日本メーカー復権なるか 業務用エアコン市場に”新たな風”
Finasee / 2024年12月20日 7時0分
Finasee(フィナシー)
株の神様の声が聞こえるというTさんは、定期的にその教えを受けています。今日は、Tさんと神様は、都内の公園を散歩しながら投資談義を行っています。
***T:すっかり冬らしい寒さとなりました。年末年始に向けて、株価も上昇しています。経済は熱気に満ちてほしいところですね。
神様:良い知らせをお伝えしましょう。経済協力開発機構(OECD)が12月4日に公表した経済見通しによると、2025年の世界全体の実質経済成長率は3.3%と予想され、9月の前回予測から0.1ポイントの上方修正となりました。日本は1.5%で、2024年の0.3%マイナス成長予測から内需主導で回復すると予想されています。米国は2.4%で、前回から0.8ポイントの引き上げです。日米の堅調な経済活動は、日本株を押し上げるファンダメンタルズ要因としても意識されるでしょう。
T:来年の経済がより良くなることに期待します。
神様:さて、前回は原子力発電についてお話しました。電力の確保は非常に重要ですが、電力消費において、例えば一般的なオフィスビルでは約5割を空調が占めるとも言われています。地球温暖化、世界的な気温上昇が進む中、空調の果たす役割はさらに大きくなっていくかもしれません。今日は業務用エアコンについて見てみましょう。
T:よろしくお願いします。ところで業務用エアコンは、家庭で使われるようなエアコンとは全く異なるものですか?
神様:業務用エアコン(空調)も空調を目的とする点では同じですが、その形状や出力、耐久年数なども異なっており、単に家庭用が大型化したものとは違います。店舗や商業施設、オフィス、ビル、工場、公共施設などの広範囲の冷暖房を必要とする環境に設置され、一元管理により建物全体の温度を一定に保つセントラル空調など、エネルギー効率の高いシステムの導入が進んでいます。
T:なるほど。ビルなどの建物全体の冷暖房設備ですから、非常に大きな機器を使うのでしょうね。
神様:「空調」とは「空気調和機」の略称ですが、Tさんは「ファンコイルユニット」や「エアハンドリングユニット」といった名前を聞いたことはありますか?
T:いえ、初めて耳にします。
神様:どちらも空調機器の種類を表すものです。ファンコイルユニットは、主として各室あるいはビルのペリメータゾーンに設置して冷暖房を行います。エアハンドリングユニットは、主としてビルのインテリアゾーンの空調を行います。
T:ペリメータゾーン・インテリアゾーンとは何でしょうか?
神様:どちらも空調用語ですから、聞きなれない言葉かもしれません。例えばオフィス内で言えば、ペリメータゾーンとは、窓際、壁際などの日射や外気温の影響を受けやすいエリアのことを言います。インテリアゾーンは、窓際や壁際から離れて室内の内部を指し、日射や外気温の影響を受けにくいエリアです。
T:なるほど。オフィス内の場所によって異なる空調機器を活用することで、室内の温度などを一定に保ち、調和することができる、ということですね。
神様:日本国内の業務用エアコンの出荷は、バブル期の建設ラッシュとなった1990年代にピークを迎えました。しかし、その後は低下し続け、伸び悩んでいます。ファンコイルユニットやエアハンドリングユニットの国内出荷実績をみると、2020年にはピーク時の5分の1程度まで減少しています。一方で世界市場を見ると、業務用エアコン市場は2023年に428億ドルになったと推計されています。2024年は457.8億ドルと予測され、その後も年平均で7.3%の成長が見込まれる市場と考えられています。
T:世界的には人口も増加していますし、経済発展も進んでいますから、納得がいきます。温暖化の影響も大きいでしょうね。国内は今後期待できる部分があるのでしょうか?
神様:日本国内も、これまでと状況が変わってきたところがあります。例えば生産現場の国内回帰により、工場やデータセンターの建設が続き、空調の需要に貢献します。学校や工場での猛暑対策も新たな需要とも言えます。さらには、かつて設置された古くなった空調のメンテナンス需要も加わります。
T:今は省エネ・節電への意識が高いですから、エネルギー効率の高いシステムはより求められるようになるでしょうね。業務用エアコンメーカーにとってはまさに”新たな風”とも言えそうです。メーカーの復権に期待したいと思います。
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