「ほったらかし投資」でおなじみのブロガー水瀬ケンイチさんに聞く、新NISA2年目の投資戦略。初心者が学ぶべき“とある組織”の投資法とは?
Finasee / 2025年1月6日 18時0分
Finasee(フィナシー)
「ブラックマンデー超え」のショックを和らげる国際分散投資
新NISA1年目にあたる2024年は、結果的にほぼ順風満帆だったと感じています。8月には「ブラックマンデー超え」ともいわれた日経平均の急落がありましたが、投資の基本である国際分散投資を行っていれば、この急落は主に日本株市場に限定されたものでした。
米国をはじめとする先進諸国の市場は堅調だったため、保有資産全体に大きな影響を与えるような下落には至らなかったと考えます。
また、NISA口座数は2024年9月末時点で2500万口座を超え、非課税制度の有用性が広く投資家に認知されてきたように感じられます。さらに、新NISAの開始を契機に、インデックスファンドのコスト競争が促進され、低コストでの運用がますます可能になりました。
加えて、クレジットカードによる投信積立の上限金額が月5万円から月10万円に引き上げられるなど、個人投資家にとって投資環境が大きく改善された1年でもあったと思います。
自分の投資法に合わせてNISA制度を上手に活用私が実践しているインデックス投資では、所定の資産配分でインデックスファンドを積み立てて「バイ&ホールド」するのが基本です。そのため、投資の1年目と2年目で方法を変える必要がある、という前提は当てはまりません。
また、新NISAのつみたて投資枠と成長投資枠についても、同じ商品を活用すれば十分だと考えます。NISA制度に投資法を合わせるのではなく、自分の投資法を確立し、利用可能な制度があればそれを活用するというスタンスが最適だと思います。
さらに、「初心者にはインデックス投資、中上級者にはアクティブ投資」という考え方も、金融機関が作り出したフィクションに過ぎないと私は思います。投資のプロである年金基金などの機関投資家が、どのような運用方法で成果を上げているのかを調べてみるとよいでしょう。
たとえば、日本の公的年金を運用する世界最大級の機関投資家である年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)の例があります。GPIFは運用資金の80%以上を、所定の資産配分に基づくパッシブ運用(=インデックス投資)で運用しています。運用方針や状況は公開されており、新NISAで投資を始めた個人投資家にとって学ぶべき点が多いといえます。
時間は有限、自分自身の人生を楽しもう!投資する投資信託を変更すべきなのは、同じ運用方針でより低コストな商品が登場した場合や、自分のリスク許容度が変わった場合に限られます。それ以外の理由では、基本的に変更する必要はないでしょう。
もし、投資信託の銘柄選びや投資タイミングを図ること自体を楽しみだと感じているのであれば、一度視野を広げてみてください。
人生は長いようでいて短く、時間は有限です。本当の楽しみは、他人任せの投資ではなく、自分自身の人生に見出してほしいと願っています。
ブロガー 水瀬ケンイチ氏
1973年、東京都生まれ。都内IT企業会社員にして下町の個人投資家。2005年よりブログ「梅屋敷商店街のランダム・ウォーカー(インデックス投資実践記)」を執筆、現在ではインデックス投資家のバイブル的ブログに。日本経済新聞やマネー誌などに数多く取り上げられる。
Finasee編集部
「一億総資産形成時代、選択肢の多い老後を皆様に」をミッションに掲げるwebメディア。40~50代の資産形成層を主なターゲットとし、投資信託などの金融商品から、NISAや確定拠出年金といった制度、さらには金融業界の深掘り記事まで、多様化し、深化する資産形成・管理ニーズに合わせた記事を制作・編集している。
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