新たなトレンド!? 三菱UFJ銀行の売れ筋で「S&P500」を上回るアクティブファンドの人気が一段と高まる
Finasee / 2024年12月24日 6時0分
Finasee(フィナシー)
三菱UFJ銀行の投信売れ筋ランキングの2024年11月は、トップに5カ月連続で「eMAXIS 日経225インデックス」になった他、第2位には「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」、第3位に「eMAXIS Slim 国内株式(日経平均)」が浮上するなど、総じて株式インデックスファンドが順位を上げた。これに対し、前月は第2位だった「MUFG ウェルス・インサイト・ファンド(標準型)」は第4位に、第9位だった「MUFG ウェルス・インサイト・ファンド(積極型)」は第10位になるなど、バランス型ファンドは順位を落とした。
◆株式インデックスファンドに人気が集まる理由は?三菱UFJ銀行の売れ筋ランキングでは国内外の株式や債券にバランスよく分散投資するバランス型ファンドの人気が低迷し、株価指数に連動するインデックスファンドが順位を上げている。11月に米国株価が史上最高値を更新して「S&P500」や米国株式を65%以上組み入れる「全世界株式(MSCIオール・カントリー・ワールド・インデックス)」に連動するインデックスファンドの上昇に勢いがあったためだ。バランス型ファンドでは、米国株式の組み入れ比率は一部にとどまるため、株高の影響がファンドのパフォーマンスに伝わりにくい。
実際のパフォーマンスをみると、11月末時点で「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」の過去1年間の騰落率は36.7%、3年間で77.4%という成績、「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」は1年で29.1%、3年で62.4%だ。米国株式インデックスファンドに投資していたら、年間30%超の収益を稼げたことになる。ところが、バランス型ファンドになると、「MUFG ウェルス・インサイト・ファンド(標準型)」が1年で13.3%、3年で28.9%だ。「MUFG ウェルス・インサイト・ファンド(積極型)」でも1年で20.3%、3年で45.1%になる。「積極型」では株式への投資比率が78.5%を占めているものの、「オルカン」に比べても1年間のパフォーマンスが8.8%ポイント下回る。3年で比較すると17.3%ポイントだ。この歴然とした差が株式ファンドへの資金集中につながっている。
ただ、売れ筋のトップに立つ「eMAXIS 日経225インデックス」は1年で15.6%、3年で43.9%という成績で、運用実績でいえば「MUFG ウェルス・インサイト・ファンド(積極型)」の方が1年、3年ともに勝っている。にもかかわらず、「eMAXIS 日経225インデックス」が選好されているのは、日本株の代表的な株式インデックスファンドというわかりやすさが支持に表れているということだろうか。「投資の第一歩として日経225のインデックスファンドで株価の変動を体験する」ということには根強い支持もある。また、長らく続いたデフレを脱却しインフレ経済に変わった日本、そして、国内企業の経営改革の進展など、日本株の魅力も伝えやすい環境にもなっている。
「MUFG ウェルス・インサイト・ファンド(積極型)」は、円建ての資産は23.8%でそれ以外は海外通貨建てで投資している。株式や債券、REIT(不動産投信)などの価格変動に加えて為替変動の影響も受ける。投資資産を分散してリスクを低減するバランス型ファンドでありながら、株式に約8割も投資していれば、株価下落の影響も大きい。8割も株式に投資するのであれば、外国株式インデックスファンドに投資した方が良いという判断になってしまうのだろう。「MUFG ウェルス・インサイト・ファンド」で一番の残高を持つ「標準型」は株式の比率が27.2%、債券が66.1%を占めている。分散投資によって安定的な運用成績を求めている人には、「標準型」の値動きに安心感があるのだろう。
◆「フィデリティ・グロース・オポチュニティ・ファンド」に高まる期待前月第8位から第6位にランクアップした「フィデリティ・グロース・オポチュニティ・ファンドDコース(毎月決算・予想分配金提示型・為替ヘッジなし)」は、さらに順位を上げて第5位になった。日本を除く世界の株式市場を対象とし、ボトムアップリサーチで長期的に成長が期待できる企業を選定して投資している。10月末時点での組み入れ銘柄数は94銘柄、結果的に米国企業が94.5%を占めているが、約500銘柄を組み入れている「S&P500」よりかなり絞り込んだ企業で構成されている。11月末時点での過去1年間のトータルリターンは47.57%で「S&P500」を大幅に上回る成績になっている。
米国株式については、「S&P500」の動きを大きく左右する超大型ハイテク株が割高に過ぎるという指摘が強い。現在の株価が割高と評価されていても企業業績が予想以上に伸び、企業利益の伸びが株価の上昇率を上回っていれば割高といわれる株価水準を維持し、さらに上昇することも正当化されるものだ。「フィデリティ・グロース・オポチュニティ・ファンドDコース(毎月決算・予想分配金提示型・為替ヘッジなし)」は、割高といわれる超大型ハイテク株にも選別投資を行っている。2024年半ば以降、米国株は四半期決算の発表のたびに、予想業績にわずかでも実績が届かなければ株価が大きく下落するという動きになっている。調査した上で高い成長が持続できると判断される企業のみに投資するアクティブファンドへの期待が高まる環境といえる。
執筆/ライター・記者 徳永 浩
Finasee編集部
「一億総資産形成時代、選択肢の多い老後を皆様に」をミッションに掲げるwebメディア。40~50代の資産形成層を主なターゲットとし、投資信託などの金融商品から、NISAや確定拠出年金といった制度、さらには金融業界の深掘り記事まで、多様化し、深化する資産形成・管理ニーズに合わせた記事を制作・編集している。
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