物価高騰で半数の人が葬儀費用の節約を検討中、いまこそ考えたい、親の終活
Finasee / 2024年12月17日 19時0分
Finasee(フィナシー)
喪主未経験だと「葬儀費用がわからない」人が多い
親が健在なうちは葬儀の喪主を経験することなどあまりないだろう。それだけに葬式の費用感がわからないという人も多いと思うが、どれくらいの費用を想定しているのだろうか。今回参考にするのは、葬儀サービスを提供する株式会社エス・エム・エスが60歳以上の親を持つ男女1034人を対象にした調査。
出所:エス・エム・エス 「親の終活に関する意識調査(2024年)」結果をみると、喪主経験者では「51万円~100万円」と回答した人が21.4%で最多。「31万円~50万円」が18.4%、「151万円~200万円」が17.5%で続く。
それに対し喪主未経験者だと「わからない」が40.8%と断トツで多い。金額を回答できた人だと「51万円~100万円」が20.2%で最も多かった。
葬儀費用は「親の預金」で賄う?人によって幅があるものの、やはり葬儀費用についてはある程度まとまった金額を想定している人が多い。
とはいえ、100万円を超えるお金をすぐに用意できる人は限られるだろう。どうやって賄う予定なのか。
出所:エス・エム・エス 「親の終活に関する意識調査(2024年)」調査によれば、「親の預貯金」と回答した人が37.0%で最多。一方で「わからない」も33.7%と同程度だった。親の財産がいくらあるかなども葬儀同様に話しやすい話題ではないため、把握できていない人が多いようだ。
物価高騰で葬儀費用も節約したい どこを削る?「物価高騰で葬儀費用も値上りするのでは?」そんな不安を持つ人もいるだろう。調査でも「物価高騰で値上りが心配なこと」として、親の「入院費」や「介護費用」を抑えて、「葬儀費用」と回答した人が44.1%で最多だった。
出所:エス・エム・エス 「親の終活に関する意識調査(2024年)」値上がりを不安視し、葬儀費用の節約を考える人もいるかもしれない。他方で、葬儀はかけがえのない親を送り出すセレモニーでもある。物価が高騰しているからといって節約していいのか。なかなか結論を出しづらい問題だろう。
出所:エス・エム・エス 「親の終活に関する意識調査(2024年)」本音はどうなのか。調査結果では、物価高騰を受けて葬儀費用を「節約したいと思う」(=「強く思う」+「思う」)と回答した人は56.5%と半数を超えた。
葬儀費用を節約したい人は具体的にどんなところを削ろうと考えているのか。
出所:エス・エム・エス 「親の終活に関する意識調査(2024年)」回答率が最も高いのは「葬儀形式の変更」で53.2%、僅差で「葬儀に呼ぶ人数や葬儀規模の変更」が52.8%と続く。
一方で節約したくない人はどんな理由からなのか。最も多いのは「親の意向を尊重したい」で回答率は42.6%だった。
出所:エス・エム・エス 「親の終活に関する意識調査(2024年)」 葬儀費用は不安だが、親と話しづらい人が多数物価高騰も相まって葬儀費用の不安は尽きない。それでは親と葬儀について何か話し合っているのだろうか。調査によれば、「特にない」と回答した人が65.5%と断トツに多い。やはり話しづらいテーマなだけに、話すきっかけがないのかもしれない。
出所:エス・エム・エス 「親の終活に関する意識調査(2024年)」最近は地震や豪雨など災害が頻発しているため、「人間、いつ死ぬかわからない」と実感することもあるだろう。そうしたニュースをきっかけに親と終活について話はできないのだろうか。
出所:エス・エム・エス 「親の終活に関する意識調査(2024年)」しかし「災害をきっかけに親の終活について何か取り組んだことはあるか」という質問に対し、こちらも「特に何もしていない」が79.2%と多数を占めた。
終活について親と話がしづらいのはなぜだろうか。理由を見てみると、回答率が最も高いのは「切り出しにくい、話しにくい」で39.6%。「話す機会・時間がない」が26.3%、「何を話すべきかわからない」が22.8%と続く。
出所:エス・エム・エス 「親の終活に関する意識調査(2024年)」たしかに実家暮らしでなければ、そう頻繁に親に会わない人もいるだろう。年末などに実家に帰っていざ話そうにも、重たいテーマなだけに話が続かず、できれば親から切り出してほしいと考える人も多いのではないか。
終活で親と話したい話題 昨年1位は「葬儀」だったが今年は?もし親と終活について話ができるならば、どんな話題について話しておきたいのか。
出所:エス・エム・エス 「親の終活に関する意識調査(2024年)」調査によれば、最も回答率が高いのは「介護の希望」で37.2%。2023年は1位だった「葬儀」は2.3%低下して35.9%で今回は2位だった。
それ以外では「延命治療」「相続財産/借金/保険」「遺産相続」「エンディングノートの作成」が昨年から増加。一方で「特にない」が27.5%と一定数存在。あくまで親の人生であり、干渉しないと割り切っている人も少なくないのかもしれない。
親と終活について話すきっかけは何か親と終活について話すことができた人もいるようだ。何がきっかけだったのだろうか。調査によれば、回答率が高かったのは「ニュースやメディアで終活のことを見聞きしたから」で30.2%。やはり昨今の終活という考え方の普及が会話の後押しになっているようだ。
出所:エス・エム・エス 「親の終活に関する意識調査(2024年)」次いで「家族・親族が亡くなったから」が22.6%、「家族・親族が体調を崩したから」が21.1%で続く。身近な人の不幸もまた会話のきっかけとなるのだろう。
調査に寄せられたコメントを拾ってみると、「離れて暮らしているので、葬儀やお墓をどうするかで意見が別れた」(49歳男性)、「本人の立ち入ったことに切り出すと腹を立て始めるので話にならない」(59歳男性)、といったように、価値観の違いなどから話し合いが物別れに終わってしまう人もいるようだ。
一方で親と終活について会話できている人からは、「親の希望通り、延命治療はせずに自然にみおくりたい」(52歳女性)、「散骨してほしいと言われた」(42歳女性)、といった声が聞かれた。
この機会に振り返り、親と終活について話してみてはいかがだろうか。
Finasee編集部
「一億総資産形成時代、選択肢の多い老後を皆様に」をミッションに掲げるwebメディア。40~50代の資産形成層を主なターゲットとし、投資信託などの金融商品から、NISAや確定拠出年金といった制度、さらには金融業界の深掘り記事まで、多様化し、深化する資産形成・管理ニーズに合わせた記事を制作・編集している。
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