1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 経済
  4. 経済

「なんで俺だけ少ないんだよ!」父親の遺産5000万円をめぐり、一家を相続争いに発展させた“一波乱”

Finasee / 2025年1月6日 19時0分

「なんで俺だけ少ないんだよ!」父親の遺産5000万円をめぐり、一家を相続争いに発展させた“一波乱”

Finasee(フィナシー)

日本で最も使用されている遺言として自筆証書遺言がある。手軽なことから、遺言の作成について考えたことのある誰もが一度は検討する形式だろう。しかしこの自筆証書遺言はさまざまな部分で問題となることがある。今回はそんな自筆証書遺言の押印でもめにもめた吉田家の事例を紹介しよう。

安堵する吉田家だが、一波乱が起こる

吉田家は、兄弟たちの父でもあり今回亡くなった健蔵さん(仮名、以下同)、その妻、すなわち兄弟たちの母の綾さん、そして直人さんと祐樹さんの4人家族だ。

吉田家は長く共働き世帯であり、投資に関心も高い家庭であって、亡くなった健蔵さんの遺産は5000万円を超えていた。

そうなると当然遺言書の用意もしてある。生前の健蔵さんはがんを患っておりある程度の死期を想定していたことから、終活がかなり早い段階から進められていた。

当然、健蔵さんの死後は遺言書を基にして相続手続きが進められることになる。

「じゃあ、開けるね」家族を代表して綾さんが遺言書を読み上げる。内容としては下記のようになる。

・長年自身と綾さんと支えてきた長男の直人さんに全財産の半分を渡す
・残りの半分を妻の綾さんと次男の祐樹さんとで等分

ここで納得いかずに異を唱えたのが次男の祐樹さん。

「待ってくれよ、なんで俺だけ少ないんだよ!」

「お前はその分自由にしてきただろう、親父から支援も受けていただろう? わがまま言うな」

長男の直人さんがたしなめる。一度はしぶしぶ引き下がった祐樹さんだが、遺言書を家族で回し読みしているとき“あるもの”が目に入る。

祐樹さんが認印での押印に疑問を呈す

祐樹さんが目にしたのは末尾の署名捺印だ。遺言書といえば残された家族にとって非常な大きな役割を果たす。ある意味では国が発行する公文書くらいの重さと厳格さを持つものといってもあながち間違いではないだろう。

そんな書面に捺印する印鑑だ。当然、実印ですべきだと誰もが思うだろう。加えて前文と署名まで手書きなのだから、実印が必須だと思うのも無理はない。

「おい! これ実印か? おかしくないか?」

祐樹さんが声を上げる。そして綾さんが続ける「たしかに認印ね」と。

「やっぱり! おかしいよ。こんなの無効だよ!」

祐樹さんが鬼の首を取ったように発言する。それに対して直人さんが冷静に斬る。

「だがよく見ろ、これは親父の字だろう、絶対に」

たしかに筆跡を見ればそうだ、それは祐樹さん含め誰もが認めるところである。その一方で、遺言書という大事な書面で印鑑が認印というのも考えづらい。事の重大さと釣り合っていない。

話し合いをすればするほど対立は大きくなる。「遺言書はあるんだから……」とたしなめる綾さんに「常識で考えろ」とねじ伏せようとする直人さん。それに対して「おかしいと思わないのか?」と感情的になる祐樹さん。

それに耐えかねた直人さんから私に連絡が入る。

「ちょっと友達として相談に乗ってくれないか?」

●遺言書の印鑑は認印でも有効なのか? 直人さんの疑問への答えは、後編【父親が最期の想いを遺した遺言書に「1つの疑念」が…家族間の“泥沼相続”を防いだ長男の行動】で詳説します。

※プライバシー保護のため、内容を一部脚色しています。

柘植 輝/行政書士・FP

行政書士とFPをメインに企業の経営改善など幅広く活動を行う。得意分野は相続や契約といった民亊法務関連。20歳で行政書士に合格し、若干30代の若さながら10年以上のキャリアがあり、若い感性と十分な経験からくるアドバイスは多方面から支持を集めている。

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

デイリー: 参加する
ウィークリー: 参加する
マンスリー: 参加する
10秒滞在

記事にリアクションする

次の記事を探す

エラーが発生しました

ページを再読み込みして
ください