日産・ホンダの経営統合の影響は? 完成車輸送「ゼロ」の最新業績予想
Finasee / 2025年1月21日 7時0分
Finasee(フィナシー)
11月7日に発表されたゼロの2025年6月期第1四半期決算を受けて業績予想のアップデートを行った。まずゼロ画発表した実績値と我々の予想の差異について確認していく。
2025年6月期第1四半期の売上高は343億円と期初予想の342億円とほぼ同水準で推移した一方、営業利益は27億円と期初予想の16億円を大きく上回る結果となった。この収益性の大幅な改善は、新車・中古車の輸送料金改定や送迎事業における価格見直しによる増収効果が、人件費や燃料費などの固定費の抑制と相まって、売上原価率の改善と販管費率の低減につながったことが主要因である。こうした価格改定を通じた収益構造の強化が、利益率の向上に寄与している。
国内自動車関連事業については、トラックドライバーの時間外労働時間に上限規制がかけられる「2024年問題」への対応として乗務員の分業体制推進や採用強化により輸送戦力を維持し、受託台数は増加。また、2024年1月からの輸送料金改定の浸透や、子会社であるゼロ・プラスIKEDAの好調な業績寄与、同じく子会社化したソウイングの連結効果により、大幅な増収増益となった。
ヒューマンリソース事業については、ドライバーの採用手法見直しによる在籍者数の増加や、Maas事業の拡大、空港関連人材事業における外国人採用の進展により、増収増益。
一般貨物事業については、天候不順による港湾荷役の稼働低下や、主要顧客の取扱荷量減少、2024年問題に伴う傭車先の減少により、売上高は前年同期比3.6%減となった一方で、倉庫内荷役の新規案件立ち上げや新規顧客獲得により倉庫の稼働率が改善し、減収増益。
海外関連事業については、中古車輸出事業で9月末の出荷遅延があったものの市場占有率はトップを維持し、中国では日系メーカーの苦戦を民族系メーカーの新規契約獲得でカバー。ただし、日系メーカーの荷量減少による復荷輸送の低下影響もあった一方で、船枠確保による海上輸送の効率化により、減収増益。
今回の決算開示を受け、業績予想モデルの更新を行ったので紹介する。変更した点は以下である。
・売上原価・販管費の内訳は年次でしか開示されていないが、四半期も推計値を算出した。
・海外関連事業の中古車輸出事業の売上高を算出する際、マレーシア向け輸出台数を基に数値を置いた。
同社は日産自動車の完成車輸送を創業以来の主要事業としてきたが、現在の国内陸送における日産車の取扱比率は10%未満にまで低下している。このため、今後予定される日産自動車とホンダの経営統合に伴う完成車物流網の再編による影響は限定的と考えられる。むしろ、統合後の新規輸送需要の取り込みなど、事業機会の拡大が期待される。投資判断を下す際にはこのような点を踏まえたうえで慎重に判断する必要があるだろう。
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橋本 達也/株式会社hands アナリスト
機関投資家向けの日本株リサーチサービス「PERAGARU」の運営メンバーでアナリスト。主に小売と食品を主要領域とし、オルタナティブデータを用いた分析が得意。
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