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「女性の相談員はいらっしゃいますか…」必死のアルハラ被害の訴えも、女性幹部のあぜんとする“開き直り”

Finasee / 2025年1月9日 19時0分

「女性の相談員はいらっしゃいますか…」必死のアルハラ被害の訴えも、女性幹部のあぜんとする“開き直り”

Finasee(フィナシー)

<前編のまとめ>

大手企業で働く松居智子さん(仮名・25歳)は、上司からのアルハラで悩んでいました。

飲み会を断ろうとしても、「大事な仕事の話がしたい」「メンバーの絆を深めるため」「来ないのは君だけ」など、半ば参加を強制してきます。

いつもは飲みすぎないように注意していた松居さんですが、忘年会では罰ゲームに負け、何杯も飲まされ、酔っぱらってしまいます。そして、帰りのタクシーに上司が強引に乗り込んできたのです。

●前編:【アルハラ退職】忘年会の罰ゲームで何杯もお酒を強要され…退職を決意させた上司の“恐怖の行動” 

「これはハラスメントではないですか」

同僚の送迎会の帰り、松居さんの上司は宿舎まで付いてきました。そして、一緒にタクシーから降りようとしたのです。

「送っていただきありがとうございます。もうひとりで大丈夫です」と、松居さんは恐怖で泣きながらも、そう言って、なんとか上司をタクシーに押し戻しました。

しかし、それからも上司のアルハラは続きます。

歓送迎会での出来事から、松居さんは上司からの誘いはすべて断っていました。すると、上司は、松居さんにだけあからさまに不機嫌な態度を取り、重要な連絡事項を伝えなかったり、同僚の前で叱責したりするようになりました。

松居さんが「これはハラスメントではないですか」と上司に告げると、「飲みすぎていたから心配して家まで送っただけなのに、なにを勘違いしているんだ」「仕事ができないのは君の能力の問題だろう」と、責任転嫁される始末です。

そのため仕方なく、飲み会に顔を出してみるも、またも上司はタクシーに乗り込もうとしてきます。毎週のように、上司からメールやチャットに届く飲み会の誘いに松居さんはメンタルをやられてしまいました。松居さんが、私たちに退職代行を依頼してきたときには、ただ一刻も早く仕事を辞めたいという心境でした。

退職が決まると、豹変する女性幹部の態度

「女性の相談員はいらっしゃいますか……」

ハラスメントに悩む女性からの依頼にこたえるためにも「モームリ」には、多数の女性社員がいます。松居さんの要望通り、会社側も女性の幹部に対応してもらいました。私たちから事情を説明すると、女性幹部は同情し、謝罪の言葉を松居さんに伝えてほしいと言ってくれました。被害者に寄り添う言葉に、アルハラの再発防止に努めてくれるはずだと期待も抱きました。

ところが、松居さんの退職が決まると、すぐ女性幹部の態度は豹変します。

「アルハラはなかった。女性の訴えは虚偽です」

真相はわかりませんが、時間が経ち、ハラスメントの被害を整理できるようになった松居さんから、もしも訴えられれば、会社は社会的な評判を大きく損なうリスクがあります。そのため事件を認めて再発防止策を講じるよりも、もみ消す道を選んだのではないでしょうか。

「アルハラ退職」は会社に相談しづらい

飲み会は職場の上下関係がさらに増幅され、ハラスメントが起きやすい環境です。

「自由参加と言われたのに、断ると仕事をふってくれなくなった」

「普段は温厚な上司が酔っているのか、酔ったふりをしているのか、二の腕を揉んできたり、後から抑え込もうとしたり、セクハラをしてくる。怖くて、飲み会が近づくと動悸がするようになった」

「新年会で酔った上司からビンタをされ、出勤できなくなった。その上司はパワハラがひどいと有名です。目をつけられてしまったので、これからもパワハラが続く可能性が高いので、退職代行に頼みました」

「酔いが回ると余興で肩パンのゲームが始まる。上司はだんだんエスカレートしてきて、最後はただ袋叩き状態に。アルハラに耐えられず辞める社員の送別会では、その社員に一気飲みを強要し、緊急搬送されていた。上司はおごってくれず、会計は罰ゲームで払う人を決めるので、負けが続くと生活費もなくなる」

「途中で席を立とうとすると、専務から『帰れると思うなよ』とすごまれた。専務の隣に座らされた。『トイレにいきたい』とウソをついて逃げようとしたけど、カバンを抱きかかえられてしまった。何をされるか怖くて涙が止まらなかった」

このような「アルハラ退職」の相談は、会社内の上下関係と密接に関わっているのため、会社には相談しづらいものばかりです。

「モームリ」の飲み会は?

ここまでアルハラの被害を語ってきましたが、かくいう私は、サラリーマン時代には自ら上司を誘うほど酒の席が好きでした。

会議ではうまく伝えられなかったアイデアもお酒の力を借りれば、とんとん拍子で話が進むときがあります。制限時間を気にせず、思考能力の鈍った上司を説得できますから、最高のプレゼン環境です。報告しにくい失敗だって、「相談があります」と飲みに誘って告白すれば、笑い話になるかもしれません。

飲み会を利用し、私は出世していったので、同僚たちからはさぞひがまれていたことでしょう。ただビジネスと飲み会は、切っても切れない関係にあるのも確かです。アルハラの被害をなくすのがむずかしい一因になっています。

今、私は経営者として、数十人の部下を率いる立場になりました。相変わらずお酒は好きで、「モームリ」では頻繁に飲み会を開いています。

まず誘うときは、特定の個人に声をかけず、全社またはグループ単位で声をかけます。その際、「参加したい人は、18時にロビーに集合」「これから誰々と飲むけど、ほかに来たい人は残っていて」など、同調圧力がかからず、各自が判断しやすい環境をつくっています。

もちろん飲み物はみなバラバラで、乾杯のときもお酒を強要することはありません。ソフトドリンクだけの人もたくさんいます。また、飲み会では仕事の話はしないようにしています。残業代が発生しないのに、上司から仕事の話をされるのはおかしいと感じる人もいます。

そのかいあってか、社員には仕事とプライベートをきっちりと分けたい、若いZ世代が多いのですが、毎回、飲み会の参加希望者が多くて困っているぐらいです。お酒は飲みたくないけど、交流が深まる酒の席は好きというZ世代は意外と多いのだと気がつかされました。

※プライバシー保護のため、内容を一部脚色しています。

谷本 慎二/アルバトロス代表取締役、退職代行モームリ代表

1989年、岡山県生まれ。2007年に神戸学院大学へ入学。2012年に東証一部上場の大手接客・サービス業に入社し、入社5年でエリアマネージャー昇格。2022年2月1日に株式会社アルバトロスを設立し、退職代行事業「退職代行モームリ」を開始。退職代行の利用者は2万2000人を超える。メディア取材(TV、雑誌、新聞、海外メディア含む)は400社以上を受け、離職率低下のための講演会依頼も多数。また、著書として『退職代行業者が今すぐ伝えたい!Z世代が辞めたい会社』を出版。

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