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「姉と二等分は納得できない」真面目で地味な妹が父の相続で豹変し起こった”爆弾級”のトラブル

Finasee / 2024年12月27日 11時0分

「姉と二等分は納得できない」真面目で地味な妹が父の相続で豹変し起こった”爆弾級”のトラブル

Finasee(フィナシー)

後藤理奈さん(仮名)は昨年11月に実の父を亡くしました。お父様はまだ50代の若さで、幼い頃からパパっ子だった理奈さんは大きな喪失感に襲われたと言います。お父様は理奈さんの一族が経営する会社の社長でもあり、残されたお母様や理奈さん、妹の香奈さんは社業の調整にも追われました。しかし、何よりショックだったのはお父様の遺産分割協議で起きた出来事でした。社交的で目立つ存在の理奈さんとは対照的に地味で人見知りをするタイプの妹の香奈さんがいきなり、「お姉ちゃんはお父さんの生前にたくさん援助をしてもらっているのだから、私がその分多く相続するのが当たり前」と言い出したのです。予想外の展開に困惑を隠せないお母様と理奈さん……。その後の顛末を理奈さんに話してもらいました。

〈後藤理奈さんプロフィール〉
東京都在住
35歳
女性
ギャラリスト
美容外科医の夫と2人暮らし
金融資産3000万円

***

父が出張先の大阪のホテルで亡くなったのは2023年の11月。都内で木枯らし1号が吹いた日のことでした。

死因は急性脳疾患で、約束の時間になっても起きてこなかった父をいぶかった部下がホテルのスタッフと客室を訪ね、ベッドに横たわる父を見つけた時には既に冷たくなっていたそうです。まだ50代でした。

父は母方の祖父が興した会社の2代目社長で、聞くところによるとかなりのワンマン経営者だったようです。主を失った会社は、それはてんてこ舞いでした。

当面は前社長の一人娘で役員でもあった母が後継社長となり、施設や社員を丸ごと引き取ってくれる買収先を見つけていくことになりました。

結果的に業務の引き継ぎや会社を回していくことが優先され、葬儀も取引先や親族、父の知人や友人など多くの方々に来ていただいたので大掛かりなものとなり、私たち家族が父の相続に向き合ったのは、それらが一段落ついた春先でした。

会社の顧問税理士さんが相続専門の税理士さんを紹介してくれて、家族で初めての遺産分割の話し合いが行われました。

相続人となるのは、母、私、妹の香奈の3人です。身内だけの相続ですし、ドラマや映画でよくある“骨肉の争い”なんて起こるわけがない……はずでした。少なくとも、母や私はそう考えて、のほほんと構えていました。

ところが、そうは問屋が卸しませんでした。妹が爆弾級のトラブルを持ち込んだからです。

妹「納得できません」

相続を行うにあたり、配偶者には「1億6000万円」、または「配偶者の法定相続分に相当する相続財産(我が家のケースだと2分の1)」までは相続税が課税されない税額軽減制度があります。

そこで、税理士さんは「奥様はお若いですし、会社のことなどでこれからお金が入り用なこともあるかもしれません。そこで、まずは奥様がこの制度を利用してご自宅も含めたご主人様の財産の半分を相続し、残りをお嬢様たちが二等分するという形ではいかがでしょうか?」と提案してきました。

母も私も、その提案に異存はありませんでした。

しかし、それに異を唱えたのが妹です。

「母が財産の半分を相続するのは、それでいいと思います。でも、残りの半分を姉と二等分というのは納得できません」

こんな席で急に何を言い出すんだと思いました。それは母も同じだったようで、思わず二人で顔を見合わせました。

「相続には『特別受益』というものがあるんですよね? 姉はこれまでの人生で親から私よりはるかに多くのお金を援助してもらってきました。父の相続ではその分、私の取り分が多くなければ平等とは言えないと思います」

特別受益? 何それ、という感じでした。それ以上に、普段から口数が少なく、親の言うことに従順な妹が、いきなり父の遺産分割の話し合いの席でそんなことを言い出したことが不可解でした。

妹は自分の夢をかなえたのかと思ったら……

自分で言うのもなんですが、私は陽キャで外見も派手、新しいことや楽しいことが大好きで、半面飽きっぽいのがタマにキズです。

外見は母親似で子供の頃からかわいいとちやほやされてきました。小学校から都内のお嬢様学校に通い、系列の大学を卒業した後は海外の大学でアートの修士号を取って、今はそれなりに名前の通ったギャラリーに勤務しています。

一方、父親似の妹は性格的にも私と真逆です。陰キャで目立つことや人の集まるところに出るのが苦手。でも、根はマジメで、目標に向かって地味に努力するタイプです。

妹は高校までは公立で、短大を出て幼稚園の先生になりました。子供が好きだと言っていたので、自分の夢をかなえて充実した毎日を送っているものとばかり思っていました。

「思っていました」というのは、正直、妹と日常的にほとんど交流がなかったからです。私は3年前に勤務先で出会った美容外科医の雄吾と結婚しました。以降は雄吾や自分の友人たちとの交流が生活の中心となり、妹のことなど全く眼中にありませんでした。雄吾の人脈には社会的な地位が高い人が多く、勤務先のギャラリーの売り上げに直結するため、やむを得ない面もありました。

後で調べたのですが、特別受益とは、相続人が複数いる場合にそのうち一部の相続人だけが故人から生前贈与などで受け取っていた利益を指すようです。自分の人生を振り返ると、確かに妹よりはちょっと多めに親の援助を受けていたかもしれません。

でも、妹だってその気になれば親のお金で自分の好きなことができたはずなのに……。

そんな私の思いと裏腹に妹は、打ち合わせの席で私の特別受益について想定金額まで記載したリストを持ち出し、私たちに再考を迫ったのです。

●唖然とする理奈さんに突き付けられる、合計1億円近い金額が記載された想定金額リスト。言いがかりのような要求に納得のいかない理奈さんに母が告げるのは、妹の香奈さんが一方的に募らせていた、ある思いでした。後編【「姉はかっこよくて性格もいい旦那をゲットしたのに」相続で噴出…地味な妹が募らせた姉へのコンプレックス】で詳しくまとめます。

※個人が特定されないよう事例を一部変更、再構成しています。

森田 聡子/金融ライター/編集者

日経ホーム出版社、日経BP社にて『日経おとなのOFF』編集長、『日経マネー』副編集長、『日経ビジネス』副編集長などを歴任。2019年に独立後は雑誌やウェブサイトなどで、幅広い年代層のマネー初心者に、投資・税金・保険などの話をやさしく、分かりやすく伝えることをモットーに活動している。

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