月収や転職はどのくらい? 日本の外国人労働者、気になる受け入れ現状を探る
Finasee / 2025年1月8日 19時0分
Finasee(フィナシー)
今や160万人もいる外国人ワーカー 約3分の1が「専門的・技術的分野」
今回参考にするのは厚生労働省による「外国人雇用実態調査」だ。具体的には雇用保険の被保険者が5人以上で、かつ外国人を雇用している3534事業所およびそこで働く外国人労働者1万1629人を対象とした調査である。調査によれば、現在日本で働く外国人ワーカーは全体で約160万人※。日本全体の就業者数が6814万人なので、約2.3%を占める計算だ。
外国人が日本に滞在する場合は在留資格という法的な資格が必要になる。在留資格別に約160万人の内訳を見ると、一番多いのが「専門的・技術的分野」で35.6%。具体的にはシステムエンジニアや事務職など「大卒ホワイトカラー、技術者」。外国料理人など「外国人特有または特殊な能力等を活かした職業」。外資系企業の経営者や管理職、弁護士、会計士、医師、大学教授など「高度な専門的な職業」に大別される。
次に多いのが永住者や日本人の配偶者など「身分に基づくもの」が30.9%。そして「技能実習」が22.8%と続く。なお技能実習とは、日本の技術などを外国人に教えることで、将来母国の経済発展を担う人材の育成を目的に作られた制度だ。
※厚生労働省の定義「外国人労働者数(雇用保険被保険者数5人以上事業所)」に基づく。
残業代も含めて平均給与は26万7700円次に気になる給与について見てみよう。調査によれば、「月間きまって支給する現金給与額」は26万7700円。参考までに日本の平均賃金は31万8300円※なので、それより15%程度低い水準だ。なお給与の前提として、所定内実労働時間155.8時間に加えて、残業や休日出勤といった超過実労働時間19.8時間も含まれている。
在留資格別では、「専門的・技術的分野」が28万5900円(158.6時間、17.5時間)。「身分に基づくもの」が30万2300円(149.5時間、18.5時間)。「技能実習」が20万4100円(163.2時間、26.2時間)。なおカッコ内の数字はそれぞれ所定内実労働時間、超過実労働時間を示す。永住者など「身分に基づくもの」は日本の平均賃金とそん色のない水準に見えるが、それに比べると技能実習の給与の低さ、労働時間の長さが気になるところだ。
※出所:厚生労働省「令和5年賃金構造基本統計調査」
「日本語でコミュニケーションが取りづらい」が4割超次いで企業が外国人を雇用している理由についても見ていこう。最も回答率が高いのは「労働力不足の解消・緩和のため」で64.8%。次いで「日本人と同等またはそれ以上の活躍を期待して」が56.8%。これらは昨今の人手不足が追い風になっているかもしれない。またダイバーシティ(多様性)の推進などから「事業所の国際化、多様性の向上を図るため」(18.5%)、「日本人にはない知識、技術の活用を期待して」(16.5%)といった回答も一定数あった。
また、文化や言語の違いから外国人労働者と共に働く中で課題に直面することも。調査によれば、外国人労働者の雇用に関する課題として回答率が高かったのは、「日本語能力等のためにコミュニケーションが取りにくい」で44.8%。他にも4番目に多い回答として「文化、価値観、生活習慣等の違いによるトラブルがある」(19.6%)が挙がるなど文化や言語の違いに起因する課題に直面する企業は少なくないようだ。外国人雇用が定着してお互いに慣れてくれば、こうしたギャップも解消していくのだろうか。
一方で「在留資格申請等の事務負担が面倒・煩雑」も25.4%と2番目に多かった。外国人雇用を定着させるうえで、継続的な制度面の改善も必要だろう。
外国人ワーカーの3割超が日本で転職を経験外国人ワーカーの国籍はどこが多いのか。調査から最も多いのは「ベトナム」で29.8%。次いで「中国(香港、マカオ含む)」が15.9%、フィリピンが10.0%と続く。
調査によれば、彼らの多くは母国あるいは日本の紹介会社や個人などを通じて入国するケースが多いようで、実に85.2%が該当した。また入国までには、ある程度の費用がかかるようだ。回答率が最も高いのは「20万円以上40万円未満」(23.0%)だった。
異国で働く苦労は並大抵のことではない。日本での就労で何かトラブルや困ったことはなかったのだろうか。調査では、「なし」と回答した人が82.5%を占め、「あり」は14.4%にとどまった。ただ、紹介会社がついているからといって、必ずしも万全のサポートが受けられるわけではないようだ。
「あり」と回答した人のうち、遭遇したトラブルとして回答したもので最も多いのは、「紹介会社(送出し機関含む)の費用が高かった」で19.6%。また「トラブルや困ったことの相談先がわからなかった」(16.0%)、「事前の説明以上に高い日本語能力が求められた」(13.6%)といった回答も多かった。
日本で職に就いたあと、別の会社に転職する外国人ワーカーもおり、調査によれば約34%が該当。転職によって賃金が上がったと回答した人はそのうち60.5%にのぼっている。
調査概要 調査主体:厚生労働省 調査名:令和5年外国人雇用実態調査 調査期間:2024年9月30日現在の状況について、2024年10月~2024年11月までの間に実施 調査対象:雇用保険の被保険者が5人以上で、かつ外国人労働者を1人以上雇用している全国の事業所から抽出された9450事業所のうち有効回答を得た3534事業所および当該事業所に雇用されている外国人の常用労働者1万1629人
Finasee編集部
「一億総資産形成時代、選択肢の多い老後を皆様に」をミッションに掲げるwebメディア。40~50代の資産形成層を主なターゲットとし、投資信託などの金融商品から、NISAや確定拠出年金といった制度、さらには金融業界の深掘り記事まで、多様化し、深化する資産形成・管理ニーズに合わせた記事を制作・編集している。
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