新NISA2年目で売れ筋ファンドに変化? アライアンス・バーンスタインを上回る成長株ファンドとは?
Finasee / 2025年1月27日 13時0分
Finasee(フィナシー)
三菱UFJ銀行の投信売れ筋ランキングの2024年12月は、5カ月連続でトップだった「eMAXIS 日経225インデックス」が第3位に後退し、前月第2位だった「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」がトップに立った。第2位には「MUFG ウェルス・インサイト・ファンド(標準型)」が上がっている。国内株インデックスファンドの後退が目立ち、前月は第3位だった「eMAXIS Slim 国内株式(日経平均)」は第9位まで下がった。一方、「フィデリティ・グロース・オポチュニティ・ファンド」や「アライアンス・バーンスタイン・米国成長株投信」といったアクティブファンドが順位を上げている。
◆インデックスファンドは国内株から外国株に三菱UFJ銀行の売れ筋ランキングでは7月から「eMAXIS 日経225インデックス」が11月まで連続してトップを占めてきた。同ファンドは7月までは「MUFG ウェルス・インサイト・ファンド(標準型)」とトップと第2位を交互に入れ替わる形で上位に位置していた。「eMAXIS 日経225インデックス」は国内株式の代表的なインデックスファンドで、採用している株価指数は多くのテレビニュースでも「本日の日経平均株価は」と伝えているほどわかりやすいものだ。そして、「MUFG ウェルス・インサイト・ファンド(標準型)」は国内外の株式と債券、不動産投信(リート)、コモディティ、および、オルタナティブ資産に幅広く分散投資するファンドで、「標準型」は目標リスク水準を「年率標準偏差10.0%程度」に置いている。価格が下落するようなことがあっても年10%程度に抑えられるように分散投資しているため、初めて投資する人も比較的安心して取り組める投資商品といえるだろう。「わかりやすさ」や「安心感」など、「預金から投資へ」を後押しするような売れ筋のトップ銘柄だった。
ところが、2024年1月に1人当たり1800万円、投資収益非課税の期間も無期限という「新NISA」がスタートした。日本証券業協会が1月23日に発表したデータによると証券10社(大手5社・ネット5社)の1年間のNISA口座開設件数は343万件、12月末時点のNISA口座数は1611万件になった。銀行等を含む総開設数は年間で400万件を超えたとみられている。金融庁が発表している総口座数は9月末時点で約2509万口座を超え、2023年12月末時点の2124万7420口座から9カ月で384万件増加していた。
2025年1月1日時点の総人口1億2359万人のうち、NISA口座を開設可能な18歳以上は約1億660万人なので、おおむね4人に1人がNISA口座を持っている計算だ。もはや投資することは特別なことではなくなっている。
三菱UFJ銀行の投信の売れ筋で国内株インデックスファンドから、外国株インデックスファンドが優位になってきているのは、さまざまな投資に関する情報が広く流通するようになり、国内株よりも外国株のパフォーマンスが良いことが浸透してきたことが影響しているようにもみえる。「MUFG ウェルス・インサイト・ファンド(標準型)」への評価も、単に「投資の入り口」という位置づけから、米国株に対する割高の指摘や世界的な金利も上昇した昨今の状況を踏まえて「改めてバランスファンドの価値を評価する」という動きも加わっているのではないだろうか。
◆「フィデリティ」と「アライアンス・バーンスタイン」の違い「フィデリティ・グロース・オポチュニティ・ファンドDコース(毎月決算・予想分配金提示型・為替ヘッジなし)」は前月の第5位から1ランク上げて第4位になった。日本を除く世界の株式市場を対象とし、ボトムアップリサーチで長期的に成長が期待できる企業を選定して割安な段階で投資するファンドだ。11月末時点での組み入れ銘柄数は92銘柄で約500銘柄を組み入れている「S&P500」よりかなり絞り込んだ企業で構成されている。11月末時点での過去1年間のトータルリターンは47.57%で「S&P500」を大幅に上回る成績になっている。
また、売れ筋ランキングで第6位に浮上した「アライアンス・バーンスタイン・米国成長株投信Dコース毎月決算型(為替ヘッジなし)予想分配金提示型」もボトムアップリサーチで長期的な成長株を選りすぐって確信度の高い銘柄に投資するファンドだ。こちらは、米国株の成長株に分類される約1000銘柄が投資ユニバースになっている。フィデリティもアライアンス・バーンスタインも米国を代表する株式のアクティブ運用会社だ。そこが競い合うように成長株運用のファンドを出し、売れ筋ランキングでも競り合っている。
「フィデリティ・グロース・オポチュニティ・ファンドDコース(毎月決算・予想分配金提示型・為替ヘッジなし)」と「アライアンス・バーンスタイン・米国成長株投信Dコース毎月決算型(為替ヘッジなし)予想分配金提示型」は、ポートフォリオの中身が異なる。11月末時点で「フィデリティ・グロース・オポチュニティ・ファンドDコース(毎月決算・予想分配金提示型・為替ヘッジなし)」の組み入れ上位銘柄は、メタ・プラットフォームズ7.9%、アマゾン・ドット・コム6.9%、アップル6.9%、アルファベット5.2%、マイクロソフト4.5%だった。これに対し、「アライアンス・バーンスタイン・米国成長株投信Dコース毎月決算型(為替ヘッジなし)予想分配金提示型」はマイクロソフト7.4%、アマゾン・ドット・コム7.1%、エヌビディア6.3%、メタ・プラットフォームズ5.3%、VISA4.7%になっている。組み入れ上位5銘柄の顔ぶれや組み入れ比率が大きく異なっている。それぞれのファンドの投資哲学や調査・分析力の違いが運用ポートフォリオの違いにも表れている。
ファンドの名前や運用会社だけでなく、運用の中身についても比較検討するような見方をしていけば、運用商品を選ぶ楽しみも広がる。NISA2年目を迎えて、「投資を始める」から一歩踏み込んだ「ファンド選び」の視点が売れ筋ランキングで見えてくるかどうかを確認していきたい。
執筆/ライター・記者 徳永 浩
Finasee編集部
「一億総資産形成時代、選択肢の多い老後を皆様に」をミッションに掲げるwebメディア。40~50代の資産形成層を主なターゲットとし、投資信託などの金融商品から、NISAや確定拠出年金といった制度、さらには金融業界の深掘り記事まで、多様化し、深化する資産形成・管理ニーズに合わせた記事を制作・編集している。
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