1位は「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」! ついに「オルカン」の首位崩れる(24年11月の外株ファンド)
Finasee / 2024年12月26日 6時30分
Finasee(フィナシー)
三菱アセット・ブレインズが発表する「投信マーケット概況」で「外国株式型」に分類されるファンドの2024年11月の月次資金流入額トップは「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」になった。前月1位の「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」は第2位に後退した。「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」の純資産残高は11月に公募投信(ETF除く)の中で初めて6兆円の大台を超えた。
一方、月次のパフォーマンスでは「グローバル・フィンテック株式ファンド(ヘッジあり・年2回」が20.01%、「テーマレバレッジDX2倍」が17.86%、「グローバル・スペース株式ファンド(ヘッジあり・年2回決算型)」が17.82%などテーマ型ファンド、かつ、為替ヘッジありに高いリターンが目立った。
◆業界最低水準に信託報酬率を引き下げ「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」は米国の代表的な株価指数「S&P500」に連動するインデックス・ファンドとして2018年7月に設定され、運用が始まった。低コストのインデックスファンドとして設定当初から人気を集め、また、「業界最低水準の手数料率をめざす」という「eMAXIS Slim」シリーズの商品コンセプトを忠実に守り、競合ファンドが低い手数料率を設定すると、その水準と同程度にまで信託報酬率を引き下げてきた。たとえば、「S&P500」インデックスファンドで最低水準(ETF、期間限定を除く)は2024年1月に設定された「ステート・ストリート S&P500インデックス」の年0.0748%(税込み)だが、「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」は2025年1月25日から同ファンドの信託報酬率を年0.07568%~0.0814%(税込み)に引き下げる(従来は0.0924%~0.09372%)。
「eMAXIS Slim」シリーズは残高に応じたディスカウント率を適用しており、0.07568%は残高が10兆円以上の部分に適用される報酬。現在の残高は約6兆円なので、5兆円以上の部分には年0.07579%が適用されることになる。12月8日の残高6兆1648億円を1月25日以降の新しい料率を適用して計算すると年0.07713%になる。厳密にいえば業界最低ではないものの「業界最低水準をめざす」というコンセプトには適った引き下げといえるだろう。
インデックスファンドは、同じインデックスへの連動をめざすファンド間では、パフォーマンスに変化はつかない(商品の品質としてインデックスへの追随率を競う見方もある)。勢い、インデックスファンドの差別化は手数料率の水準になってきた。新設ファンドは既存ファンドより低い手数料率での設定をめざし、既存のインデックスファンドは後発のファンドと同等の水準になるように信託報酬率の引き下げを繰り返してきた。多くのインデックスファンドシリーズは、それぞれの運用会社が戦略的に注力するインデックスファンドにおいて競合他社のインデックスファンドより低い信託報酬率を打ち出すという対応をしてきたが、「eMAXIS Slim」はシリーズの全ての銘柄で競合ファンドの手数料率の水準に負けない水準への信託報酬率の引き下げを実施してきた。それが、ブランドの信用につながり、過去最高の残高を得るという勲章に結実したといえる。
◆11月の外国株式は「為替ヘッジあり」型がパフォーマンス優れる月次のパフォーマンス順位の変動は比較的大きくなっている。トップは「グローバル・フィンテック株式ファンド(ヘッジあり・年2回)」の20.01%で、第2位は「同(ヘッジあり・年1回)」の19.90%だった。同じ運用で為替ヘッジなしの「グローバル・フィンテック株式ファンド(年2回)」は17.50%、「同(年1回)」は17.49%だったため、11月は為替ヘッジありの方がパフォーマンスに優れていた。東京時間(15時)の外為市場で10月末のドル円は1ドル=152.84円だったが、11月末には150.09円へとやや円高に振れたことがパフォーマンスに影響した。「グローバル・スペース株式ファンド(ヘッジあり・年2回決算型)」が17.82%、「米国IPOニューステージ・ファンド(ヘッジあり・年2回)」が16.49%など、11月のパフォーマンス上位にはテーマ型の為替ヘッジありが目立った。
執筆/ライター・記者 徳永 浩
Finasee編集部
「一億総資産形成時代、選択肢の多い老後を皆様に」をミッションに掲げるwebメディア。40~50代の資産形成層を主なターゲットとし、投資信託などの金融商品から、NISAや確定拠出年金といった制度、さらには金融業界の深掘り記事まで、多様化し、深化する資産形成・管理ニーズに合わせた記事を制作・編集している。
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