投資のプロが注目! 運用報酬の一部が払い戻されるユニークなファンドとは?=11月新規設定ファンド
Finasee / 2024年12月17日 7時0分
Finasee(フィナシー)
三菱アセット・ブレインズがまとめた2024年11月の公募投信(ETF、DC専用、SMA専用、公社債投信除く)の新規設定ファンド数は18本と前月(30本)を大きく下回り、設定総額も約250億円と前月(約770億円)から大きく減少した。新規設定額ランキング(設定額は設定日の純資産額)でトップは、アセットマネジメントOneが設定した「ウエリントン・トータル・リターン債券ファンド(年1回・ヘッジなし)」の約59億円だったが、前月トップの「ニュートン・パワー・イノベーション・ファンド(ヘッジなし)」の設定額531億円のおおむね9分の1の水準だった。新規設定18本中に債券ファンドが13本を占めた。
◆新NISA対応の債券ファンド、人気挽回は?新規設定額でトップになった「ウエリントン・トータル・リターン債券ファンド(年1回・ヘッジなし)」は、ドル建ての国債、社債、ハイイールド債、新興国債券などさまざまな債券の中から魅力的な債券を選んでポートフォリオを作る総合的な債券ファンドだ。第4位に「同(年4回・ヘッジなし)」がランクインしている。また、第2位の「フォントベル・世界割安債券ファンド(ヘッジなし/年1回決算型)」も新興国を含む世界の債券から割安で魅力的な債券を選択して投資する総合的な債券ファンドになっている。第3位に「同(ヘッジあり/年1回決算型)」、第6位に「同(ヘッジなし/年4回決算型)」、第9位に「同(ヘッジあり/年4回決算型)」が入っている。
これらは、世界的なインフレ警戒で急速に引き上げられた各国の政策金利が利下げによって正常化に向かう機会をとらえて、債券価格の上昇を運用収益に結び付けようという債券運用の魅力を訴えるファンドだ。三菱アセット・ブレインズは、「債券ファンドにはリーマンショック以降続いた低金利環境で、注目が集まりづらかったが、近年の金利上昇で利回りが再び魅力的な水準となっていることから、販売会社の営業戦略見直しの中で、債券ファンドのラインアップ拡充を企図した新規設定が増えているものと考えられる」と分析している。
ただ、これら債券ファンドは、「ウエリントン・トータル・リターン債券ファンド」は年1回決算型、年4回決算型ともに新NISAの成長投資枠の対象であり、「フォントベル・世界割安債券ファンド」は新NISAの対象ファンドではないが、年1回決算型が売れ筋の中心になるなど、中長期の投資対象として考えられていることは確かだ。設定額の規模は、まだ株式ファンドと比べると見劣りするものの、今後、パフォーマンスや人気の面で挽回していくものか注目される。
◆運用報酬の手数料を払い戻す日本株ファンド11月15日に新規設定された、あおぞら投信の「あおぞら・日本株式アラインメント・ファンド」は、TOPIX(東証株価指数)をベンチマークとする国内株アクティブファンドだが、ファンドの運用成績がTOPIXを下回った場合は、運用担当者の運用報酬を払い戻すという仕組みを持っているユニークなファンドだ。国内でファンドを設定するあおぞら投信や販売会社等が取る年1.21%の信託報酬は発生する。
同ファンドの運用を実質的に行うのは英ロンドンに最大の運用拠点を置くオービス・インベストメント・マネジメント社だが、同社はTOPIXを上回った部分で得る成功報酬以外の報酬を求めない。通常の成功報酬型のファンドは、基準報酬があって、ベンチマークを上回った場合に成功報酬を追加で徴収する仕組みになっていることとの大きな違いだ。さらに、TOPIXを運用成績が下回った場合にはペナルティーとして得た報酬を払い戻す。具体的には、ファンドの運用成績がTOPIXを上回った場合には、超過分の38%が成功報酬として「フィー・リザーブ」にプールされる。反対にTOPIXを下回った場合は、そのマイナス分の38%を「フィー・リザーブ」からファンドに払い戻す仕組みになっている。オービス社は「フィー・リザーブ」に残っているフィーの3分の1を報酬として受け取る。「フィー・リザーブ」の資金がゼロの場合はオービス社の受け取る報酬はない。
オービス社の運用は、徹底した調査・分析によって、市場で過小評価されている銘柄を発掘し、確信がある限り、忍耐強く待ち続けるという投資スタイルだ。優れた分析者の投資アイデアを尊重し、投資判断で合議制をとるようなことをせず、個人の考えを重視した投資行動をとる。もちろん、より洗練された投資アイデアを磨くためにアナリスト同士の意見交換は積極的に行われている。そして、各アナリストが自信をもって提示する銘柄についてポートフォリオ・マネジャーは、リターン、リスクおよび流動性を考慮し、個人の投資判断により、最も確信度が高い銘柄へ厳選投資するポートフォリオを構築する。投資銘柄は30~50銘柄になる。
オービス社は優れた運用会社として自らの運用実績に自信があるからこそ、このような報酬体系にしたファンドを提供することにしたのだろうが、このような報酬体系でも運用を請け負えると考えられるほど、国内の株式市場に魅力があることの裏返しであるともいえる。国内投信市場の資金流出入では、確かに「外国株式型」に資金が流れ込み、「国内株式型」からは資金流出になっている。国内株ファンドの設定も決して多くはないが、そこに大きな可能性を見いだしている投資家がいることを覚えておきたい。
<!--StartFragment-->執筆/ライター・記者 徳永 浩<!--EndFragment-->
Finasee編集部
「一億総資産形成時代、選択肢の多い老後を皆様に」をミッションに掲げるwebメディア。40~50代の資産形成層を主なターゲットとし、投資信託などの金融商品から、NISAや確定拠出年金といった制度、さらには金融業界の深掘り記事まで、多様化し、深化する資産形成・管理ニーズに合わせた記事を制作・編集している。
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