口です。

そして、2024年12月6日の基準価額は、1万口あたり3万2972円でした。1口あたりだと3.2972円です。買付口数が101万697口なのでこれに2024年12月6日時点の1口あたり基準価額を掛けると、値上がり益を含めた売却金額として、333万2469円になります。投資元本が120万円ですから、5年間で213万2469円の値上がり益が得られたことになります。

しかもNISAで運用して得た値上がり益ですから、213万2469円の値上がり益は非課税扱いになり、投資元本を含む333万2469円がまるまる入ってきます。運用を続けたい場合、新NISAにおいて、再び333万2469円分の「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」を買い付ければよいのです。

ただし、現行NISAで旧制度の一般NISAに該当する成長投資枠の年間投資上限額は240万円です。したがって、333万2469円を全額、成長投資枠で活用できるわけではありません。240万円を成長投資枠に入れたとしても、残りの93万2469円は成長投資枠以外での運用を検討する必要があります。

もし1年目に全額をNISAで運用したいのであれば、93万2469円はつみたて投資枠を利用します。つみたて投資枠は年間120万円の枠があるので、これを併用すれば333万2469円を全額、1年目にNISAで運用できます。93万2469円では半端なので、もし資金的に余裕があるならば26万7531円を追加して120万円にし、毎月10万円ずつ積み立てていくのもひとつの方法でしょう。

旧制度一般NISAと新NISAは別制度。同じ投信で運用を続けたい場合も必ず1度、売却が必要

このように、旧制度の一般NISAから現行NISAで運用を継続することは可能ですが、改めて注意点があります。

旧制度の一般NISAは「ロールオーバー」といって、最初の5年間の非課税期間が終わると、自動的に次の5年間の非課税期間に乗り換えてくれました。

しかし、現行NISAと旧制度の一般NISAは全く別の制度なので、たとえば2020年枠の旧一般NISAの非課税期間が今年終わった時にそのまま放置しておくと、自動的に課税口座に移管されてしまいます。

もし前述したように、旧制度の一般NISAから現行NISAで、同じ投資信託の運用を継続する場合は、旧制度の一般NISAで運用していた分は非課税期間が終了した段階で売却、もしくは解約しなければなりません。そのうえで、新たに現行NISAで株式や投資信託を買い付ける必要があります。

また当然ながら、旧制度のNISAで運用していた分を売却・解約して現行NISAで再び買い付ける場合、現行NISAで買い付けた際の時価が、新たな取得価格になります。

今年中に非課税期間が満了となる旧制度の一般NISAは2020年枠ですが、旧制度は2023年枠まであったので、全ての非課税期間が満了になるのは2027年中です。それまではこの要領で、現行NISAにスライドさせていけばよいでしょう。

鈴木 雅光/金融ジャーナリスト

有限会社JOYnt代表。1989年、岡三証券に入社後、公社債新聞社の記者に転じ、投資信託業界を中心に取材。1992年に金融データシステムに入社。投資信託のデータベースを駆使し、マネー雑誌などで執筆活動を展開。2004年に独立。出版プロデュースを中心に、映像コンテンツや音声コンテンツの制作に関わる。

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