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倒産が多かった地域や業種、理由は? 老舗企業や飲食店の倒産、過去最多のナゼ

Finasee / 2025年1月27日 12時0分

倒産が多かった地域や業種、理由は? 老舗企業や飲食店の倒産、過去最多のナゼ

Finasee(フィナシー)

老舗企業の倒産は記録的水準に

今回参考にするのは、調査会社の帝国データバンクによる、負債1000万円以上の法的整理による倒産を対象とした調査だ。同調査によると、2024年の倒産件数は9901件で昨年に比べて16.5%増。また負債総額は2兆2197億円でこちらは昨年より6.6%減っている。

企業と言っても、設立間もない新興企業から老舗企業までさまざま。業歴別でみると倒産件数にどのような違いがあるのだろうか。調査によれば、倒産件数が最多だったのは業歴「30年以上」の3144件で、3000件を超えるのは2013年以来のこと。特に業歴100年以上の老舗企業の倒産は145件と2000年以降では最多となる記録的な水準だった。

100年の間には戦争や震災、バブル崩壊などもあった。1970年代の石油ショックでは現在を上回る物価高騰が起きている。そうした荒波を生き抜いてきた老舗企業でも力尽きてしまうのは、現在が大きな変革期にあるからかもしれない。

●前編:日経平均20%増加の陰で企業の倒産件数は3年連続で大幅増  “リアルな”日本の景気とは

出所:帝国データバンク 「全国企業倒産集計2024年報」倒産件数が急増している地域は?

東京と地方では経済規模が異なる。倒産動向に違いはあるのだろうか。調査によれば、最も倒産件数が多かったのは「関東」で3442件。ただし増加率は前年比で12.3%増と全地域の増加率の平均を下回っている。

逆に大きく上回るのは、北陸(34.0%増)、東北(28.4%増)、四国(25.0%増)、中国(24.1%増)など。いずれも人口減による地方経済の縮小などが懸念される地域だが、特に北陸は地震や豪雨の影響もあるだろう。また東北は東日本大震災が起きた2011年の倒産件数(446件)を超える結果になった。

出所:帝国データバンク 「全国企業倒産集計2024年報」「飲食店倒産」はコロナ禍を上回る

続いて倒産動向を見ていこう。まずは私たちにもなじみの深い「飲食店」。2024年の倒産件数は894件と2000年以降で最高を記録した。コロナ禍の2020年に記録した780件をも上回る件数だ。業態別では、「酒場、ビヤホール」(212件)、「中華料理店、その他の東洋料理店」(158件)、「西洋料理店」(123件)と続き、いずれも過去最高だった。

飲食店の場合、原材料や光熱費などの上昇、人手不足から人材獲得のための賃上げなど、度重なるコスト負担が重荷になり記録的な倒産件数になったと考えられる。加えて物価高騰による個人の節約志向や店舗間の競争激化もあって、価格転嫁も容易ではない。ある程度規模が大きければ、スケールメリットを活かしたコスト削減などで採算が改善できるかもしれないが、飲食店の大半は小規模事業者。今のところこうした逆風が劇的に変わる気配はなく、飲食店の倒産件数はしばらく高水準が続くかもしれない。

出所:帝国データバンク 「全国企業倒産集計2024年報」「ゼロゼロ融資後倒産」は734件 4年連続で増加

先に飲食店の倒産がコロナ禍の2020年を上回った件に触れたが、みなさんはゼロゼロ融資を覚えているだろうか。コロナ禍で売上が大きく減少した中小零細企業などに実質無利子・無担保で融資を行う制度で、2023年7月からその返済が本格的に始まっている。融資を受けたものの、結局事業を継続できなかった企業もあるのではないか。

調査によれば、ゼロゼロ融資後倒産は734件判明し、4年連続で過去最高を更新。融資の回収が困難な不良債権に相当する「ゼロゼロ融資喪失総額」は1163億円にのぼった。業種別では「建設業」(143件)が最多で、「サービス業」(139件)、「小売業」(138件)と続く。

出所:帝国データバンク 「全国企業倒産集計2024年報」「後継者難倒産」は過去2番目の高水準

人手不足による人材確保の問題は経営者にも波及。後継者不在によって事業継続が困難になる「後継者難倒産」も増えているのではないか。

調査によれば、後継者難倒産が判明した件数は540件で、昨年の564件より下回ったものの、過去2番目の高水準だった。後継者難倒産の主なトリガーとなるのは、やはり「経営者の病気、死亡」で、後継者難倒産の4割を占めている。この結果から経営者が生きているうちに、後継者問題に道筋をつけることが重要な経営課題になりつつあることがわかる。業種別では、「建設業」(124件)、「製造業」(95件)が多かった。

出所:帝国データバンク 「全国企業倒産集計2024年報」倒産件数全体の約1割を「物価高倒産」が占める

飲食店の倒産のくだりでも触れた「物価高騰」だが、ほかの業種にも影響を与えているようだ。最後に物価高騰による倒産件数を知っておきたい。

調査では、「物価高倒産」と判明した件数は933件にのぼる。2024年の倒産件数全体が9901件なので、実に約1割に相当する計算だ。

業種別では、「建設業」(250件)が最多で、「製造業」(194件)、「運輸・通信業」(155件)と続く。もともと会社数が多いこともあるだろうが、ゼロゼロ融資後倒産や後継者難倒産でも建設業が1位だったことから、さまざまな課題を抱えている業種であることが浮き彫りになった。また、飲食店の物価高倒産は81件で前年から7割増という結果だった。

出所:帝国データバンク 「全国企業倒産集計2024年報」

Finasee編集部

「一億総資産形成時代、選択肢の多い老後を皆様に」をミッションに掲げるwebメディア。40~50代の資産形成層を主なターゲットとし、投資信託などの金融商品から、NISAや確定拠出年金といった制度、さらには金融業界の深掘り記事まで、多様化し、深化する資産形成・管理ニーズに合わせた記事を制作・編集している。

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