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「S&P500」に代わって浮上しそうなアクティブファンドとは? インデックスに高まる警戒感

Finasee / 2024年12月19日 7時30分

「S&P500」に代わって浮上しそうなアクティブファンドとは? インデックスに高まる警戒感

Finasee(フィナシー)

三菱UFJモルガン・スタンレー証券の投信売れ筋ランキングの2024年11月のトップは前月同様に「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」だったが、第2位には前月の第3位から「フィデリティ・グロース・オポチュニティ・ファンド Dコース(毎月決算・予想分配金提示型・為替ヘッジなし)」が浮上するなどアクティブファンドのランクアップが顕著だった。前月は売れ筋トップ5のうち4銘柄をインデックスファンドが占めていたが、11月は2本だけになった。代わって、「フィデリティ・グロース・オポチュニティ・ファンド Bコース(為替ヘッジなし)」と「アライアンス・バーンスタイン・米国成長株投信 Dコース毎月決算型(為替ヘッジなし)予想分配金提示型」がトップ5にランクインした。

 ◆アクティブファンドが選ばれる理由とは?

三菱UFJモルガン・スタンレー証券の売れ筋の10月は、「S&P500」、「日経225」、「全世界株式(オール・カントリー)」といった国内外の主要な株式インデックスファンドが大半を占めていた。10月には米国の「S&P500」や「NYダウ」が史上最高値を更新し、ドイツの「DAX」も史上最高値に進むなど欧米の株式市場が好調だった。欧米ともにインフレ率が低下し、それぞれに利下げを実施したという金融緩和への流れが確認されたため、株式市場の先高観が高まっていたためと推察される。

ところが、11月は一転して「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」以外のインデックスファンドの人気が落ち、「三菱UFJインデックス225オープン」と「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」はトップ5から姿を消すことになった。米国株価は引き続き好調で、11月には「S&P500」、「NYダウ」に続いて「NASDAQ総合」も史上最高値を更新した。ドイツ「DAX」は調整局面に入ったものの、12月に史上最高値を再び更新するなど、決して弱い相場ではなかった。株高の基調は変わらなかったものの、その株式に投資する手段が「インデックス」から「アクティブ」に移った。

この投資手段の移行の背景にあるのは、「株価水準の割高感への警戒感」ということになるだろう。インデックスファンドに対してアクティブファンドは運用会社の調査によって成長力や財務内容に不安がある銘柄を除外し、強い成長期待のある銘柄は組み入れ比率を高めるなどの優劣判断が行われる。「何でも良いから株式に投資する」という姿勢が「より優良な株式に選別投資する」という態度に変わってきたといえる。

この投資態度の変化は、株価が急ピッチで上昇していることを考えれば、当然ということもできる。「S&P500」の予想PERは2024年の年初20倍台前後から徐々に上昇し、10月以降は23倍を超えている。2020年以降の平均20.6倍と比較すると、米国株価は企業業績の伸びを上回って株高が先行していることがわかる。

◆「フィデリティ・グロース・オポチュニティ」への期待

売れ筋ランキングで順位を上げている「フィデリティ・グロース・オポチュニティ・ファンド」は、日本を除く世界の株式上場企業の中から、フィデリティのグローバル市場の調査力を駆使し「真の成長機会を発掘する」という考えのもとで、大型株式のみならず、中小型株式にも積極的に投資する姿勢を持つ。特に、株価の調整安後の株価上昇局面で強みを発揮し、同ファンドと同じ投資戦略で運用されている米国籍投信の運用実績は、「世界金融危機(リーマンショック)後」の上昇相場(2009年2月末~2010年4月末)で「S&P500」が59%上昇する中で73%の上昇を記録。「欧州債務危機後」の2011年9月末から2018年9月末に「S&P500」が342%上昇する中で425%上昇し、「コロナ・ショック後」の2020年3月から2021年12月末の期間でも「S&P500」が100%上昇する間に132%の上昇になっている。

「フィデリティ・グロース・オポチュニティ・ファンド Dコース」のトータルリターンは2024年10月末時点の過去1年間で63.74%であり、これは同期間の「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」の45.1%を大きく上回っている。この優れたパフォーマンスが売れ筋としてランクを上げる大きな力になっていることは間違いないだろう。

ちなみに、「アライアンス・バーンスタイン・米国成長株投信 Dコース毎月決算型(為替ヘッジなし)予想分配金提示型」は43.1%だ。同じように米国株を対象として「S&P500」は500超の銘柄に分散していることに対し、50銘柄に集中投資して、ほぼ匹敵する運用成績になっている。500銘柄もあれば玉石混交と言える状況にあり、調査して選び抜かれた50銘柄への集中投資の方が安心感があるという考え方もできるだろう。

なお、「フィデリティ・グロース・オポチュニティ・ファンド Dコース」も「アライアンス・バーンスタイン・米国成長株投信 Dコース毎月決算型(為替ヘッジなし)予想分配金提示型」もともに毎月決算ファンドであるため、新NISAの対象ファンドではない。しかし、「フィデリティ・グロース・オポチュニティ・ファンドDコース」は2023年3月の設定からわずか1年8カ月で純資産残高が1000億円を超え、「アライアンス・バーンスタイン・米国成長株投信 Dコース毎月決算型(為替ヘッジなし)予想分配金提示型」も純資産残高は3兆3600億円を超えた巨大ファンドだ。収益非課税の恩恵がなくても、優れたパフォーマンスを出す・高い水準の分配金を払い出すファンドには強いニーズがあることを思い知らされる結果だ。

執筆/ライター・記者 徳永 浩
 

Finasee編集部

「一億総資産形成時代、選択肢の多い老後を皆様に」をミッションに掲げるwebメディア。40~50代の資産形成層を主なターゲットとし、投資信託などの金融商品から、NISAや確定拠出年金といった制度、さらには金融業界の深掘り記事まで、多様化し、深化する資産形成・管理ニーズに合わせた記事を制作・編集している。

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