1位は「あおぞら・新グローバル分散ファンド(限定追加型)2024-10」! 金を組み入れたファンドも人気化(24年11月のバランスファンド)
Finasee / 2024年12月27日 17時0分
Finasee(フィナシー)
三菱アセット・ブレインズが発表する「投信マーケット概況」で「複合資産(バランスファンド)」に分類されるファンドの2024年11月の月次資金流入額トップは「あおぞら・新グローバル分散ファンド(限定追加型)2024-10」になった。前月1位の「のむラップ・ファンド(普通型)」は第2位に後退したものの根強い人気がある。定番となりつつある「Tracers S&P500ゴールドプラス」や「ピクテ・プレミアム・アセット・アロケーション・ファンド」などは安定的な収益を求める投資家の支持を固めている。
◆限定追加型や「ゴールド」を加えた運用に人気「あおぞら・新グローバル分散ファンド(限定追加型)2024-10」は10月31日に設定され、追加募集期間が12月30日までという募集期間が限られたファンドだ。しかも、設定後に1年をかけてリスク資産を積み上げて目標とするポートフォリオ(先進国株式50%、新興国株式10%、先進国債券40%)に着地する。加えて、基準価額が1万1500円以上になったら安定的な債券運用に切り替えるため、期待できる運用収益にも上限を設けている。株式への投資を徐々に増やす仕組みは、積立投資の投資効果にも似ていて株式のリスクに慣れていない投資家に支持されるのかもしれない。また、信託期間は約5年間という比較的短い期間でもあり、このタイミングで株式や債券のリスク資産に投資するメリットを感じる投資家にもニーズはあるだろう。純資産残高は12月24日時点で326億円になっている。
バランスファンドの純資産残高の上位は、トップに「セゾン・グローバルバランスファンド」の5115億円、そして、「のむラップ・ファンド(普通型)」の4995億円、「世界経済インデックスファンド」の3582億円がトップ3になる。近年、「Tracers S&P500ゴールドプラス」や「ピクテ・プレミアム・アセット・アロケーション・ファンド」「ピクテ・ゴールデン・リスクプレミアム・ファンド」などが残高を積み上げている。これらはいずれも運用資産に「金(ゴールド)」を比較的大きく組み入れたファンドで、「ゴールド」は株式と債券の連動性が高まりリスク分散効果が薄れてきたと言われる中で、新たな分散先として注目されている。
バランスファンドは、リスクを抑えて中長期の目線で資産を着実に増やしたいという投資目的で活用されることが一般的であるため、今後はバランスファンドにとっては「ゴールド」の組み入れが当たり前と意識されるようになるのかもしれない。一方、債券に利回りが戻ったことによってインカムゲインへの期待も高まり、債券という投資対象が株式と異なる側面でも評価できるようになってきた。バランスファンドの要諦であるリスク分散という考え方は、株式と債券の性格の違いが際立っているほど分散効果が高まる。「ゴールド」の組み入れも含めて、リスク分散の効果が高まるほどにバランスファンドの価値も高まる。今後はバランスファンドへの見直しも進むと考えられる。
◆パフォーマンス上位にはニュータイプのバランスファンドパフォーマンスランキングのトップは「ダブルライン・シラー・ケープ米国株式プラス<ヘッジあり>」の6.32%、「同<ヘッジなし>」が4.68%で続き、第4位には「タフ・アメリカ(ヘッジあり 資産成長型)」が2.24%で入った(第3位の3.23%の「ビルドアップ型ベイリー・ギフォードインパクト投資F2021-04(限定追加型)」には既に新規投資ができない)。
「ダブルライン・シラー・ケープ米国株式プラス」は、米国株式の割安と評価されたセクターへの投資効果に加えて、安定的なインカム収入を狙えるグローバル債券に対する投資を2つの収益源とし、トータル・リターン・スワップ取引を活用することで、限られた資金で2つの戦略に同時に投資した場合と同様の値動きを享受することをめざす。ファンドの純資産総額200%相当分程度の資産に実質的に投資することになる。このファンドで株式の投資にあたって割安の判断の目安として使うケープ・レシオは、一般的なPER(株価収益率)が単年度のデータによる指標であるのに対し、過去10年間の物価変動の影響や長期の利益水準を考慮した中長期的な投資尺度として開発された指標だ。従来では一般的でない投資手法を活用することで運用の付加価値を高めている。
「タフ・アメリカ」は、主に米ドル建ての債券、高配当株式、REIT等に実質的に分散投資し、安定したインカムゲインの確保と中長期的な信託財産の成長を目指す。具体的には主に米ドル建てのさまざまな種類の債券等に分散投資し、投資環境の変化等に応じて、債券種別の配分比率を機動的に変更することで、中長期的な収益の確保を目指す「トータルリターン・ファンド」と、主に高配当株式、REIT、転換社債等を投資対象とし、利回り水準に着目して分散投資するとともに、投資環境の変化等に応じて、資産配分比率を機動的に変更することで、中長期的な収益の確保を目指す「エクイティ・インカム・ファンド」に投資して、その組み入れ比率を適宜見直すという運用を行う。一般的なバランスファンドと異なるポートフォリオの構成になっている。
このように運用の仕組みが複雑化していくと、投資家が商品を理解することが難しくなり、それが敬遠される理由にもなる。一般的なバランス運用ではリスク分散に限界があり安定的な運用成績が獲得できなくなってきたという近年の投資環境が運用戦略を複雑化させているといえる。パフォーマンスが伴ってくれば、これらファンドについても理解しようという投資家は増えることだろう。
執筆/ライター・記者 徳永 浩
Finasee編集部
「一億総資産形成時代、選択肢の多い老後を皆様に」をミッションに掲げるwebメディア。40~50代の資産形成層を主なターゲットとし、投資信託などの金融商品から、NISAや確定拠出年金といった制度、さらには金融業界の深掘り記事まで、多様化し、深化する資産形成・管理ニーズに合わせた記事を制作・編集している。
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