成長加速する世界の宇宙産業 日本に期待できること
Finasee / 2025年1月24日 7時0分
Finasee(フィナシー)
株の神様の声が聞こえるというTさんは、定期的にその教えを受けています。今日は、Tさんと神様は、都内ホテルのラウンジで投資談義を行っています。
***神様:今日は、宇宙産業についてお話しましょう。宇宙ビジネスは今大きく変わろうとしています。いや、すでに急速に変化していると言っていいでしょう。
T:宇宙ですか。壮大なお話になりそうですね。
神様:市場規模は非常に大きいです。現在の世界の宇宙産業の規模は約54兆円です。三菱UFJリサーチ&コンサルティングによると、宇宙産業は2030年には90兆円に達する見通しです。2040年には約140兆円に達するとの見方もあり、世界で最も成長する産業のひとつであると言えるでしょう。
T:宇宙産業と言えば、人工衛星、ロケットの製造、さらには人工衛星などを活用した宇宙からの位置情報活用サービスなど、非常に範囲が広いビジネスですよね。
神様:特に最近、各国による宇宙産業の開発が活発化している背景には、安全保障に関わる情報収集機能の強化、気象観測による防災や減災の実現、自動運転などの新たな産業の創出などがあります。各国では政府(官)主導から民間主導の開発にシフトしており、世界で様々な宇宙関連企業・宇宙ベンチャー企業が誕生しています。
T:日本でも「官から民へ」と宇宙開発がシフトしていると聞きますが、実際はどうなのでしょうか?
神様:まさに官から民へと移りつつある状況です。これまで日本の宇宙開発における民間企業は、大手重工・電機メーカーが中心でした。しかし、近年は大学などから約100社の宇宙ベンチャーが誕生しています。政府の宇宙基本計画では、2030年代の早期に2020年の国内市場規模である4兆円の2倍となる8兆円の市場規模に成長させる方針を掲げています。
T:日本の開発って世界の中ではどのくらいの位置なのでしょうか?
神様:率直に言えば、日本の宇宙産業開発は、米国や欧州、ロシアに先行されていました。民間主導シフトにより、各国では民需が拡大し、米国を中心に航空宇宙工業生産の売上高が増加しています。一方で、日本では政府による需要の割合がいまだ大きく、民間主導は遅れている状況です。例えば、ロケット開発は米国の民間企業である「SpaceX」による打ち上げ数が突出して多いことがわかります。経済産業省の資料によれば、2022年では米国のロケット打ち上げ数84回のうち61回がSpaceXによる打ち上げであり、2023年ではSpaceXは98回の打ち上げを実施しています。中国も2022年には62回の打ち上げを実施し、複数の民間企業が参入しています。
T:日本はどうですか?
神様:日本の2022年の打ち上げ成功数は「ゼロ」です。
T:なんと、ゼロでしたか。
神様:2023年もわずか2回でした。2024年は増加していますが、政府が2030年代に目標とする「30回」には程遠い状況です。ロケット打ち上げだけでなく、人工衛星や宇宙科学の探査など、宇宙産業の幅広い分野で技術が拡散し、開発も低コスト化したことで、様々な国が宇宙産業に参入できるようになりました。宇宙開発が加速・拡大していく中で、日本の姿勢が問われています。
T:現在、日本ではどのような動きがあるのでしょうか?
神様:政府は2024年3月に「宇宙戦略基金」を創設し、宇宙産業への支援を強化しています。宇宙航空研究開発機構(JAXA)の知見と10年間総額1兆円規模の基金を通じて、「宇宙輸送」「衛星等」「探査等」「分野共通」の4つの技術開発テーマを設け、2024年7月から公募をスタート。現在様々な開発テーマで続々と採択が決定しているところです。採択された企業を見れば、大企業、宇宙ベンチャーなど様々な企業がJAXAとコラボレーションしていく様がよくわかります。
T:これは、ワクワクするような取り組みですね。今後の動向が楽しみです。他国に頼るのではなく、これまでの強みを生かしながら日本独自の宇宙産業を進めるためには、やはり技術が重要です。政府、民間企業、そして大学などの研究機関が知見を出し合い、世界を引っ張るような宇宙開発技術が登場することを望みます。
いちよし証券
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