「お父さんをだましてお金をもらってたの?」姉が弟にかけた使い込み疑惑…相続トラブルが迎えた意外な結末
Finasee / 2024年12月29日 11時0分
Finasee(フィナシー)
<前編のあらすじ>
坂口家の長女である由奈さん(仮名、以下同)は今年52歳。弟の忠太さん(46歳)とは仲が良く、お互いが家庭を持ってからも頻繫に交流していた。そうした中、由奈さんは忠太さんのお金回りがよくなったことに疑念を抱く。
疑念が現実のものとなったのは、父親の正さんの死がきっかけだった。遺産は約3000万円で、遺言書により姉弟で等分するよう指定されていた。ところが由奈さんが正さんの通帳を確認すると、数年前から忠太さんへの定期的な送金記録が見つかった。
由奈さんは忠太さんに対して「お父さんをだましてお金をもらってたの?」と問い詰めるも、忠太さんは助けてもらっただけだと答える。由奈さんは忠太さんの使い込みを疑うようになった。
●前編:【「どうなっているの?」急に羽振りが良くなった弟が怪しい…疑念を抱く姉が驚愕した「家族の秘密」】
由奈さんが忠太さんを疑ったワケ由奈さんが忠太さんを疑ったのには理由がある。それは父親の正さんが元々だまされやすい性格であったことに加え、亡くなる前10年ほどの間は判断能力も落ちていたこともあって、忠太さんが正さんの財産を実質的に管理していたからだ。
加えて忠太さんはやや遊び人気質なところがあり口がうまい。
「私はお父さんからも忠太からも何も聞いてない、怪しいと思わない方がおかしい」
そう由奈さんは言う。
もし、忠太さんが正さんを巧妙に言いくるめたり、本人にばれないようにしてお金を自分のために使ったりしていれば、それは相続財産において、生前に使い込みをしたことになる。
すると忠太さんの行為はいわゆる不法行為に該当するため、忠太さんは使い込んだ遺産を返還しなければならない。
「だから何回言えば信じてもらえるんだ、本当に違うんだよ!」
由奈さんと忠太さんの話はまとまらないまま数週間が経過する。
見つかった贈与契約書で事態が一転正さんの死から4カ月後、一通の契約書が見つかりそこから事態が一転する。
忠太さんが正さんとの間で結んだ贈与契約書の存在を思い出し、由奈さんに見せてきたのだ。
「これ! 見てくれ、俺は親父の金を使い込んだりしていない」
忠太さんの言うとおり、確認してみると契約書の記載内容とお金の支出の記録は一致する。ここで忠太さんの疑いがすべて晴れたかのように思えたがそうはいかなかった。
「本当なの? これ、今作ったとかじゃないの?」
由奈さんが言う。
そう考えるのも無理はない。これまで出てこなかった契約書が突然出てきたら誰でもそう思うだろう。だが、幸いにもその贈与契約書を作ったのは私であり、作成に携わった者として私の記名もある。
忠太さんが契約書の存在を明るみに出してから3日後、私は事務所で由奈さん忠太さんと会合した。
そこですべてを話す。遺言書の作成に先立って贈与契約書を作成していたこと。忠太さんと面識はないが、こういった事態に備えての対応を正さんに伝えていたことをお話しした。
結果的にすべてが解決し、由奈さんと忠太さんは和解。正さんの遺言書通りに遺産分配を完了したと、後々由奈さんから聞いている。
贈与契約書を絶対に作成すべき理由親族間の贈与の場合、一般的には契約書を作成されないことが多い。しかし、贈与者が高齢であったり、そう遠くないうちに亡くなって相続が起こると、その贈与が遺産の使い込みにあたるのではないかと疑われ相続争いに発展してもおかしくない。
由奈さんと忠太さんは結果的に解決に至ったが、もし贈与契約書がなければ、おそらく相当程度高い確率で相続争いに発展していただろう。
贈与を行うなら絶対に契約書は作成すべきだ。家族だから話せばわかる、ということも言われるが必ずしもそうとは限らない。お金や人の死が絡むと、正常な判断ができなくなり、通常時とは異なる考え方に至ることもある。
相続に絡む可能性のある贈与を行う際は必ず契約書を作成することをおすすめする。そうすることで、由奈さんと忠太さんのように、仮に一度は疑念が生じたとしても、最終的には和解し、相続争いを回避することができるはずだ。
※プライバシー保護のため、内容を一部脚色しています。
柘植 輝/行政書士・FP
行政書士とFPをメインに企業の経営改善など幅広く活動を行う。得意分野は相続や契約といった民亊法務関連。20歳で行政書士に合格し、若干30代の若さながら10年以上のキャリアがあり、若い感性と十分な経験からくるアドバイスは多方面から支持を集めている。
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