【福利厚生】就職活動をひかえる現役学生が、いま就職先の企業に望む制度は何か
Finasee / 2024年12月26日 19時0分
Finasee(フィナシー)
少子高齢化が進む現代日本において、現役世代の減少は避けられない課題となっている。これにより年金保険料の徴収額が減少し、公的年金制度の持続可能性が懸念されているのも事実だ。しかし、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)が年金積立金を運用しており、運用益が一定の成果を上げていることから、将来的に私たちが年金を全く受け取れなくなる可能性は低いと考えられる。
それにもかかわらず、メディアの報道や世間の印象から、公的年金が受け取れないと考える人も一定数いる。このような状況下で、企業が提供する福利厚生制度、特に資産形成を支援する仕組みは、若い世代にとってますます重要性を増している。本記事では、就職する企業にあると魅力的に感じる福利厚生制度について、特に資産形成支援制度を含めて考察していく。
変化する働き方と福利厚生の重要性近年、転職が当たり前の選択肢となりつつある。かつては終身雇用が一般的であり、退職金や企業型年金制度(確定拠出年金[DC]や確定給付年金[DB])が老後資金の主要な柱となっていた。しかし、現代では企業への帰属意識が低下し、1つの企業で長期間働くことを前提とした制度の魅力が薄れてきていると考える。
これに代わり、現代の若い世代が重視している福利厚生には次のような特徴がある。
・フレキシブルな勤務時間やリモートワークの導入
働き方改革が進む中で、柔軟な働き方を求める声が高まっている。学業やプライベートとの両立を図りやすいフレキシブルな勤務時間やリモートワークの選択肢は、多くの学生や若手社員にとって魅力的なポイントとなるだろう。
・資格取得支援やスキルアップ制度
他企業への転職やフリーランスとしての独立を視野に入れた若い世代にとって、職場を超えて活用できるスキルを磨ける環境が重要だ。資格取得費用の補助や研修プログラムの提供は、個人の成長とキャリア形成を支援する有効な手段である。
・資産形成のサポート
公的年金だけに頼らず、自ら資産を形成することが求められる時代において、企業が提供する以下のような資産形成支援制度は非常に魅力的だ。企業に資産形成におけるアドバイザーの窓口があればなお良い。
1. 企業型確定拠出年金(DC制度)
企業型DC制度は、従業員が自分で運用方法を選び、積み立てた資金を将来のために準備する仕組みだ。この制度では、企業が一定額を拠出するため、従業員にとって負担が軽減される上に、自分の判断で資産を運用できる自由度がある。
2. 財形貯蓄制度
給与天引きで効率よく貯蓄を行える財形貯蓄制度は、税制優遇が受けられる点で魅力的だ。特に、住宅取得や老後資金の準備を目的とした財形住宅貯蓄や財形年金貯蓄は、長期的な資産形成をサポートする。
3. 従業員持株会
従業員持株会を活用すれば、企業の成長とともに資産を増やすことができる。従業員が自社株購入をする際、企業から奨励金が出ることが多く、資産形成の一環として利用しやすい。この制度は、会社の業績が良いほど恩恵を受けられる仕組みであり、従業員と企業双方にメリットがある。
4. 保険関連の福利厚生
団体保険や生命保険の加入支援も、将来のリスクを軽減する重要な手段だ。個人で加入するよりも保険料が安く抑えられる場合が多く、従業員にとって負担を減らしながら安心感を得られる仕組みとなる。
しかし、これらの制度は同一企業に長く在籍することで効力を大きく発揮する。したがって、私たちの世代にはあまり魅力的な選択肢とは言えないのかもしれない。中小企業であったり、大企業でも一部の業界では転職が当たり前とされることがある。そのような業界に就職する学生にとって上記の制度はあまり魅力的に映らないかもしれない。
福利厚生の方向性と若い世代のニーズ私は、現役世代の企業への帰属意識が低下している一方で、若い世代の上昇志向が完全に消えたわけではないと考えている。むしろ、自分の価値観や目標に合わせて効率的に行動し、結果を出すことを重視する傾向がある。このため、従業員が個々にスキルアップや資産形成を行える環境を提供することが、企業にとっても競争力を高めるポイントとなる。
また、転職やキャリアの変化を見据えたスキルや資産の提供だけでなく、従業員が企業での経験を通じて自己成長を実感できるような仕組みを整えることが求められる。例えば、社内外で活用可能な資格の取得支援や、多様なキャリアパスを見据えた人材育成プログラムの提供などが含まれる。
就職する企業を選ぶ際、福利厚生制度は非常に重要な要素となる。現代の若い世代にとって、柔軟な働き方やキャリア形成をサポートする仕組みが特に魅力的である。さらに、公的年金の不安を補うための資産形成支援制度も注目すべきポイントだ。企業はこれらのニーズを的確に捉え、個人の成長と企業の発展が両立できるような環境を整えることで、優秀な人材を惹きつけることができるだろう。
学生投資連合USIC
全国33大学1100人以上で構成される日本最大の金融系学生団体。2008年の創設以来、「日本を学生から金融大国に」というビジョンのもと、学生の金融リテラシー向上に取り組んでいる。主な活動内容は、国内外の金融関係企業と合同で開催する勉強会・セミナーの運営、学生向け金融・投資のフリーペーパー「SPOCK」(累計発行部数24万部)の発行、全国の上場企業・大学生を巻き込んで行う「IRプレゼンコンテスト」の主催。近年は、メディアでの発信に注力するほか、制度面への働きかけを通じて、若年層の投資のしやすい環境づくりにも取り組んでいる。2024年現在、全国 33大学のサークル・約1100 名が加盟し、北は北海道、南は九州までのネットワークを有する、日本最大規模の金融系学生団体となっている。Xアカウントは@usic_spock。
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