「一生で2000万円損をする」と分かっていても…日本人が不要な保険や高い住宅ローン金利で損し続けてしまうワケ
Finasee / 2025年1月28日 17時30分
Finasee(フィナシー)
2024年の新NISA開始を契機に、世間では投資の話題が少しずつ身近になっている。しかし、依然として「投資や保険、とにかく金融は難しい」という印象は根強く、生活者と金融の距離は縮まりきれていない。こうした現状を変えるべくフィンテック企業のMILIZEでは業界改革を推し進めている。「私たちが真のフィンテック」と語る代表取締役社長・CEOの田中徹氏に、テクノロジーが可能にする金融の未来と、その先に生活者が享受できる恩恵について話を聞いた(全2回の2回目)。
個人の家計が豊かになり、若い優秀な人が世界に飛び出す未来へ――テクノロジーでスマートに人生設計ができ、資産を守れる未来が来れば、生活者はどのような点でメリットを感じやすくなるでしょうか。
例えば不必要なのに高額な保険に入り続けているとか、住宅ローンの借り換えをせずに高い金利を払い続けていることに気づいたとします。でも、不思議なことに多くの日本人は契約を見直しません。
「○○生命の友達から保険に加入したから解約できない」「家を買う時になじみの不動産屋が紹介してくれたから、○○銀行の住宅ローンを続けなきゃダメなんだ」と言います。金利や諸条件を契約し直せば、住宅ローンを借り換えるだけで、今後20年で300万円以上の節約になるかもしれないのに。
ニーズを見直して不要であれば契約を止めたり、もっとコストの低い商品に乗り換えたりする。そういったことを助言するサービスが行き届けば、―生涯で1000万円~2000万円ぐらいはコストセーブできる人もたくさん出てきます。必要以上に払っている金融機関への手数料を家計に取り戻し、それを元手に、コストの安い投資信託で長期分散投資した場合、3000万円~4000万円の老後資金を手に入れることも可能になるかもしれません。
家計にゆとりが出た人々が、外食を増やそう、旅行に行こう、世の中のために使おうと考えれば、お金が巡り巡って経済が回るようにもなる。結果的に個人も国も豊かになると思います。
反面、リテラシー高く行動できる人が増えると、銀行や保険会社は、目先は手数料が減って、組織のリストラクチャリングが起きるかもしれない。しかし、それは銀行で働く人にとってもチャンスです。
銀行の中には、銀行員じゃなくても、日本や世界で活躍できる優秀な人がたくさんいます。私はカレー屋で起業しましたが、ある人は銀行を飛び出しておいしいラーメン屋チェーンを創業するかもしれないし、ある人は世界的に有名な起業家になって、世界に影響を与えるかもしれない。そういう意欲や能力のある人たちが世に出る機会が増えれば、わが国は活力に満ちた素晴らしい国になるだろうと思います。
そして銀行や保険会社には、高い処遇のためでなく、金融で人を豊かにすることが大好きな人たちが残るでしょう。デジタルの力でそれは実現可能です。それこそ金融DXです。
正確な個人の家計データは国の政策決定にも応用できるはず――金融の民主化を進めることで、個人を通じて社会全体が豊かになっていく未来を描かれているのですね。個人をお金持ちにする上で、「人生設計」や「家計簿アプリ」に熱心に取り組まれるのはなぜでしょう。
元々、銀行全体のバランスシートを評価してリスク管理するソフトウェアを作っていたので、それを個人の家計管理に応用しようという発想でした。
個人の生活に役に立つことは、これまで申し上げてきた通りです。加えて、より多くの国民のみなさんが家計簿アプリを使ってくれれば、それぞれの家計をリアルな家計のビッグデータとして統計分析できるので、国への政策提言も可能だと考えています。
例えば、減税をするとか、社会保険料の負担を増やすような政策論争は、現状、どんな人にメリットがあり、どんな人の負担が増えるのかが分かりにくく、不満が出るばかりです。しかし、ビッグデータやデータ分析環境が整えば、政策決定の解像度は一気に上がるでしょう。結果として若い人にメリットは大きいと考えます。
フェアな金融サービスで個人はもっと幸せになれる――御社が目指すゴールと、それによって生活者が得られる恩恵を教えてください。
日本では大半の人がFPや税理士などのお金に関する専門の相談相手を持っていません。そういうみなさんが、MILIZEが提供するアプリを通じて、安心して人生設計し、人生を充実して楽しむことができる世界を目指したいです。
高齢者がスマホを使うことも当たり前になっていますし、資産運用や、保険選びをスマホで完結できる人も増えています。義理人情で買わなきゃいけない、もっと安くて良い商品があるのに知らずに買うということがなくなって、本当に顧客本位の良い商品を買う、アフターフォローも安心という世の中が当たり前になると、金融サービスに不安や不満を感じることなく、人生の大事なことに集中できます。
MILIZEでやりたいことは、まずは信用される存在になること。たくさんの方に社名やサービスが知られ、信用されるようになったら、「私たち(アプリ)にあなたの家計や人生設計の分析をさせてください。なるべく、その人の事情にフィットしたベストのアドバイスを提供できるように頑張ります」と言います。
それから「これから1年のうちに、この5個のアクションをしてください」とのアドバイスを送って、納得してもらえれば、具体的な行動に移してもらう。最終的には「アクションを起こして、保険の見直しや投資の最適化で、一生涯で1500万円も節約できましたよ」というようなことまで伝えたいです。
とにかく、より多くの個人のユーザーを今よりもお金持ちにしたいと考えています。いつも家計をやりくりして、節約に追われているのに、金融商品に無駄を垂れ流すのはもったいなさすぎます。もちろん、保険や住宅ローン、NISAで買う投資信託など必要な金融商品はあるのですが、安くて良質な商品を、必要な分だけ買うことを当たり前の世の中にしたいです。
浮いたお金を老後に備えるばかりでなく、素敵なレストランで食事をしてもいいし、親や友達に素敵なプレゼントを贈るのもいい。旅に出て素敵な景色に出会って、誰かと感動を分かち合うのもいい。お金を貯めるとか保険を契約するのは、将来の不安に備える合理的で大事な行動だけど、自分が素敵と思うことに時間とお金を使えないと人生は豊かになりません。
――真のフィンテックとそうでないフィンテック。個人が判断できるポイントはありますか?
個人や国が一番豊かになるために金融は“黒子”に徹するべきだと私は考えています。
意味のない部分にコストをかけず、いいサービスを作って提供し、お客さんが損をしないようにしてあげる。そうしたことを推進するのが本当のフィンテックです。
フィンテックの存在価値は、コミュニケーションを洗練させるとか、アプリに出てくるアバターがかわいいとか、紙媒体をデジタル化させるとか、そうした小手先のことではありません。徹底的に顧客の側に立って、困っている人や苦しい人を、テクノロジーの力で楽にしてあげることだと思います。
●前編:1億総お金持ち社会はすぐそこに? テクノロジーによる“平等な金融”が生活者にもたらす「最大のメリット」
Finasee編集部
「一億総資産形成時代、選択肢の多い老後を皆様に」をミッションに掲げるwebメディア。40~50代の資産形成層を主なターゲットとし、投資信託などの金融商品から、NISAや確定拠出年金といった制度、さらには金融業界の深掘り記事まで、多様化し、深化する資産形成・管理ニーズに合わせた記事を制作・編集している。
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