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USスチール買収でも話題の日本製鉄、どんな会社? 業績は? 投資するには

Finasee / 2025年1月23日 8時0分

USスチール買収でも話題の日本製鉄、どんな会社? 業績は? 投資するには

Finasee(フィナシー)

日本製鉄のUSスチール買収は2025年1月、米バイデン大統領の禁止命令によって行方が見通せない状況となりました。日本製鉄の株価は軟調な展開となっており、1月14日の終値は3010円と、2024年末(同3198円)から5.4%下落しています。

日本製鉄とUSスチールは命令の無効を求め、米政府の提訴に踏み切りました。同時に、買収を違法に阻止することを企てたとして、米同業のクリーブランド・クリフス社とその代表、およびUSW(全米鉄鋼労働組合)の会長に対し、さらなる行為の差し止めと損害賠償を求める訴訟も起こしています。

米政府は大統領の禁止命令の履行期限を2月から6月へ延期しました。これにより、買収計画の放棄にはいったんの猶予が生まれています。とはいえ、買収の成否は不透明です。

いずれにせよ、日本製鉄には多くの関心が寄せられています。中には投資を検討している人もいるでしょう。

日本製鉄に投資するにはどうすればよいのでしょうか。今回は株式の買い方と、投資信託で日本製鉄へ投資する方法を紹介します。

世界4位の鉄鋼メーカー 高級鋼に強み、製造業向けが過半

まずは日本製鉄の概要を押さえましょう。

日本製鉄は国内最大手の鉄鋼メーカーです。国内の粗鋼生産の44%を握っています(2023年度)。世界でも2000年までは粗鋼生産量で首位でした。現在は世界4位に位置します(2023年)。

日本製鉄は付加価値の高い高級鋼に強みがあります。高級鋼は製造業で用いられることが多く、日本製鉄の出荷は自動車向けが多くを占めています。また造船向けやエネルギー(油井管、ラインパイプなど)向けの比率も高く、製造業向けの出荷は国内で67%、海外で50%に達します(2023年度)。

業績は、直近の2024年3月期は増収減益でした。堅調な出荷と円安が売り上げを伸ばした一方で、利益は原料価格低下に伴う在庫評価損が響き減少しました。

【日本製鉄の業績(2024年3月期)】

・売上収益:8兆8681億円(+11.2%)
・事業利益:8697億円(-5.1%)
・純利益:5493億円(-20.8%)

※()は前期比
※事業利益=売上収益-売上原価-販管費-その他費用+持分法による投資利益+その他収益

出所:日本製鉄 決算短信

今期(2025年3月期)は売り上げがやや減少、利益は大幅な減益の予想です。減益は引き続き在庫評価損が悪化すること、また設備の休止に伴う損失を計上することが主因です。なお、今期の業績予想にUSスチールの買収は織り込まれていません。

【日本製鉄の業績予想(2025年3月期)】

・売上収益:8兆6000億円(-3.0%)
・事業利益:6700億円(-23.0%)
・純利益:3100億円(-43.6%)

※()は前期比
※同第2四半期時点における同社の予想

出所:日本製鉄 決算短信

株式は証券会社で買える 安く買うなら「指値」、すぐ買うなら「成行」

日本製鉄の株式には証券口座から投資できます。まずは証券会社で口座を開設しましょう。

株式は原則として100株単位の売買です。日本製鉄は1株が3010円(2025年1月14日終値)ですから、買うには少なくとも30万100円が必要です。

さらに安い価格で投資したいなら、発注時に「指値(さしね)」を指定します。指値以下の売り注文があるとき、売買が成立します。

価格にこだわらず、すぐに買いたい場合は「成行(なりゆき)」を指定します。この場合、原則として売りに出ている注文のうち最も安い価格で直ちに売買が成立します。

特化型ファンドならグループ企業へまるごと投資OK

日本製鉄への投資は投資信託でも可能です。

例えば「日本製鉄グループ株式オープン」は、日本製鉄および同社のグループ企業の株式へ集中投資する特化型の投資信託です。これを購入すれば、間接的に日本製鉄へ投資することとなります。

【日本製鉄グループ株式オープン 組入上位5銘柄】

・日本製鉄:47.53%
・日鉄ソリューションズ:18.59%
・大同特殊鋼:6.32%
・大阪製鐵:3.47%
・名村造船所:2.65%

※2024年11月末時点

出所:日本製鉄グループ株式オープン 月次レポート

鉄鋼ETFで組み入れ多い 「高配当」「割安」テーマの投信も

日本製鉄そのものではなく、日本製鉄が持つテーマにまとめて投資したいなら、その他の投資信託が選択肢です。

例えば金属の工業的な需要の増加を期待するなら「NEXT FUNDS 鉄鋼・非鉄(TOPIX-17)上場投信」が候補です。「鉄鋼」と「非鉄金属」の業種に区分される銘柄へ投資する投資信託で、鉄鋼のほかアルミニウムや銅などのメーカーが組み入れられています。

また日本製鉄は配当利回り5.3%(2025年3月期予想、2025年1月14日終値時点)の高配当銘柄でもあります。同じく配当利回りが高い銘柄へまとめて投資したいなら「日経平均高配当利回り株ファンド」や「Tracers日経平均高配当株50インデックス(奇数月分配型)」などが考えられます。

さらに、日本製鉄はPBR 0.58倍(2024年3月期実績、2025年1月14日終値時点)の割安株という側面もあります。「野村日本割安低位株オープン」なら、同じく割安と推定される銘柄へまとめて投資できます。

【日本製鉄へ投資する投資信託の例】

 

※2024年12月末時点

出所:各銘柄の月次レポート 買収が成立なら財務悪化のリスク 投資は慎重に判断

日本製鉄へ直接的に投資したいなら株式を購入しましょう。株式の購入には証券会社の口座が必要です。

投資信託で投資する場合、日本製鉄以外の銘柄にも資金が向かいます。分散投資からリスクの低減が期待できる一方、投資割合が薄まることには注意したいところです。

なお、仮にUSスチールの買収が成立しても、日本製鉄の株価が上がる保証はありません。成立した場合、買収費用は借入金でまかなう予定であること、競争法上の対応に伴う米子会社の売却で損失の計上を予定していることから、当面は財務の悪化が先行する見通しです。買収のシナジーが確認できなければ、かえって株式市場の評価を失う可能性もあります。

株式と投資信託のいずれの方法でも、投資の際は慎重に判断するようおすすめします。

若山 卓也/金融ライター/証券外務員1種

証券会社で個人向け営業を経験し、その後ファイナンシャルプランナーとして独立。金融商品仲介業(IFA)および保険募集人に登録し、金融商品の販売も行う。2017年から金融系ライターとして活動。AFP、証券外務員一種、プライベートバンキング・コーディネーター。

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