2025年「景気」はどうなる? 見通しが明るい業界2位「不動産」を抑えた1位は
Finasee / 2025年1月9日 12時0分
Finasee(フィナシー)
2025年の景気見通し 「回復局面」との回答は5年ぶりの低水準
まずは2025年の景気見通しについて企業の声に耳を傾けてみよう。今回参考にするのは、調査機関である帝国データバンクによる全国1万939社の企業を対象にした調査。
調査によると景気が「回復局面」と回答した企業は7.7%だった。これは前回と比べて5.1%減の値である。10%を下回ったのはコロナ禍前の2019年11月の調査以来だったそうで、実に5年ぶりの低水準だ。
また、景気が好調を続けるなかで、上昇ペースが一時的に鈍化して停滞することを指す「踊り場局面」と回答した企業は41.7%と前回同様に4割を上回る結果に。こちらは2018年以降では比較的高い水準である。「踊り場」という言葉から想起されるイメージの通り、停滞が終わって再度上昇するのか、悪化に転じるかは現時点で分からないと考えている企業が少なくないようだ。
踊り場局面とやや近いニュアンスの回答が「分からない」で、回答率が26.7%と2017年11月の調査以来の高い水準だった。全体的には2025年の景気を見通しづらいと感じている企業が多いようだ。
出所:帝国データバンク 「2025年の景気見通しに対する企業の意識調査」景気見通しが楽観的な業種 「不動産」を抑えた1位は?企業と一口に言っても千差万別。規模や業種によって景気見通しも異なるだろう。調査によれば、来年の景気が「回復局面」の回答率では、大企業が中小企業より高く、「踊り場局面」も同様だった。逆に「悪化局面」では、大企業が中小企業より低く、総じて大企業のほうが景気見通しは楽観的なようだ。
業界別ではどうだろうか。「回復局面」の回答率が高いのは、「金融」(10.1%)、「不動産」(9.5%)、「サービス」(8.8%)の順だった。やはり株価や金利、不動産価格の上昇が背景にあるのかもしれない。
逆に「悪化局面」については、「小売」(31.7%)、「農・林・水産」(25.7%)、「建設」(25.2%)の順に回答率が高い。いずれも個人消費の低迷や人手不足などの影響を受けやすい業種だ。
出所:帝国データバンク 「2025年の景気見通しに対する企業の意識調査」「原油高騰」や「円安」は沈静化を期待も新たな懸念材料が物価高騰に泣かされた2024年。2025年はどんな懸念材料が予想されるのだろうか。調査によれば、回答率が高いのは「原油・素材価格(の上昇)」で46.2%。「人手不足」が41.6%、「物価上昇(インフレ)」が31.5%と続く。現在も中東情勢は緊迫しており、昨年ほどではないにしても原油価格などの動向に敏感になっている企業は多いようだ。
前回から大きく変化したところでは、「為替(円安)」が37.4%から30.7%にダウンし、「金利(の上昇)」が17.8%から24.1%に上昇。日銀が追加利上げに踏み切ることで、いよいよ「金利のある世界」の本格的な到来が予想される。「金利のある世界」となり円安は是正されるのだろうか。気になる企業も少なくないようだ。
また、円安などに起因する物価高騰に目が向きがちだが、金融緩和をやめてしまうことで、経済成長に水を差すと懸念する向きもあるだろう。
さらに米国の大統領選挙ではトランプ氏が返り咲いたこともあってか、注目を集めているのか、懸念材料として「米国経済」を挙げる企業が5.9%から17.1%に上昇した。
おりしも米国では根強い物価高騰が続いており予断を許さない状況だ。他方で米国議会は共和党が上下両院で過半数を制しており、トランプ氏が掲げる経済政策の矢継ぎ早な実行に期待する声もある。
出所:帝国データバンク 「2025年の景気見通しに対する企業の意識調査」「103万円の壁」議論も関係? 「個人向け減税」を希望する企業が増加景気回復に必要な対策として、どのような政策が待ち望まれているのか。調査結果では、最も回答率が高かったのは「人手不足の解消」で40.5%。一方で前回か6.5%上昇し僅差で2位だったのが「個人向け減税」で39.6%。現在話題の「103万円の壁」議論はまさにこの2つに関わる政策だ。
年収103万円を超えると所得税が発生することから、103万円未満になるように働く時間を調整する人が多いと言われる。壁を引き上げれば、実質的に個人向け減税にもなるし、一人当たりの働く時間が増えれば人手不足の改善にもつながるというわけだ。
逆に前回から8.4%ダウンしたのが「原材料不足や価格高騰への対策」(26.2%)。円安の懸念が薄らいだこともあってか、優先度は下がっているようだ。
出所:帝国データバンク 「2025年の景気見通しに対する企業の意識調査」「世界・国内ともに社会情勢が混沌としていて、見通しは厳しいと考えている」 企業の生の声を紹介最後に調査に寄せられた企業のコメントを紹介しよう。
「更なる電力値上げや原材料・物流費の高騰など各種コストアップによる企業の収益悪化に加え、消費者心理の冷え込みにより先行きが見通せない」(飲食料品・飼料製造、愛媛県)、「今後も円安の傾向、原価高騰、人件費高騰など経費の高騰のなか、売り上げが減少となる見込みで対策を検討している」(家具類小売、東京都)、など引き続き円安や物価高騰を警戒する声があった。
しかし為替については、「物価高、円高となれば輸出産業への悪影響は免れない。また、アメリカの景気減速の懸念もあり、国内外の需要は減る可能性がある」(輸送用機械・器具製造、茨城県)、といった声も。
円安で業績が好調な業種もあることから、円安を是正すれば一件落着という単純な話ではないのかもしれない。
一方で楽観的な意見としては、「旅行、インバウンドのお客様増が明るい要素である。電気代、ガス代、水道料金の高騰などは下振れ要因であるため国の施策に期待」(不動産、長野県)、「ある程度は企業の設備投資が進み景気循環の下支えが進んで行くのではないかと考えている」(機械・器具卸売、愛知県)、「減税への期待感が高まるなかで期待通りの政策が実施されれば、消費拡大や人手の確保にも繋がり、景気回復に明るい兆しがみえると思う」(金融、福井県)、などインバウンドや企業の設備投資が景気を下支えするなかで、減税によって個人消費が回復すれば、と期待している企業もあるようだ。
Finasee編集部
「一億総資産形成時代、選択肢の多い老後を皆様に」をミッションに掲げるwebメディア。40~50代の資産形成層を主なターゲットとし、投資信託などの金融商品から、NISAや確定拠出年金といった制度、さらには金融業界の深掘り記事まで、多様化し、深化する資産形成・管理ニーズに合わせた記事を制作・編集している。
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