「S&P500」と「FANG+」、「NASDAQ100」の違いは? 組み入れ銘柄と比率の違いが成績を左右!?
Finasee / 2025年1月16日 7時0分
Finasee(フィナシー)
auカブコム証券の投信売れ筋ランキングの2024年12月のトップ2は前月と同様に「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」と「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」だった。第3位に前月トップ5圏外から「iFreeNEXT FANG+インデックス」が浮上し、同様にトップ5圏外から「アライアンス・バーンスタイン・米国成長株投信Dコース毎月決算型(為替ヘッジなし)予想分配金提示型」が第5位に食い込んだ。
一方、積立設定金額では、トップ3が前月と同様に「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」と「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」、そして、「iFreeNEXT FANG+インデックス」だったが、第4位に「<購入・換金手数料なし>ニッセイNASDAQ100インデックスファンド」、第5位に「eMAXIS Slim 全世界株式(除く日本)」がランクインしている。
◆「S&P500」「オルカン」を追う「FANG+」「iFreeNEXT FANG+インデックス」は、Facebook(Meta Platforms)、Amazon、Netflix、Google(Alphabet)の「FANG」4社を含む、ビッグテック10銘柄で構成される株価指数「NYSE FANG+指数」に連動するインデックスファンドだ。構成銘柄は毎年3月、6月、9月、12月に銘柄入れ替え(検討)と10銘柄への投資が等金額になるようにリバランスを行っている。現在の構成銘柄はFANGに加えて、エヌビディア、ブロードコム、アップル、クラウドストライク、サービスナウ、マイクロソフトになっている。この構成銘柄は、おおむね「マグニフィセント・セブン」と言われる銘柄群と重なっており、過去数年間の米国株式市場をけん引し、昨年は割高感が強調された銘柄群だ。
2024年11月末時点で過去1年間のトータルリターンが52.6%、過去3年間では106.8%。3年間のリターンでは「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」の77.4%、「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」の62.4%を大幅に上回っている。この優れたパフォーマンスは、定期的な銘柄の入れ替えによって常に高成長が期待できる銘柄群で指数を構成しているためと考えられる。たとえば、直近の銘柄入れ替えは2024年9月に実施され、その際にはテスラとスノーフレイクが除外され、クラウドストライクとサービスナウが新規に採用された。かねてより割高の指摘があり、かつ、CEOであるイーロン・マスク氏がトランプ新大統領のブレーンの1人として注目を集めたため、企業業績以外の要素で株価が動くことがあるテスラが除外された。
「iFreeNEXT FANG+インデックス」は、売れ筋ランキングでは上位に位置していなかったが、積立設定金額ランキングではトップ5の常連だった。今回、売れ筋でも第3位にランクされたことで、いよいよ「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」と「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」に続く有力な投資対象として定着するかどうか、今後の推移が注目される。
◆「NASDAQ100」という選択肢積立設定金額ランキングで第4位にランクインした「<購入・換金手数料なし>ニッセイNASDAQ100インデックスファンド」は、「NASDAQ100指数(配当込み、円換算ベース)」に連動する投資成績をめざすインデックスファンドだ。「NASDAQ100指数」は、NASDAQ市場に上場する時価総額上位100銘柄(金融を除く)で構成されるインデックスだ。米国株式インデックスとしては、「S&P500」の方がメジャーな存在だが、近年の株式市場で活躍する銘柄がNASDAQ市場に上場している銘柄が多いことから、徐々に存在感を増してきている。
2024年11月末時点での「<購入・換金手数料なし>ニッセイNASDAQ100インデックスファンド」の組み入れ上位銘柄は、アップル(組み入れ比率8.8%)、エヌビディア(8.1%)、マイクロソフト(7.7%)、アマゾン(5.3%)、メタ・プラットフォームズ(4.9%)などとなっている。これに対して「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」は、アップル(6.9%)、エヌビディア(6.4%)、マイクロソフト(6.0%)、アマゾン(3.7%)、メタ・プラットフォームズ(2.4%)などとなる。上位5銘柄は同じだが「S&P500」は500銘柄を組み入れ対象とするために1銘柄当たりの組み入れ比率はやや低くなっている。また、「S&P500」は金融も対象になっているため、ウォーレン・バフェット氏が会長兼CEOを務める投資会社バークシャー・ハザウェイ(1.7%)が第8位の組み入れ銘柄になっている。
一方、「iFreeNEXT FANG+インデックス」は構成銘柄が10銘柄のみと限られるため、クラウドストライク(11.2%)、ネットフリックス(10.9%)、エヌビディア(10.3%)、サービスナウ(10.1%)、アマゾン(9.5%)などと1銘柄当たりの組み入れ比率が大きい。このように3種のインデックスファンドは、同じ米国株式を投資対象としていてもそれぞれに異なる特徴を持っている。当然、その組み入れ銘柄の違いによってパフォーマンスも異なる。過去1年間(2024年11月末時点)のトータルリターンを比較すると「iFreeNEXT FANG+インデックス」が52.6%で最も高く、「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」が36.7%、「<購入・換金手数料なし>ニッセイNASDAQ100インデックスファンド」が33.7%という結果だった。
それぞれの特徴を理解し、その特徴の違いがパフォーマンスにどのように影響するのか(たとえば、組み入れ銘柄数が少ない「iFreeNEXT FANG+インデックス」は個別銘柄の株価変動の影響を受けやすく基準価額の値動きが大きくなりがちなど)など理解が進むことが期待される。過去1年間のパフォーマンスの差が各ファンドの人気に直結していないのは、パフォーマンスだけではない個々のインデックスやファンドの特徴が影響していると考えられる。
昨年スタートした新NISAをきっかけにインデックスファンドを使った積立投資が人気化しているが、投資家の一人一人がそれぞれのファンドのパフォーマンスを確認し、その動きに納得している状態が続くことが望ましい。
執筆/ライター・記者 徳永 浩
Finasee編集部
「一億総資産形成時代、選択肢の多い老後を皆様に」をミッションに掲げるwebメディア。40~50代の資産形成層を主なターゲットとし、投資信託などの金融商品から、NISAや確定拠出年金といった制度、さらには金融業界の深掘り記事まで、多様化し、深化する資産形成・管理ニーズに合わせた記事を制作・編集している。
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